軍議
「赤髪の一族が援軍を?」
レティシアが思わず呆ける。
「さっき使者が来た。無条件で手を貸すと」
白い布で瞳を隠すマルシアが答える。
極東軍との戦が始まってから二週間経った日の夜の軍議。
レティシアとマルシア、そしてダモンが作戦会議をしていたときに出てきた言葉だ。
「やったじゃない! 赤髪の一族に助けてもらえれば極東軍をキンカンの港から追い出せるわ!」
レティシアは安堵の表情。
だが、マルシアとダモンは違った。
「どうしたのよ二人とも暗い顔をして」
「姉さん。赤髪の一族がどうして援軍を寄越してくれるんだと思う?」
「? 同盟国だからでしょ? だから無条件で助けに来てくれるって」
「違うよ、姉さん。無条件はただでって意味じゃない。どんな条件でも呑んでくれるならって意味だ。ダモン、赤髪の一族は何を欲している?」
「……海だ」
ダモンは悔しげに呟く。
「赤髪の一族は援軍を送り、極東軍との戦に勝った後、再び襲撃されても対応できるようにと赤髪の一族の部隊を駐留させようとするだろう。表向きは支援であっても実際は赤髪の一族による実効支配だ」
「それじゃあ赤髪の一族に助けを求めてはいけないと言うの?」
レティシアの言葉にマルシアとダモンは押し黙るだけ。
「何か言ってよ!? このままじゃ皆--」
レティシアは言葉を続けられなくなる。想像などしたくなかった。
「条件を提示しよう。白髪の一族の払えるギリギリの代償を。使者は屋敷に泊まってるから明日にでも話をつけてくる」
「君が行くのか、マルシア?」
「私はここでは役立たずだからね。交渉ぐらいしか出来ることがない」
「それなら俺も行く」
「君は来ちゃ駄目だろ。戦える人は一人でも多い方が良い。大丈夫。何人か従者を連れていくから」
「それなら私も連れていって!」
部屋に飛び込んできたのはアイシアだった。




