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歴史還元の亡国騎士  作者: mask
白の伝説
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〈白の次女④〉

「馬って結構揺れるんだね」

 ダモンの腕の中でマルシアが呟く。

「まだ、歩いてるだけだ。走ったらもっと揺れるぞ」

「そうなんだ。ちょっと怖いかもね」

 ダモンとマルシアは遠乗りに来ていた。

「でもどうしたんだい? 急に出掛けようなんて言い出して」

「その目じゃ遠出も出来ないだろ?」

「別に構わないよ。私じゃなくて姉さんを連れてきてあげれば良かったのに」

「俺が君を連れてきたかったんだよ」

「……そうか」

 ダモンからはマルシアの表情は窺えない。平坦な声音のせいで感情さえも。

「ありがとう」

「? 何か言ったか?」

「何でもないよ。それで、私はいつまで目隠しをしてれば良いんだい?」

「それは着いてからのお楽しみだよ。早朝とはいえ日も出ている。目的地に着く前に君の目が見えなくなるのは困るから」

「なら、楽しみに待ってるよ」

 二人はそのまま世間話をしていた。互いに顔が見えずとも会話は成り立つし、ダモンが思っていた以上にマルシアは話好きな少女だった。

「見えてきたぞ!」

 半刻ほど経った頃、二人は目的地に着いた。

「外しても良いのかい?」

「まだ、もう少し待ってくれ。ここからは足元が危険だからおぶっていくから」

「私はそこまで子供じゃないよ」

「そんなの気にするな。俺が運んでいきたいんだよ」

 馬から降りたダモンはマルシアを抱き止める。

「じゃあ行こうか。見せたいものは、もう目の前だから」

 ダモンはマルシアを背負い、石だらけの坂を登る。

 そして天辺に辿り着く。

「着いたのかい?」

「ああ、外して良いぞ」

 ダモンの声にマルシアは目隠しを外す。

「これは!」

 マルシアが息を呑むのが耳元で聞こえてダモンは思わず微笑む。

「綺麗だろ?」

 小高い山の頂上で二人が見たのは光輝く真っ白い砂浜の先、引き込まれそうなほど彼方まで続く蒼く澄んだ海だった。

「どうして海だったんだい?」

 マルシアは海を見ながら尋ねる。

「まあ、マルシアの街には港があるから見飽きてるかもしれないが、俺はこっちに来て初めて海を見たんだ。それで楽しくなって色々と探検していたらここを見つけたんだ」

「それなら直接海に連れてってくれれば良かったのに」

「海だと日光が強いだろ? でもここなら木陰もあるし、涼しいからな」

「なるほどね」

 マルシアが微笑んだ。

「ねえ、ダモン」

 だが笑みはすぐに消える。

「ダモンは海の外に出たいかい?」

 唐突な質問だった。

「分からない。なんせ海を見たのも最近だから」

「姉さんは大きな船で世界中を旅したいらしい。アイシアは教師や医師になって世界中の子供たちを笑顔にしたいらしい。私と違って二人には大きな夢がある。そしてそれを支えてくれる人が必要。でも短命な私にはそれが出来ない」

 真剣な眼差しでマルシアはダモンを見る。

「ダモンは誰と結婚するの? ううん、違う。ダモンは二人のどっちを幸せにしてくれるの?」

 

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