表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/125

4.傭兵ギルド2

王都イチジマの街の傭兵ギルドは、全国ギルド本部と南部と北部のそれぞれ門近くに出張所があるようだ。登録、買取はどこでも出来るらしいので、一番近く、北門の出張所に向かう事にした。

ラノベのテンプレである騒動に巻き込まれることを恐れたトモマサが人の多そうな本部を避けた結果でもある。

北門の傭兵ギルドは、出張所という割には大きい建物だった。馬車で近づいていくと、入り口あたりは、ごつい鎧のおっさんや目つきの鋭い狩人など、堅気の人間では無さそうな人たちで溢れていた。

そうこうしてるうちに、馬車は入り口あたりで止まってしまう。来るところを間違えた。本部にするんだったと後悔をするトモマサをあたりの傭兵達が睨み付ける、ように見える。一人ならまっすぐ通り過ぎてしまうであろうトモマサであるが、3人もいる彼女が一緒では逃げ出すことも出来ない。どうしようかと悩んでいる所で、シンゴ王子が一人立ち上がって馬車を降りた。


「トモマサ君、さあ行こう」


さすが、イケメン王子である。物怖じしていないようだ。出来れば一人で行って欲しいところであるが、獲物はトモマサのアイテムボックスに収納されているので仕方が無い。覚悟を決めて馬車を降り、建物に入った。


入ってまず驚いた、中には、ほとんど人はいない。ふと見た壁の張り紙には、こう書いてあった。

『用の無い人は、すぐにお帰りください。他の人の迷惑になります。』

ぼーっと、張り紙を読んでると、一人の人が近づいてきて話しかけて来た。


「ようこそ、傭兵ギルドへ。今日は、どのようなご用件でしょうか? 」


警備員兼案内係のような人だった。用の無い人は、これで追い出されるのだろう。


「ギルドへの登録と、魔物の買取をお願いしたいのですが」


そうすると、158番と書かれたカードを渡され、「5番の受付の前でお待ちください」と言われた。日本のサービス精神が生き残っていた事に俺は感心してしまった。ラノベのような、イベントは起こらないのだろう。現に、待っている傭兵たちも静かに談笑しているだけで、とても他人に喧嘩を吹っ掛ける様には見えないのだから。

ひとしきり感心していると、「158番の方5番の受付窓口にお越し下さい」と呼ばれた。


「今日は、どの様なご用件でしょうか? 」


若い受付嬢に聞かれる。


「ギルドへの登録と、魔物の買取をお願いしたいのですが」


「承りました。登録は、皆様ということでよろしいですか?12歳以上での登録となりますが」


受付嬢は、ツバメ師匠を見ながらそう言った。あー、確かに12歳には見えないよね。最近少し成長したけどまだ、8歳ぐらいだもんね。


「彼女は、12歳ですよ。魔法学園の生徒です」


俺の言葉に、受付嬢は「それなら問題ありません」と素直に引いた。嘘だったらどうするんだろうと思ったが、本人が認めた以上は文句を言うつもりは無いのだろうと思い気にしない事にした。その後、皆の顔を見回していく。誰も何も言わない。問題無いということだろう。


「全員登録でお願いします」


「承りました。パーティ登録は致しますか?パーティ登録していただきますと、買取額を3%アップさせていただきます。他にも、パーティでしか受けれない依頼を受けることができますし、パーティの期間が長い程、各人のランクアップがし易くなります」


「ランクアップ? 」


「はい、魔物の討伐回数や依頼の達成回数により、鉄ランクからオリハルコンランクまでアップしていきます。ランクが上がりますとそれぞれ買取額などで特典が付きますので、パーティを組んで討伐されるのであれば登録されるのがお得だと思います」


パーティ登録にランク設定ね。さすが、厨二病が作った組織だ。ラノベによくある設定だな。

皆に確認した所、パーティ登録も異存は無い様だった。


「承りました。それでは、こちらが各個人の用紙で、こちらがパーティ登録の用紙です。黒枠の中をご記入ください。尚、文字を書ける方がおられない場合は代筆致しますので遠慮なくお申し出ください」


本当に、サービスが行き届いている。記入欄一つにも必須とか任意とか記号で分けられて分かり易くなっているし、記入用の机には、記入例まで置かれていた。

代筆は必要無い。全員文字を書けるから。それぞれが記入して行く。と言っても、必須記入欄は、名前だけだった。他にも任意だが住所は一応魔法学園の寮のを記載し、特技なんかもあったので剣術と魔法と書いておいた。


