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26.2人目

自分の部屋に戻るとアズキがやって来た。カリン先生が来られたようだ。

ついでなので、アズキにお金の話をしておく。俺名義でたくさんあるので、気にせず使ってほしいと簡潔に言っておいた。詳しくは、とてもじゃないが話せなかった。大体、俺、働いてないし。


応接室に行くと、カリン先生がお茶を飲んで待っていた。


「カリン先生、お待たせしました」


向かいの席に座り、挨拶をする。


「大丈夫ですよ。今日は、合格おめでとう。それで、必要な資料を持ってきました。しっかり読んで、記入してください」


「わざわざありがとうございます。カリン先生、忙しそうでしたが、今日の仕事は終わったんですか? 」


入学試験で大変そうだったのにここに来てて良いのか心配になり聞いてみた。


「ああ、試験はすべて終了しましたよ。今年は、人数が多くて大変でしたが、おかげで良い生徒に恵まれたようです。『S』判定者が4人もいましたしね。春からが楽しみです。そうそう、ここに来る前に王城に行って執事の方に資料を渡してきましたよ。王様も大層喜んでいるようで今日はパーティーだと言ってました。私も、誘われたのですが、こちらに用があると言って辞退して来ましたよ。王様のパーティーなんて肩こりそうですしね」


カリン先生が、上司に食事に誘われたサラリーマンみたいなこと言っている。と思ったが、カリン先生も一応サラリーマンだった。若いうちから苦労しているようだ。


「カリン先生、この後予定がないのでしたら、一緒に食事していきませんか?うちは、パーティーじゃないですので肩こりませんよ」


「うれしいな、お呼ばれしようかな」


カリン先生、即答でした。しかし、ヤヨイもかなり偉い人のはずなんだが、こっちは肩こりしないのだろうか?不思議だ。


〜〜〜


夕食はカレーだった。しかも、トロトロ牛スジのカレー。


「このカレー、すごく懐かしい味がする」


まるで妻が、作ってくれたような味だった。


「ヤヨイ様が手づからお作りになったカレーです」


そうか、ヤヨイが……妻の味を受け継いでいたんだな。料理が苦手だった妻が唯一と言っていいほど上手だったカレー。市販のルーなど使わずに香辛料をひとつずつ合わせて作ったカレー。

心が暖かになる。


「ヤヨイ様、ありがとうございます」


俺が素直に礼を言うと、ヤヨイは素っ気なく「合格祝いよ。この程度で喜ぶなんて、安いものね」とか言っている。それでも少し顔が赤い気がする。照れてるんだろう。本当に素直じゃ無いんだから。

あまりの美味さに俺は、3度もお代わりをしてしまい、腹がはち切れそうになったのは言うまでも無い。


「いや、おいしかったです。いつ来てもここの食事はおいしいですね。ヤヨイ様の手料理までいただけるとは最高ですね」


食事も終わり、今は、俺の部屋で歓談している。お酒が少し入っているようでカリン先生、ご機嫌である。16歳だが、成人なので問題ない。


「しかし、トモマサ君、君の魔素量は職員の間でも話題になってましたよ。あの計測器があそこまで光るなんてって、受付してた教員がビックリしてました」


「どれだけ込めれば良いか分からず、魔素を込めたので少し多すぎたかもしれませんね。あれでも、大分抑えたんですよ? 」


「そうでしょうね。全力で込めれば計測器が壊れてたかもしれませんので、その判断で間違いないと思いますよ」


計測器を壊すって、ラノベのテンプレみたいなことする所だったのか。ラノベだとそのあと大騒ぎになって戦いになったりするんだよな。俺は、目立ちたくないので職員室で少し騒がれるぐらいで十分だな。


「それにしても、アズキも『S』判定になるぐらいに魔素量が上がってたんですね。びっくりしました」


「アズキさんも職員の間で、獣人なのにと話題でしたよ。本当に」


そういった後、カリン先生が急に黙り込んでしまった。


「どうかしましたか、カリン先生?お酒飲みすぎましたか?お茶、もう一杯飲みますか? 」


お茶を入れようとした俺の手をカリン先生が掴んだ。

ビックリして固まった俺にカリン先生が、ゆっくりと話し出した。


「トモマサ君、合格おめでとうございます。半年教えた身としては、大変うれしく思います。なので、そんなトモマサ君に合格祝いのプレゼントを贈りたく思います。何も言わずに受け取ってください」


