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み憑かると不味い物はありますか?飛ぶ円盤?

 幽霊の得意技は何なんだろうか?

 壁抜け、取り憑き、姿を消すetc…。

 俺はそこに恨みがましい表情が得意を付け加えたい。

 事の始まりは、居候幽霊向日葵が部屋の掃除をすると宣言した事に始まる。


「譲は私の女子力を馬鹿にし過ぎなの!!今からお部屋を綺麗にしてあげるから譲は車の中を片付けていなさい」

 何を持って女子力が高いと低いとか判断するのか分からないれども、向日葵はああなったら人の言う事に耳を貸さない。

 俺の部屋はある程度は片付けているから、掃除をするとしてもそんなに時間は掛からないと思う。

 俺は車の中を片付けて、少し時間を置いてから部屋に戻る。


「向日葵ー、終わったか…」

 思わず無言でドアを閉めてしまった。

 あれはヤバい、怖すぎる。

 真っ暗な玄関で向日葵が正座をしていたのだ。

 恨みがましい顔をして。

 駄目過ぎて忘れがちだが、向日葵は幽霊。

 恨みがましい表情は堂に入っている。


(何があった!?向日葵を怒らせる様な事をしたか?)

 向日葵が寝てる隙に、隠しておいたケーキを食べた事か?

 向日葵がTシャツを変えたのに、気付かなかった事だろうか?

 それとも、向日葵が好きだった漫画の最終回を教えた事だろうか?

 深呼吸をして息を整えてドアを開ける。


「ゆーずーるー。なんで、ドアを閉めたのかな?」

 上目遣いで睨んでくる幽霊ひまわり…かなり、怖いです。


「いやー、余りにも綺麗になっていたから部屋を間違えたかなって、思いまして」


「ふーん、所で、これはなに?」

 向日葵の後ろで何かがキラリッと光った。


(あれは俺のエロDVD…あいつ、掃除をする所を見つけれないで押し入れに手を着けたな)

 エロDVD、それは男の趣味が丸分かりになる危険物。


「それは寂しいおじさんの夜のお友達と思って頂ければ…」


「ふーん!!何が素人奥様よ。部活高校生マッサージって何よ!!25才以上じゃないと、何とか言ってなかったっけ?この犯罪者っ!!」

 エロDVDがビュンと音を建てて飛んで来た。

 その姿は正に空飛ぶ円盤(DVD)。


「ビデ倫マークが着いてるのは18歳以上だからセーフなんだよ」

 

「言い訳になるかっ。不潔っ、変態、エロ譲」

 男だからエロは否定出来ないし、否定する気もない。


「ちょっと待て。壁に傷が付いたら引っ越しの時に金を取られちまうだろ」

 それに押し入れにあるのは俺のお気に入りばかり。

 表紙と中味が一致してる奇跡のお宝なのである。

 エロDVDは表紙を見て気に入って買っても、いざ見てみると、この娘はどこに出てた?って事が多い。

 そんなDVDが多いの中、選びに選び抜いたお宝ばかり。


「うるさーい。女の子が同居してるんだから、さっさっと捨てなさいよ!!」


「馬鹿、エロDVDは捨てるのが大変なんだぞ」

 アパートのゴミ捨て場なんかに捨てたら、俺の趣味がご近所様にばれてしまう。

 後日、捨てる事を約束して部屋に入れさせてもらう。

 ちなみに部屋は余り変わってなかった。


―――――――――――――――


 俺が部屋に上がると、同時に花火の音が鳴り響いた。


「エロ譲、あの花火はなに?」


「あー、近くの公園で夏祭りがあるんだよ」

 出店もそれなりに出て賑やかだけど、野郎一人では行きにくい。


「夏祭り?行きたい!!連れて行って」

 すっかり忘れていた、向日葵は賑かなのが大好きなお祭り娘。


「幽霊が夏祭りに行ってどうするんだ?」


「そんなの幽霊差別だよっ。はーやくー連れてけー」

 どうやら向日葵の意識は、DVDから夏祭りに移行したらしい。

(泣いた子がならぬ怒った幽霊が笑ったと。まっ、夏祭り位は良しとするか)

 向日葵をスマホに取り憑かせて夏祭りに向かった。

 そして夏祭り会場に着くなり、向日葵のメール攻撃が始まる。

 

[譲、ゆーずーるー。たこ焼き食べたいφ(゜゜)ノ]


[スーパーのフードコートの方が安くて美味いから駄目]

 それにスーパーの割引も始まる時間だ。

 

[けーちー、焼そばなら良いでしょ( ̄□ ̄;)!!]


[三食一パック蒸し焼そばには勝てません]

 あのコスパの高さに勝てる訳がない。


[ブー、それならフランクフルトーd=(^o^)]

 フランクフルトなら良いかと思った俺が甘かった。

 一度、火の着いた向日葵の食欲物欲は止まらず…たこ焼き、お好み焼き、焼そば、焼き鳥を購入させらる。

 何時からだろう。

 夏祭りの食べ物を値段だけで、判断し始めたのは。

 何時からだろう。

 イベントに距離を置き始めたのは。

 久しぶりに誰かと何か楽しめたのは確かだ。

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