姉妹
「自治権と指揮権、そして人権は守り抜いたか」
「ごめんなさい、お父さん」
ガルシアに謝るのは赤髪の一族との交渉に赴いた次女のマルシア。
「いや、良くやった。白髪の一族の自由は守られた」
「ふざけるんじゃないわよ!?」
激昂した長女のレティシアがマルシアの胸ぐらを掴み上げる。
「アンタ、アイシアを売ったの!? どうして? あの子の気持ちを知ってんでしょ!?」
「…………」
マルシアは顔を逸らす。
「アンタ、こっちを見なさいよ! 答えなさいよ!? どうしてアイシアの夢を奪ったのよ!?」
「止めないか、レティシア!!」
ガルシアが吼える。
「うっさい、お父さん!」
レティシアの怒りは止まらない。
「マルシア、ねえ、頭良いんでしょ? あなたならどうにか出来たんじゃないの?」
「…………」
「どうして? どうして何も喋らないのよ!?」
「私がーー」
マルシアが苦し気に言う。
「私が大事な妹を犠牲にするわけないだろ!?」
いつも冷静なマルシアが吼えた。
「ふざけるなよ。私がアイシアを渡すわけないだろ! そんな交渉するくらいなら舌を噛みきってやる!!」
瞳を隠す包帯が濡れている。
マルシアが泣いているのだ。
「第二皇子がアイシアを見初めたんだ。それで条件が大幅に見直された。アイシアの婚約を認めれば良いと。それをアイシアが呑んだんだ!?」
「そんな……!?」
力が抜けてレティシアは膝をつく。
その膝にポツリポツリと滴が落ちる。
「私は、守れなかったの?」