そう言い切ったカリン先生が、俺の胸に飛び込んできた。カリン先生の豊かな胸が俺の体に押し付けられる。俺は、ますます固まってしまった。ナニがではなく体が。


「わ、私がプレゼントです。ダメ、ですか? 」


お酒のせいか赤くなった顔のまま耳元で囁く。か、かわいい。抱きしめたくなる。プレゼント貰ってしまいたくなる。……でも駄目だ。俺にはアズキがいる。将来を誓った恋人がいる。カリン先生を受け入れるわけにはいかない。


「すみません。カリン先生の気持ちは、とてもうれしいのですが、俺にはアズキがいます。そのプレゼント貰うわけにはいきません」


「それは、アズキさんが許可すれば貰っていただけるということなのでしょうか? 」


カリン先生がとんでもないことを言い出した。


「いや、それは、その……」


答えられない。アズキが許可を出す?そんなことありうるのだろうか?いや、それよりも複数の女性と関係を持つそんなこと許されるのだろうか?頭の中で考えるが、まとまらない。困り切っているところに声がした。


「トモマサ様、カリン先生からのプレゼント貰ってあげてください。私からもお願いします」


アズキであった。

どういうこと?浮気の許可を出すの?後で、浮気者って捨てられるの?


「アズキ、俺は、浮気心を試されているのか? 」


「私は、トモマサ様の気持ちを試すようなことは決してしません」


「だったら、なんで、そんなこと言うんだ?俺のことが嫌いになったのか? 」


本当に訳が分からない。


「トモマサ様、私は、トモマサ様のことが大好きです。そして、カリン先生もトモマサ様のことが大好きなのです。トモマサ様、今のこの国では貴族が妻一人と言うことはあり得ません。必ず複数人と関係を持つことになります。トモマサ様の常識とは異なるかもしれませんが、これが現代の常識なのです。もし、トモマサ様がカリン先生をお嫌いでないのなら、是非貰ってあげてください」


「ヤヨイが言ってた、たくさん娶って、たくさん子を産めってのは冗談じゃなかったのか」


「トモマサ君は、相変わらず常識が無いですね。丹波連合王国では、いや、全世界でですが、人口が伸び悩んでいます。原因は、色々ありますが一番は、出生率の悪さです。二人の意思が揃わないと子供が生まれないので、経済的に余裕のない家庭では少人数しか子供を作りません。村などでは、その年の子供の数を決めている所もあるぐらいです。望まない子供が生まれない事は、いい事なのかもしれません。ですが結果として人口増加を抑制してしまっています。他にも、産まれて来る子の魔素量も問題です。魔素量の少ない両親からは、魔素量の少ない子供が産まれ易くどうしても生活が苦しくなるのです。これは、母体中から魔素濃度が環境で育つためだと言われています。ごく稀に多い子供も産まれるのですが、そういう人は、貴族に貰われていってしまうのです。これもあってなかなか子供が増えません」


カリン先生、俺の耳元で難しいことを言ってくる。こういう話は、教壇に立って話してほしいものだ。


「人口が伸び悩んでいるのは分かったけど、それとカリン先生を貰うのと何の関係があるんだ? 」


「トモマサ様は貴族です。その上、類を見ないほどの魔素量をお持ちです。出来るだけたくさんの子を成すのは義務だとお考えください。トモマサ様が育ってきた時代とは環境も考え方も異なるのです。どうか、全てを受け入れてください」


アズキが頭を下げて頼んできた。『育ってきた時代とは違う』か、確かに、魔法もあるし魔物もいる世界だ。地球だけど異世界と言ってもいいかもしれない。どうしようかと思って、カリン先生を見てみると、先生が「やっぱり、そうだったのですね」とぶつぶつ言っていた。


「あ、ばれちゃいましたか? 」


「は、はい、怪しいとは思ってました。アズキさんの言葉で確信してしまいました。トモマサ君は、帰狭者だったのですね」


アズキのさっきの言い回し、わざとなんだろうな。俺の踏ん切りを付けさせる為に、秘密に気付くように。


「はぁ、仕方がないですね。それならついでにこれもお教えしときます。俺は、実は40過ぎのおっさんで一度結婚していて子供もいます。妻はとっくの昔に亡くなってしまったようですね。そして、ヤヨイは俺の娘です。あんな大きな娘がいる俺でも気持ちは変わりませんか? 」