「パーティ名どうしよう? 」


個人用の記載が終わったのでパーティ用の用紙を書こうと思ったのだが、まず一項目目で蹴つまずいた。


「トモマサ君の好きにすればいいと思うよ?皆もそう思うだろう? 」


シンゴ王子の言葉に皆首肯する。


「ええ、俺が決めるの?何にも思いつかないんだけど、皆も考えてよ」


「では、僭越ながら、建国のち「はいダメ~」」


アズキ、それは言っちゃダメでしょ。


「次は、私が、トモマサ様とその奴隷「それもダメ~」」


カーチャ王女、奴隷はアズキだけですよ。あなたを奴隷にする気はありませんからね。


「それなら、丹波抜刀隊なんてどうだ? 」


ツバメ師匠、ちょっと恥ずかしいけど、今までの中で1番マシです。

他にもと思ってカリン先生やシンゴ王子に聞いてみたが、思いつかないようだ。


「では、他にいい案もないので取り敢えず丹波抜刀隊に決定します」


取り敢えずの処置である。受付嬢に聞いたら「パーティー名は、いつでも変えれます」との事だったので。


「やった、それなら私にご褒美をくれるよな。そろそろ私と一晩共に過ごしてくれんかの。体も少し成長したし」


「いや、それは、成人してからの約束ですよ。大体、まだ、8歳ぐらいの体型じゃ無いですか。それじゃ、まだ、ナニも出来ませんよ」


俺の返答にツバメ師匠が落ち込んでしまった様だ。カリン先生が慰めているのだが、二人の目が冷たい。今の対応に文句がある様だ。


「分かりましたよ。それじゃ、ツバメ師匠には、何かプレゼントしましょう。何が良いか考えておいてください。エッチな事は無しですよ」


一応、釘を刺しておいた。俺のナニが欲しいとか言い出しそうだったから。ツバメ師匠が考えてる間に書類を書いて提出する。


「はい、確かにお預かりいたしました。えー、成人はお一人だけですね。他の方は未成年と。成人のカリン様のみ鉄ランクが付きます。他の方は、ランク外買取のみの仮登録となります。よろしいでしょか? 」


カリン先生、話し込んでいたのに名前が出た途端こちらにやって来た。俺から説明を聞いて受付嬢に返答していった。


「問題ありません」


「ありがとうございます。詳しくは、こちらの冊子に書かれておりますのでお読みください。人数分渡しておきます。次は、買取ですね。こちらに買取品の名前と数量を書いて3~4番の受付の前でお待ちください」


買取用の用紙と『傭兵ギルド利用方法』と書かれた冊子を受け取り3~4と書かれた受付の前で待つ。ツバメ師匠は、カリン先生とアズキ、カーチャ王女まで巻き込んで何をもらうか考えている様だ。遠目には子供をみんなであやしている様に見えるのだが、実態はどうやって下ネタに持って行こうか考えているに違い無い。俺は、あまり近寄ら無い様にしながら順番を待った。


「買取物はどちらにありますか? 」


俺の用紙を見ながら、3番の受付嬢が聞いてきた。


「アイテムボックスで持ってます。出しますか? 」


「あ、いや、ここでは出さないでください。数が多いので裏の倉庫で見せていただきます。しかし、これ全て、アイテムボックスに入ってるんですか?凄い量ですよ? 」


あ、やばい、魔素量によってアイテムボックスの容量って変わるんだった。魔素量が異常なことがバレる。なんとか誤魔化さないと。


「あははは、ギリギリなんとかね」


ダメだ。全然誤魔化せて無い。


「そうですか。お若いのに素晴らしいですね。それでは、左手の出入り口から倉庫に行けますので続きはそちらでお願いします」


う、ん、あんまり興味無いようだ。個人情報を詮索するつもりはないのだろう。俺は、皆に言って裏の倉庫に向かった。シンゴ王子は付いてきたが、他の女性達は相談に忙しいようで手を振られただけだった。


「では、ここで出してもらえますか? 」


さっきの受付嬢がやって来てお願いされたので、魔物を順番に出していく。

ワイルドボア19体、ホーンラビット29体、ワイルドディア17体、ミノタウルス2体、オーク4体を出した所で、もう一人男の職員がやって来た。


「それでは、査定しますね。一緒に見ていきましょう」


それぞれ一体一体、損傷具合を確認していく。どの魔物も皮が素材になるようで、火魔法で焦げた部分は、査定から引かれていくようだった。刀傷も場所によっては査定対象のようで「もうちょっと端っこなら良いんですけどね~」とか言われて価格から引かれていた。

同時に、魔石も取り出されて行く。魔石は、魔物の核で魔素の結晶である。これは、魔道具を作る際に必要な物で傭兵ギルドでも買取を行っており、大きな物だと白金貨ぐらいするものもあるそうだ。最もフクチヤマの領域程度の魔物では、せいぜい銀貨程度であるが。


「それでは、確認は、これで終わりです。それぞれの金額は、こちらに書いた通りです。価格にご満足いただけない物がありましたら、お教えください。あまり珍しい魔物ではありませんので、価格を上げる事は難しいですがね」


ワイルドボア一体銀貨5枚、ホーンラビット一体銀貨7枚とか言われても高いか安いか良く分からない。このまま買っても良い気もするのだが、一応納得するまで聞いてみることにした。


