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砂上の月  作者: saltcandy
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砂の狩人

『我が盟友よ、砂を出してくれないか?』


僕の後に砂のクッションが現れる。そこに僕は紛れる。僕達兄弟の異能は似ている。僕の異能は砂と一体化する事。


僕はそのまま砂に埋もれ一体化する。


「うふふ、どこに行ったのかしら?」


「遠くには行っていないとは思いますがね」


そうすると、徐々に僕に近づいてくる。あともう少しだ。ステンバーイ、ステンバーイ。


「あら?敵には転移系の異能があった筈ですよ?

多分ですがそれで逃げたんでしょう」


「成程」


迷推理ですよ〜、お嬢様然とした高そうな服を着た女【風狼】さん二つ名を変えて【迷探偵】にしてはどう?


確か彼女の罪は社会主義共和国から金を貰いわざと任務に失敗、遺産を独り占めにする為に兄弟姉妹を殺害及び脅迫etc.....。


「それでは探すとしますか」


突如、紳士然とした男【金風】から突風がとぶ。成程、先程の風はあいつか。あの生暖かい生き物様な風はどの様なものなのかな?


確か彼は、社会主義共和国からきた大量の麻薬を捌いているらしい。最近のマフィアはあんなサラリーマンがなるものなのか。

因みに【金風】とは、麻薬でさばいた金をボランティアとして孤児院に莫大な援助をしている事からきている。


「おや?

先程気配は覚えた筈なのですがこの建物にはいませんね」


いつの間にか彼はエア・ドラードを持ち、何処にでもあるようなサーベルの形の、うろうろと見回す。


そして、ついに僕の砂を踏む。


「おりゃ!」


「やはりそこですか!」


僕は砂から現れる。僕は砂から飛び出す、しかしそれを気が付いていたらしい。

之は、場所は分かっていたが油断させる為にわざとカマをかけたな。


中々頭が使える獲物らしい。


そして()()()()()()()()()が競り合う。


何と奇遇な事か、僕のエア・ドラードも丁度サーベルなのだ。


「くっ!」


「僕的には君はもう少し白兵戦に強くなるべきだね」


しかし、彼的な誤算はエア・ドラードを使った戦闘では彼よりも僕が強かっただけだ。


特務部隊ではエア・ドラードだけを使った戦闘だけの模擬戦が定期的に行われる。


「ロウちゃん、やっちゃって!」


おや?【風狼】が魔法少女の様なステッキを持って何かを言っているぞ?


之は危険そうだ対策を打たなければ。


『我が盟友よ盾になってくれないかい?』


すると近くにあった砂が集まり盾の形となる。


因みにここでいう砂とは辺り一面に散らばっている石の破片だ。砂なのか?どうか微妙な事だが一体化出来るので砂なのだろう。


そして砂の盾にダイブ、次の瞬間には砂の盾に巨大な獣に噛まれた跡が現れる。成程、透明な獣、風の獣とは厄介だな。


そのまま砂は風に吹き飛ばされる。って、之はアニメでいう僕バラバラになる場面では!


「その通り、貴方はどうやら砂と一体化出来るようで。

だから、砂を散りばめたら体はバラバラになるでしょうね!遺体は残りませんが排除が先です」


「私は何も分からないのですが?」


うわ、中々狡賢い。







「之で消えたでしょう」


「呆気ないものですわね」


私の風、生物の気配は察知する事が出来る風を使っても既にいないようです。


それにしても長期戦になったら恐らく負けていたのは私達でしたね。

砂が増えれば増える程私達が不利になる、ならばステージが整う前に無力化しなければならない。


「それでは他の所に救援に行きましょう」


「そうした方がいいですね」


私達が他の場所に移動しようとしたその時、ゾクリと背中に何かを感じた。

思わず私は前に跳ぶ。この感覚はあれに似ている。何度か任務で感じた事のある死の恐怖に!


「どうしたの...えっ?」


怪訝そうな顔で豪坂さんが私を見るがその顔は驚きの顔になる。


「ねぇねぇ、どういう気持ち?

砂がバラバラになったら僕もバラバラになると誤解していたけど今どういう気持ち?」







本当に視野が低い人間は嫌だよ。自分が思った事は全て正しい、そんなエゴイストは嫌いだね。そういう人間程正義を掲げる、極東帝国は変わった国だよ。


それはこの今腹を刺した女にも言える事。


「ロウちゃん、食っちゃいなさい!」


『集え集え、我が盟友達よ』


周りに大量の砂が集まる。そこからすぃーと移動し女の心の臓を刺す。


その顔には、何故何故私が?と嘆いている様にも見えた。


「私は死ねなぃ!

まだ美しくなれていない!あの美しいお姉様達の様にまだなれていないぃぃ」


「何が君を狂わしたのか僕的には興味ない。

でも、僕的に言わせて貰えばもう休んでいいんだよ」


その顔はどこまでも悲哀を感じさせていた。そして、透明な風の狼もそれに合わせるように暴れ出す。


それをどうも僕は見てられなくなった様で、首を切った。彼女も何かに狂わされたのだろう。


それは彼も同じだが。


「さて、最後は君だね。

僕的には降伏して苦しまずに死ぬ事をオススメするけど?」


「いえいえ、最期まで戦わなければ何処か彼女を貶める様に思えますから。

負け戦でも華やかに散りたいものですね」


「そうかい、出来るだけ皆殺しにしなければ異能がバレちゃうし、最期の言葉でもないかい?」


すると、彼はニヤリと笑った。それは、最期を悟り諦めた男の顔であった。


「私が関わった犯罪組織の情報が入っているチップを破棄される前に部屋の隠し金庫にあるので回収してほしいのと、

私が生まれ育った孤児院にいる社会主義共和国の工作員を殺して下さいませんか?」


「いいよ」


そう言うと安心した様に笑い、サーベルを僕に向ける。どうやら古風に剣と剣の切り合いで終わらせるらしい。


そして、彼は走り出した。きっと彼には走馬灯が流れている事だろう。


そんな彼に、いや【金風】明昌恭二に敬意を示そう。


彼はついに剣を振る。


「安らかに眠りな」


彼の人生を詰め込んだ様な斬撃をあっさりと止め、更に打ち返し、そのまま彼の首を切る。


その時彼は確かにこう言っただろう、口パクだけで伝わった。


「ありがとう」


それについ笑ってしまう。


「久しぶりに面白い奴と戦えたな」


本当に極東帝国は変わっている。

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