〈白の長女②〉
「レティシアがそんなこと言っていたのか?」
夕食を終えたダモンは恒例となったガルシアとの世間話を始める。そして話題がレティシアになったときだった。
「はい。盗賊を倒しに行こうと」
「う~ん。レティシアらしいな」
ガルシアは苦笑する。
「あの子は怖いもの知らずだからな。この前なんて群れからはぐれた狼を手懐けてペットにしたいって連れてきたぐらいだし」
「狼を飼っているのですか!?」
「ああ。さすがに街に入れるわけにはいかないから近くの林に野放しで飼っている。たまにレティシアは遊びにいってるぞ」
「凄いですね。正直驚きました」
「それが、あの子の『天性の才』だからかもしれないな」
「『天性の才』? 何ですかそれは?」
聞き覚えのない言葉にダモンは首を傾げる。
「俺たち白髪の一族の一部の者に現れる特別な力だ。それを『天性の才』と呼んでいる」
「レティシアも『天性の才』だと?」
「ああ。あの子は挑み続け、退かない子だ。『天性の勇』とでも呼ぶのかもしれない。勇気溢れる娘だ」
「ダモン様は、どんな『天性の才』をお持ちなのですか?」
「俺はただの男だ。『天性の才』はない。つまり俺がここまで成り上がったのは俺が努力家で優秀だったというわけだ!」
ダモンはどや顔で笑った。
翌日の朝、レティシアが街に居ないことに気付くのは少し時間が経ってからだった。




