66/68
戦の終わり
レティシアは駆ける。
向かってくる敵の首を斬り裂き、骨を砕き、臓腑を貫く。
飛来する矢を叩き、剣を弾き、槍をかわす。
止まることは出来ない。
レティシアはすでに敵軍の奥まで浸透していた。
目標は敵の陣。そこに居るであろう大将首。
別に獲れなくても良い。
自分が暴れ、自分に注意を向けさせて街に向かう敵の数さえ減らせれば。
雨が降りだす。
それはすぐに滝のように勢いを強めて戦場を泥濘へと変化させる。
手が滑り、得物を落としそうになる。
足が泥に捕られ倒れそうになる。
髪が濡れて邪魔だ。
雨粒が顔を打ち、煩わしい。
それでも止まるわけにはいかない。
恐怖など消え去っていた。
あるのはただただ挑み続けろという闘争心。
そこに少女の面影はない。
例えるなら鬼だ。
豪雨だというのに白き絹の髪を血で染め、真っ赤な瞳は敵を捉える。
「うおおおおおおおおおおっ!!!」
そして彼女はーー




