〈白の三女③〉
「最近、アイシアが活き活きしてる」
ダモンがマルシアとチェス--相変わらず勝てないが、していると彼女が言った。
「突然どうした?」
「アイシアが構ってくれなくなった」
「は、はあ」
急に何言ってんだという表情のダモン。
「これは一大事だ。アイシアが勉強ばっかしてるせいで私はつまらない。だから私はこうして君とチェスをするはめになってる」
「嫌なら止めるか?」
「アイシアが勉強終わるまで君と遊んでいろというんだから仕方ない、不本意だがな。まあ、目が見えないから他に出来ることもないし、いつも通り私の暇潰しに付き合って貰うよ。アイシアのお願いでもあるから」
「君は、アイシアが好きなのか?」
「妹が嫌いな姉が居るのかい?」
急に何言ってんだという表情をマルシアに返されるダモン。
「いや、俺には兄弟が居ないから分からないんだよ、そういうの」
「ふむ。ならば私を妹のように思えば良いよ。存分に甘えてやるから」
「パシりじゃないだろうな?」
「そうとも言う」
珍しくマルシアが微笑むものだから色々言われようともダモンには苛立ちなど湧かない。
「マルシアお姉ちゃん、お待たせ!」
勉強を終えたらしいアイシア。
「それじゃ俺は行くから」
立ち上がろうとしたダモンの服の裾をマルシアが引っ張る。
「どこに行くんだい?」
「アイシアが来たんだから俺は用なしだろ?」
ダモンの言葉にマルシアは眉根を寄せる。
「何か勘違いしてないかい? 君はこれからアイシアと出掛けるんだ。でも、アイシアは勉強を疎かに出来ないから待たせている時間の間、君が飽きないように私が相手をして時間稼ぎをしていたんだ。ほら、君も身支度しなよ」
今のチェスの時間がマルシアのためでなく、自分のためだと聴いて混乱するダモン。
「出掛ける約束なんてしてたか?」
ダモンはアイシアに訊く。
「す、少しお時間をいただいても宜しいですか?」
俯きながら手をもじもじさせるアイシアにダモンは少しドキッとした。




