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7.相談

朝食後、昨日と同じ部屋で待ってると、先生が来て授業が始まる。


「朝から、疲れてますね。どうかしたのですか?悩み事なら相談に乗りますよ」


カリン先生は、朝から元気一杯のようだ。


「実は、メイドが布団に入ってきて困ってるんです」


ちょっと恥ずかしかったが、正直に言ってみた。


「なにそれ、のろけ?その年で、メイドに手出したの?それなら、ちゃんと最後まで面倒見ないとだめですよ。貴族なんだからそれぐらい出来るでしょう?え、あ、ひょっとして私を狙ってます?ダメよ!私は、優秀な魔法使いと結婚して子供作るのが夢なんですから。トモマサ君、確かに魔素量は多いですけど、いや、年下ですし、でもヤヨイ様の縁者か、ありかも?いやいやいや、でも、どうしてもと言うなら。。」


カリン先生が、一人で盛り上がってる。しかし、人を色魔みたいに言うのは止めてほしい。


「手なんかだしてませんよ。ちょっと胸は触ったけど……。あれは不可抗力というかなんというか。とにかく、何にもしてません。カリン先生にも手を出す心算はありませんから」


カリン先生、心なしか残念そうである。流し目で見ても手出しませんからね。


「あー、メイドさんが一人で盛り上がってるのでしょうか?それって、ひょっとしていつも案内してくれる、犬獣人のメイドさん? 」


「そうなんです」


「すごく綺麗な子じゃない。スタイルも良いですし。それに犬獣人さんは、とても忠誠心が高くて主人と決めた人には絶対に裏切らないらしいですよ。何が不満なのかしら?貴族なんだし、将来は、奥さんに愛人にと複数持つんでしょ?沢山子供作らないと周りが煩いですよ。結婚は、成人した16歳にならないとできないけですど、愛人なら問題ないですしね」


「そうなんですか??? 」


色々驚きである。犬獣人の忠誠心と言い、貴族の複数妻発言と言い、本当に元日本なのか?


「トモマサ君、あまり、常識を知らないようですね?よっぽど大事に育てられたのかしら?契約した授業範囲に、その辺の分野も入ってるから構わないですけど。今日は、そっちの話をしましょうか。でも、その前に、聞かせてください。昨夜ちゃんと魔素の訓練はしましたか? 」


「はい。色々見ました。部屋の中だけじゃなく、部屋の外も見てみました。その後、王城を見ようとしてから記憶がないですが。たぶん寝落ちだと思います」


カリン先生が、青い顔している。


「トモマサ君、王城を見ようとしたの?知らないって恐ろしいですね。体、大丈夫?あそこは、強固な結界が貼ってありますから、下手したら死にますよ。しかし、さすがですね、魔素量が多いとそんなところまで見えるのですね」


死ぬところだっとか恐ろしいことを言ってくる。


「体は、特に異変はないです」


カリン先生が、「はーーー、よかったわ。下手したら責任問題ね。本当に首が飛んでもおかしくないわ。これは、先に常識教えないと危険だわ」と自分の首を押さえながらぶつぶつ言っている。


「先生、心配かけてすみません」


とりあえず、謝っておこう。


「気を付けてくださいよ。私の首のために」


そういって、魔法の危険性を話し始めた。かなり真剣に。怖い顔のつもりだが、こちらから見るとリスが威嚇してるぐらいにしか見えなくて、すごくかわいいのだが。

昼からは、世界の常識の話だった。貴族には変態が多いとか、見栄っ張りばかりだとか……。


「カリン先生、貴族に詳しいですね」


休憩中に尋ねる。


「私も、もとは小さな町の領主の娘だったのよ。魔物の侵攻で街が無くなって没落しちゃったけどね。よくあることよ」


あまり聞かないほうが良いことだったかもしれない。


「心配しなくても大丈夫ですよ。優秀な魔法使いと結婚して街を復興させますから。そのためにお金も稼いでますしね。トモマサ君、頑張って学園に入学してくださいね。ボーナスが出る契約なんですから」


カリン先生、優秀な先生なんだろうが、こんなに何でも話して大丈夫なんだろうか?貴族としては、ダメな気がするが?今から心配しても仕方がないか。優秀な旦那さんを見つけることを祈ろう。

