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砂上の月  作者: saltcandy
2/15

とある2人の最悪の出会い方

「ぐーぐー」


とある教室に響くのは見事なまでの睡眠音。之が昼休みや授業の間ならば許されるだろう。しかし、今は授業中である。

クラスの心情はまたかという気持ちであった。視線は、窓側の席の端っこ、多くの生徒が求めてやまない特等席、その横、更に言えばそこを占拠する黒髪の少年、それが発信源であった。

少年は、睡魔という魔物に喰われていた。


僕はそれを呆れながら見ていた。


須藤(すどう)、お前は俺を怒らせたいらしいな」


それを、額に青筋を滲ませながら白いチョークを少年、須藤に向けながら古典の先生は言う。

因果応報、自業自得、この言葉が須藤にはお似合いだろう。


「この、起きろおぉぉ!」

「痛ぇ!」


チョークは見事須藤の額に、僕はその破片が当たらない様に教科書を盾にする。






(あきら)、額大丈夫?」

「へーきへーき、心配性だなぁ」


昼休み、僕の横でいつもの様にラブコメ的展開が開かれる。砂糖を吐くような一対一ではなくハーレムなのでただただ苦痛である。

移動すればいいのだろうが、いかんせん僕はボッチである為学校に友人なんて皆無である。

今日も兄が作ってくれた異様に女子力高い弁当を本を読みながら時間が過ぎるのを待つ。あぁ、日光がぬくい。


「晶くん、授業くらい起きましょうよ」

「まったく、これで懲りなさいよ」

「ぐぅの根も出ません」


須藤の周りには三人の女子が、おっとりした感じのショートカットの香川三葉(かがわみつば)少し目がきつい赤毛混じりの鶫汀詩織(つぐみしおり)、そして学校側が何故か特例で許可してフード付きの服を制服の下に着てフードを付けている白い髪の幻想的らしい少女の

朽木雪(くつきゆき)、本当に彼女達は何故同じ人間を取り合っているのだろうか?

確かに、優秀な異能保持者を増やす為に一夫多妻制、多夫一妻制は取られているが、周りの目線を少しは気にすればいいものを。


須藤晶は、成程一般的な感性からすると美形の方に分けられるのだろうし、性格は分からないがもてるからいいのだろう、それに二つの異能保持者で既に二つとも具現化までされている。


この世には異能というものがあり、誰もが一つは持っている不思議な力の事だ。生まれながらのアイデンティティだ。

一つあるのが普通だが、稀に二つの異能、更には三つの異能保持者等も存在する。異能の数や、系統は2分の1の確率で遺伝される為優秀な異能保持者は産めよ増やせよとはるか昔から、宗教的に言われている。


その異能を具現化、人によって違うが武器の形となるのだ。その武器をエル・ドラードという名称である。

その具現化を行う事が出来たものは帝国軍という名の国の象徴兼高給取りになる事が出来るのだ。


さらに、それらとは違う血、つまり先祖代々伝わる力、それが血統である。僕は持っていはいるがどちらかといえば希少な力である。


まぁ、之は今は彼に関係は無いが。何が言いたいかというと須藤という人物はエリートコースが決まった人間なのだ。

()()()()()()()()異能は炎を操るという比較的ポピュラーな異能である。

また、香川と鶫汀の二人も異能の具現化が確認されている。


そんな事を考えらがらあまりにも可愛すぎるリンゴの飾りを食べるか迷う今日この頃。こういった、関係の無い事を考えつつ敢えてこの問題を無視してきたがついにリンゴ以外無くなってしまった。

兄さん、ウサギさん卑怯過ぎる。


「おっ、一つもらっていいか?」


そんな悶々とした感情に囚われつつ食べようとした時、そのリンゴが何者かの手によって無くなる。


「なっ!」


僕の周りにいるのは、あのハーレムのせいで1グループだけ、そして声は男だった所から、


「美味い、美味い」


須藤晶、そいつであった。この時、僕は反射的に彼の胸倉を掴んだ。


「出せ!今すぐ出せ!」


教室は何事かと注目する。僕がここまで大声を出すなんて事は無い為だ。

そして、ハーレム三人衆は一人はオロオロとした、一人は呆れた、もう一人は無感心の目で見ていた。

朽木さん、そんな目で僕とこの男を見ないでくれます?自分が馬鹿みたいなんで。


「わっ、悪かったって!

謝るから、ごめんな」


そもそも、僕は此奴と殆ど喋った事もない、そんな人間の弁当を盗み食いする気が知れない。ごめんで済んだら軍隊要らないんだよ!

今の僕は傍から見たら少し血走った目をしているだろう。


しかし、須藤晶はどうやら運がいいらしい。丁度次の授業の五分前のチャイムが鳴る。次は移動教室の為もう準備しなければならない。

僕は手を離し、そのまま無言で用意していた強化しを持ち教室を出ていった。

未だに苛立ちを腹の中に滲ませながら。






「えっと…神代(かみしろ)?本当に失礼な事をした」

「別にいい。

それよりも、隣の名前位覚えろ」


不機嫌な顔で僕は須藤晶を見る。帰る時間になり、大分腹の虫は収まったし、冷静に考えれば長時間放置していた僕も少しは本当に少し悪かったかも知れない。


「どうも人の名前を覚えるのがどうも苦手でな」

「そうかい、因みに僕の名前は来夢(らいむ)、神代来夢だ。

異能は、空中散歩する事が出来る程度の能力だ。

須藤晶、それに後ろにいる香川三葉、鶫汀詩織、朽木雪」


()()()()()()()()()を塗りながら僕は彼等に自己紹介する。自己紹介は基本、名前と異能に付いての事で取り足りる。

しかし、後ろの御三方はその反応がどうやらお気にならないらしく、少々厳し目線を送ってくる。

それも、僕のスルースキルにかかればどうてこと無いが。


「僕も少し熱くなりすぎてしまっただけだ。

もう気にしていないが、之からは勝手に人の弁当を取るのはやめろ」


そう言って僕は教室の窓から飛び降りた。







とりあえず、幾つか投稿しときます。

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