「すみません、初めてなので教えて欲しいんですが、魔物の価格ってよく変わるんですか? 」


「この辺りの魔物は変わりませんね。ギルド入会時の冊子に価格表があるはずです。確認してみてください。後は、もう少し強い魔物、サンダの森に住むコカトリスとかですね、なんかは、品薄時に価格が上がることがあります。そういった場合には、討伐依頼が出されますので、ロビーの掲示板をよく見ていてください」


冊子に挟まれた用紙を見る。確かに価格表があった。査定額と変わりは無い。なるほど基本はこの価格で、品薄時は高くなるのか。需要と供給の関係から言ったら普通だな。


「もう一つ、他にも買取してもらえる所はありますか? 」


「大きな商会などであれば、買ってもらえるかもしれません。ただ、この量全てとなると難しいでしょうね。一見さんだと買い叩かれるのがオチだと思います。その点、傭兵ギルドは国も出資する関係機関です。価格は、国の審査の元で決めてますので安心してお売りいただけます」


そうなのか。国の関係機関なのか。ヤヨイが目を光らせてるだろうし、問題無いかな。


「分かりました。この価格で買取お願いします」


「ありがとうございます。それでは、元の受付にて代金をお渡ししますので、お戻りください」


受付に戻ると、ツバメ師匠が晴れやかな顔でこちらを見ていた。どうやら話し合いが終わったらしい。代金を受け取ってから話を聞きますと言い置いて、受付に行く。


「それでは、先ほどの査定金額に、3%上乗せして、金貨40枚、銀貨2枚、銅貨15枚、銭貨3枚となります。ご確認ください」


今日1日で400万円超えるお金を稼いだようだ。一人66万と少し。大金である。

これまでの討伐では、解体した素材は、売る場所を知らないのでアイテムボックスに溜め込んでいたし、肉は、自分で食べたり、シンゴ王子の勧めで孤児院なんかに寄付したりしていた。


「まとめて売ったらこんな金額になるんだな。知らなかったよ」


「まぁ、そうだね。普通の人は、こんなに魔物を持って帰れないからね。何体か馬車に乗せて帰って来るぐらいだから」


なるほど、時空魔法は使える人が少ないってヤヨイも言ってたな。あんまりやると目立ちすぎるのでは無いだろうか、心配になってきた。

代金を受け取り、皆の所に行く。用も済んだので帰ろうと言って馬車に乗り込んだ所で、ツバメ師匠が、俺の手を引いてきた。


「トモマサよ。欲しいものが決まったぞ。私もアズキに送ったような下着が欲しいぞ。そなたを悩殺する下着がな」


受け取った代金の多さに気を取られ、プレゼントのことをすっかり忘れていた。


「ツバメ師匠、悩殺ですか。瞬殺とか撲殺は可能だと思いますが、悩殺は、成人まで無理かと思いますよ」


思わず本音を言ってしまった。やばっと思ったが、ツバメ師匠は全く気にしてなかった。


「そんなものは、やってみなければわからないでは無いか。早速、下着屋に行くぞ」


疲れていたので帰りたいのだが、仕方が無い。以前、アズキの下着を買った下着屋に向かう事にした。


意気揚々と乗り込んで行った下着屋だったが、さすがのツバメ師匠も落ち込んでいた。

師匠のサイズだと子供用の物しかなかったのだ。

スケスケの悩殺下着をと叫んでいたが、出てきたクマ柄パンツには心が折れたらしい。それでも無い物は無いので、大人サイズに変身してもらいそれに合う下着を買う事で納得して貰った。成人した暁には、必ずこれを付けて一晩共にすると約束して。


さて、終わりだと思ったのだが、せっかく来た下着屋で、ツバメ師匠の下着だけ買ったのでは勿体無いと、未だ下着を買って貰ってないカリン先生の筋の通らないおねだりに合い、みんなの下着を買う事になってしまった。


カーチャ王女にはさすがに失礼だと思ったのだが、本人の熱い視線と、シンゴ王子の「すまないが、買ってやってくれないか」の言葉に負け買う事になった。さすがに試着して見せると言うカーチャ王女の要求だけは辛うじて退けることが出来た。ここは、シンゴ王子さすがに止めに入ってきたので。しかし、どんどん追い詰められてる感はしなくも無いのだが。

アズキとカリン先生の試着はもちろん見せて貰った。どれにするか選びきれず、二人の分は、数着ずつ購入する事になった。ツバメ師匠には内緒で。成人したらまた買ってあげるから許して下さい。


〜〜〜


翌朝、ステータスを確認した俺は愕然とした。魔素量が75万を超えていたからだ。確かに昨晩、アズキとカリン先生の新下着攻撃に合い遅くまでナニしていた事は確かだが、こんなに上がるものなのか?俺ってどれだけ興奮し易いんだ。この先、ツバメ師匠とおそらくカーチャ王女もナニする事になるだろうと思うと気が滅入るばかりだった。

いつもありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