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砂上の月  作者: saltcandy
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炎の狩人

「俺達三人だけか、他の奴は?」


「二人の大将からストップがかかったらしいわ。狙われていないのならば戦うなって」


「へっへっへ、なら俺達三人と部下で手柄を多取りか」


「何でそうなるのかを教えてくれよ獲物風情が」


仮面越しからギロりと俺は睨む。こういった奴等は本当に虫唾が走る。

弱いくせに自身を過大評価する奴だ。こういった傲慢さはエルフの特権なのに。



「さぁ獲物達、どこからでもかかってきやがれ」


「そうさせて貰う!」


少々気難しそうな顔をした男が手に持った剣を上げる。すると、真上には大量の炎が現れる。


おいおい、まだ周りに人がいるぞ。警備用のLv3からLv5の奴等は死んじまうぞ。


「幾千もの炎に抱かれて死ね!」


『我が盟友たる炎よ反転しろ』


「なっ!」


俺はエルフの血統力である魔法を使う。


魔法とは、火、土、風、水という四つの元素、それを操るもしくは変質させる術の事。

異能と全く同じだがエルフは之のどれかを一族全体で操れられる。それは異能の炎でも同じだ。


操り方や変質の仕方は簡単だ、古代エルフ語でお願いすればいい。


「といっても全部は流石に無理か」


操れたのは半分、俺に目掛けて大量の炎が降りかかる。


それを俺は避ける事は無かった。【炎狩人】が火を恐れるなんて変な話だ。








「死んだか?」


辺り一面にまんえんした炎。その中で生きている等不可能だろう。

生きていても大火傷で虫の息だ。


「案外呆気ないものだったな!」


「所詮姑息な暗殺者よ」


「お前等は何もしていないだろう」


俺は死体もしくは身柄を探す。それにしてもどんな異能だったのだ?

多分だが炎を操っていたが他人の異能の炎まで操るとは。


まぁ、Lv8である俺の手にかかれば赤子の手を捻る様なも……


「がっ!」


喉に何かが刺さった感触、そして激痛。


なんだこれは!声を出そうにも何も見えない。

誰だ、いったい誰が俺を攻撃した!


何だ?喉の方からどんどん熱さが、熱い!熱い!熱い!苦しい!苦しい!


「油断大敵、何でお前等は勝ち同然だと思ってるんだ?」


声のする方を見る。

そこには、無傷の弓を持った特務部隊の男がいた。

もっといえば、周りには俺と同じ様に焼かれていた部下達もいた。

そこで俺の意識は外に消えていった。







「春雨!」


「春雨の仇、取らせてもらう!」


傲慢そうな女が手から炎の鞭が現れる。その鞭は言い方は悪いがまるで触手の様にうにょうにょと蠢く。


そして、チャラそうな男の方も自身に炎を纏い巨大な炎の爪を手に生やす。気色悪い!


男が俺目掛けて駆け寄る。俺は、その炎の爪に怯えずに冷静に弓を引き、炎の矢が放たれる。

その矢は男の心臓目掛けて放たれる。


まぁ、こんなの当たると一片も思っていない。


精々牽制の意味合いで。

そして、男は案の定爪で弾く...あれ?避けるのかよ。しかも、遅!右腕に当たってるじゃないか。


「ぐあああああああああああ!」


「これ以上、誰も傷つけさせない!」


炎の触手が俺に向かう。おい、お前は二つ名を蛇じゃなくて触手に変えろ。気色悪すぎる。


しかし、俺はまたもそれをよけずに、それどころか触手に向かって走る。それを見て女は驚く。


そのまま俺は触手にダイブする。


「いい感じの暑さだな!」


そして、炎と一体化する。触手状の炎を辿り女の元に行く。之が俺の異能だ。炎になり一体化する。


『我が盟友よ呪いの武器になれ』


俺は女の目の前に来たら炎を剣の形に帰る。之はただの炎ではない、当たったらそこから体内が焼かれる炎だ。

出来るだけ見せしめに殺さ必要がある為あえてこの方法を取る。


「ぎゃあああ!体が熱い、熱いぃぃぃぃ!

助けてぇ!誰がだすげでぇぇぇぇ!」


「お前が殺した奴等もそんな事を思ってんだぜ!」


絵に書いたように苦しむが自業自得だ。


こいつは、嫉妬で優秀な奴を卑怯な手で殺してきたのだ。その報いが今きただけだ。


「次はお前だチャラ男!」


「待ってくれ!

降伏する!反省もする!だから命だけはどうか!」


大分遠くにいるが既に戦意を喪失している男はすぐに降伏要請を行う。


その顔には、女が苦しみながら死んでいくのに耐えられなかったのかとてもとても真っ青であった。


しかし、俺は知っている。


こいつが裏で社会主義共和国と共同し違法な売春営業を行っていた事。さらに言えば、多くの女を騙して自殺に追い込んでいる事。


さてはて、誰がこんな男を許せるだろうか。


「誰がそんな事を聞くか!」


俺は辺り一面に散らばっている炎を伝い奴の近くまで行く。

近くまでくると奴の喉を掴む。その顔には明確な恐怖、死への恐怖が伺い知れた。


「燃えろ!燃えろ!

国を裏切り、悪徳を行い、人を汚したお前が生きれる道理とは何か教えてくれないか?」


「ぎ、ぎぃぎゃ」


男の体が燃える。男はそれを見てじたばたと動くがそこまで運動能力は高くないのだろう、非力である筈のエルフ族の俺の拘束を解けないでいて。


炎は更に激しさがます。


「どうだ?今まで自身が燃やしてたのが逆になる気分は?

アニメ等では必殺技等という名前があるが俺は仮にこれを【炎の赦しの道】とでも名付けようか。

炎に燃やされる事である意味お前はいるだけで赦される場所に近づいてるのだからな。

そう、地獄へとな」


「ぎ、ぎぃぎゃあああ!

いやだ、いやだ、まだ俺は死にだくなぃぃぃ!」


『我が盟友よ罪人を燃やし尽くせ!』


「ギヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」


男、【炎の爪】と言われた男は未だに残っている顔を恐怖で滲ませる。そしてついには体まで燃え上がり死んでいった。


恐ろしい程の大きな声の絶叫を残して。


こうして、中央の半分は炎に焼き尽くされ黒く焦げたのだった。

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