「え?……ヤヨイ様の父親……・それって……・『建国の父』……・ええええええ~~」


あまりの驚きにカリン先生、『建国の父』をうわの空で連呼している。恥ずかしいのでやめてほしい。

とりあえず正気に戻ってもらおう。


「カリン先生、帰ってきてくださ~~い」


「は、はい、何でしょうか?トモマサ君、いやいや、失礼しました。トモマサ様」


さっきまで、俺の胸にもたれかかっていたカリン先生、今は直立不動といった感じで立っていた。


「もう一度聞きます。40過ぎで大きな子供もいる俺でも気持ちは変わりませんか? 」


「はい、変わりません。むしろ強くなりました。何が何でもトモマサ様に貰っていただきたいです」


さっきまでと違う感情が入ってきている気がする。これだと、貰うに貰えないな。


「俺が『建国の父』だからって理由でそんなこと言ってるんだったら、断りますよ。その呼び方も止めてください」


「トモマサさ……君、決して肩書で言ってるわけでないですよ。半年間あなたに関わって知った、貴族なのに驕らない態度、まして奴隷になったアズキさんへの優しさ、それを見てるうちに好きになったんです。確かに、膨大な魔素量が切っ掛けであったことは間違いないですが、決してそれだけで言ってるわけでは無いのです。分かってください」


カリン先生が、目を潤ませながらこちらをじっと見ていた。どうしたらいいかなと、そっとアズキに目を向けると、すっと一礼して部屋から出て行った。「後は、お任せします」と言っているのだろう。

本当にどうしようと悩むそぶりを見せているが、心の中ではすでに答えは出ている、と思う。妻よ、俺は、この世界の常識を受け入れることにするよ。お前ひとりでも四苦八苦していた俺が、二人の嫁とか扱えるか不安だが、俺を思ってくれる子がいれば出来るだけ大切にしたいと思うんだ。出来れば怒らずに見守ってくれると嬉しいな。

一人妻に報告した俺はすっと立ち上がり、カリン先生を抱きしめた。


「カリン先生のプレゼント遠慮なくいただきます」


耳元で囁く。そして、真っ赤になったカリン先生にキスをした。「ありがとうございます」と返事をしているカリン先生の手を引きベットへ……そして、二人は結ばれた。


やはり回復魔法は素晴らしかった。痛がっていたカリン先生は自分で魔法を掛けたようで、だんだんと積極的に動き出し俺は圧倒されてしまった。初めてなのに知識だけはすごかったようだ。

今は、一戦終えて、抱き合っている。


「トモマサ君、そういえば私お風呂に入ってません。その、臭くないですか? 」


そういわれて俺は、カリン先生の胸のあたりの匂いを嗅いでいく。カリン先生の胸、女性特有の甘い香りがする。アズキよりもサイズは小さいのだが、体が小さいからかより大きく見えるし。太った男のナニが小さく見えるのと同じだろう。このタイミングで想像したく無い例えではあるが。


「とってもいい香りがしますよ。でも、気になるのでしたらお風呂行きますか? 」


「もう、トモマサ君ったら。でも、まだ、入れるならお願いしようかしら」


風呂場に行くと、湯船はまだ湯気を湛えていた。二人とも脱衣場でガウンを脱いで風呂場の扉を開けた。ちなみに、カリン先生のガウンは、俺のものだ。俺の身長が伸びて着れなくなったものを貸していた。身長的にはぴったりだったので。ただ胸のあたりが苦しそうだが。


「あら、父さん……と、カリン先生? 」


中に入った俺たちは、突然話しかけられて固まってしまった。


「や、ヤヨイ、なんでこんな時間に、風呂に……」


「私は、いつもこの時間よ。それにしても、父さんがこんな女たらしだったとは……」


「いや、これには深いわけがあって」


俺の体から冷や汗が噴き出した。


「フフフ、冗談よ。色々吹っ切れたのね。私もうれしいわ。カリン先生、父さんのことよろしくね。そして、早めに弟を作ってね。それじゃ、後は若い者に任せて邪魔者は退散するわね」


「は、はい、こちらこそよろしくお願いします」


また、揶揄われてしまった。今回のは、本当に焦ってしまった。まったくヤヨイめ、困ったやつだ。

言いたいことだけ言ったヤヨイは、にやにや笑顔のまま風呂場から出て行った。


「さて、体洗うか」


二人きりになった風呂場、黙ってると少し気まずいので俺は洗い場のほうに向かった。


「トモマサ君、私が洗ってあげますよ」


「え、いやいいですよ。恥ずかしいですし」


「そんなこと言わずに洗わせて。本でいろいろ読んで勉強したんです。男の人が喜ぶ洗い方を。すっごく綺麗にしますから」


すすすっと近くに来て洗われてしまった。

ものすごく気持ちよかった。カリン先生、ベットでの行動といい、普段どんな本読んでるんだ?とても気になる。

洗ってもらったお返しにカリン先生も洗ってあげたらカリン先生も気持ちよかったのか、おねだりして来たのでそのままナニしてしまった。

その後もカリン先生の知識の深さに圧倒され、浴槽で欲情して何度もナニしてしまいました。

いつもありがとうございます。

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