開戦
レティシアたちが帰還する。
キンカンの港の奪還に成功。多くの赤髪の一族を捕虜とすることに成功し、船を三隻奪還ーー一隻は航行不能状態だが勝利を納めた。
そしてーー
赤髪の一族の第二皇子軍十五万がミリタ大平原を横断してきた。
対して白髪の一族の戦力は千五百。
戦力差は百倍。
本来なら複雑な地形や拠点に籠って応戦するものだが、白髪の一族は野戦を選んだ。
勝つことは不可能。簡単に蹴散らされるだろう。
だが、彼女たちの目的は民を国外へ逃がすこと。
不利であっても戦うしかなかった。
全身を強固な純白の鎧で固めてレティシアは馬に乗る。相変わらずに冑は被らない。
隣で轡を並べたのは共に戦ってきたダモンと父のガルシア。二人とも完璧に武装を整えている。
後ろに付き従うのは騎兵と荷馬車部隊。
「準備は出来たぞ」
面頬を上げたガルシアがレティシアに報告する。
「分かったわ。行くわよ皆」
レティシアが片手剣を掲げると街の門が開かれる。
「無事に帰ってきてくださいね」
末の妹であるアイシアが馬上のダモンと手を握る。
「ああ、俺も皆も後から行く。だから先に行って待っててくれ。帰ったら二人の式を挙げよう」
「はい……!」
涙を拭うアイシアは笑ってダモンを送り出す。
その光景を見てレティシアも幸せそうに微笑んだ。
その顔を正面に向けると引き締める。
「突撃いいいいいいぃぃぃ!」
振り下ろされた片手剣を合図に白髪の一族は敵陣へと突撃した。




