〈白の次女③〉
「ああ、そうだ。『天性の才』を持つ者は決まって短命だ」
マルシアから聴いた言葉が忘れられずガルシアに訊いたダモン。
彼女の言葉は真実だった。
「まだ、子供なのに……!」
「ダモン。お前が気に病むことではない。寿命五十年の時代だ。そして大陸各地では戦争に飢餓、疫病が広がり若くして死んでいく命など珍しくもない。『天性の才』もその一つだ」
「……どのぐらいまで生きられるんですか?」
「力の使い方で寿命は変わる。無理をしなければ、すぐには死なない」
「それなら!」
ガルシアは首を振る。とても辛そうに。
「マルシアの瞳は常に力が発動している。保って二十代、早ければ数年のうちに、あの子は死ぬだろう」
「……クソっ!?」
ダモンは悔しげにテーブルを殴った。
「彼女は! 彼女はまだ子供なんですよ! なのにどうして!? 白髪の一族が神の使いだというなら長寿だって良いじゃないか! 幸せを、将来を願っても良いじゃないか!」
「だからこそだ!」
吼えたのはガルシア。
「俺たちの身体は肉体のある人間。それに神の力が宿れば耐えられなくなって崩壊する。だからこそマルシアは今を全力で生きようとしているんだ!」
厳しかったガルシアの表情が和らぐ。
「だからマルシアを可哀想だと思わないでやってくれ。あの子もそれを願っている」
「何をボーッとしているんだい?」
「何でもないよ、マルシア」
翌朝、ダモンはマルシアを連れて街を出た。