この日は、ずっと貴族の話だった。主にカリン先生の苦労話。大変だったんですね先生。俺は、何もできないけど応援してます。


〜〜〜


授業の後、ヤヨイに会いに行った。夕食は、一緒に取るけど後ろにアズキがいるから相談できないしね。書斎に行くとなにやら書類を読み込んでいる。仕事が忙しそうだった。


「ちょっと時間良いかい? 」


聞いてみると、ちょうど休憩のタイミングだったようで一緒にお茶を飲もうという事になった。少しの雑談の後、


「カリン先生は、どうかしら?魔法学園のホープだという話だし、……大事な嫁候補なんだけど」


最後の方がよく聞こえなかったが、優秀な先生だよと言っておいた。奴隷にはしないであげてねとは言えなかった。


「あら、先生のことではないのかしら? 」


「ああ、アズキのことなんだ」


それを聞いたヤヨイは、気のせいか目が笑ってる気がする。


「あの子、何か粗相をしたかしら? 」


粗相をしたのは俺の方だが……あらましを話しする。もちろん、胸をもんだことは除いて。


「父さん、アズキのこと嫌いなの? 」


「いや、好き嫌いではなく、倫理的にどうかという話なんだが」


「貴族の倫理的には、何の問題もないわよ。むしろ推奨するわ。この国の人口増加のためにも」


カリン先生と同じような回答だった。ただ、ヤヨイの目が笑ってるのが気になるが。


「俺の常識は、21世紀のままなんだ。それにまだ、母さんを忘れた訳ではないんだよ。布団の中で抱き着かれると体は反応するけど、心が悲しくなるんだ」


「そう。私の中では900年も前の話だけど、父さんには数日前の話だったわね。……ただね亡くなる少し前の母さんが言ってたわ。父さんが生きて帰ってきた時には、ずっと母さんを思ってうじうじしてるよりも新しい家族を持って生きて行ってくれた方が母さんも嬉しいって。だから、少しづつでいいわ、アズキのことも見てあげて。私、父さんとあの子とってもお似合いだと思うわ」


母さんは、亡くなる前にそんなこと言ってたのか。少しだけ心が軽くなった気がした。


「そんな事を……本当にいい妻だったな。分かったよ。少し考えるよ。俺の将来だもんな。成人する16歳までには考えないとな。ずっと、ヤヨイの世話になるわけにもいかないしな。ところで、アズキって何歳なんだ?俺の身体年齢よりかなり年上っぽいけど? 」


「あの子は、12歳よ。獣人は成長が早いのよ。だから獣人だけは、特例で13歳から結婚できるわよ。なので、すぐにでも子供作って大丈夫よ。性別はどっちでもいいけど、やっぱり弟がほしいなぁ。父さん頑張ってね」


ヤヨイがにやにやしながら、言ってくる。今、考えるって言ったところじゃないか。いきなり子作りとか無理だから。

しかし、驚きである。あの体つきで12歳とか、どう見ても18歳以上である。恐るべし獣人の成長。

だけど言動は、子供っぽいよな。直情的だし。心の成長は変わらないのか。むしろ周りから見たら、中身40歳で子供の俺の方が変なんだろうなぁ。アズキを見る目とか、完全にオヤジだもんなぁ。

長い時間話し込んで仕事の邪魔をしてしまった。ヤヨイに謝ったが、「急ぐ仕事じゃないから大丈夫よ」とのこと。一安心である。


風呂上がりにアズキを部屋に呼んだ。いや、何も言わなくても付いて来ているのだが。


「朝の話の続きだ」


俺が話し始めると、アズキが「はいぃ」と緊張して立っていた。尻尾もピーンと立っている。尻尾の動きで感情が駄々漏れだな。これじゃ、人は騙せないな。

ゆっくりと妻のこと、21世紀の倫理観。子供にも分かるように、優しい言葉で説明した。


「アズキが、俺を好きなのは嬉しい。俺も、アズキが好きなんだと思う。けどまだ一緒に寝るほどではないんだ。なので、布団に入ってくるのは止めてほしい」


最後の言葉に、アズキの尻尾がうなだれている。寂しそうな顔をしている。


「トモマサ様、布団は我慢します。ですので、せめて一日2回、いや1回でいいです。匂いを嗅がせていただけないでしょうか? 」


匂い?変態か?と思ったが、アズキのあまりのうなだれ方に「いいよ」と言った。匂いだけなら、少しクンクンするだけで十分だろうし。


「ありがとうございます。それでは早速」


そういってアズキが抱き着いてきた。そして布団に押し倒され、すごい勢いで匂いをかがれている。止めようとしたのだが、とても力が強く全く抵抗出来ない。

獣人の力はすごかった。

諦めて、自由にさせていると頭、顔、首、脇の下、足、股間まで匂いをかがれた。最後は、腹に顔をうずめて匂いを嗅いでいる。アズキの顔が腹にあるということは、そう胸は股間のあたりにある。鼻をスンスンするたびに胸が股間に押し付けられる。

立った、立ったよク○ラが……ではない。胸に堅いものが当たってるはずだが、アズキは気にもせず夢中で匂いを嗅いでいる。


「あ、アズキ、もういいかな? 」


そういわれたアズキは我に返ったのか、名残惜しそうに離れてくれた。


「ちなみに、これまでも匂いを嗅いでいたのかな?こんなに激しく? 」


「さ、最初は、起こさないように隣でそっと嗅いでいたのですが、昨晩辺りは、止められなくなり今日と同じようにに嗅がせていただきました」


恥ずかしいのか顔を赤くして俯いているが、尻尾は嬉しそうに揺れていた。俺が寝ると起きない体質なのは知ってたけど、あそこまでされても起きないんだな。何とか起きれるようにならないと貞操の危険を感じるな。


「次からは、もう少し穏やかに頼むよ。身が持たない。今日は、もう疲れたから寝るとするよ。お休み」


持たないのは、下半身だけだ。子供の体は、敏感だから。


「はい、努力します。お休みなさいませ」


一人になった俺は、即座にトイレに行ってすっきりしてきた。俺が、妻を忘れる日は早いかもしれない。

すまない、妻よ。刺激が強すぎるんだ……。ひとしきり、妻に謝罪した後、魔素の訓練をして眠りについた。

いつもありがとうございます。

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