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8.魔法座学

 そんなこんなでめんどくさい奴を足蹴にして、リネと一緒に教室に来た。周りを見れば見るほど、貴族のような風貌のやつしかいない。そしてどこかみんな、相手を物色しているような感じ。

 貴族はプライドが高いらしいからなぁ。オルフェウス兄さんは全くそんな匂いしなかったけれど、父上と母上はモロそれだったし。


《テメェ、よくもまぁこんなクソめんどくさそうな奴らに囲まれて平気だな》

(びっくりしたぁ!? 急に出てこないでよ!)

《なっはっは! テメェがプリテンダーのクソ坊をボコしたの見てたら、出たくなっちまった》

(あぁ……そういう……)


 やっぱり前任者ってめちゃくちゃ血の気が多いのでは。元の性格がどうかは分からないけれど、あの家での扱いで荒んだのとそのせいで反骨精神が現れたんだろう。

 そのせいで、自分を見下す全ての人間が不幸になったら面白いと思うようになってるような気がしてならない。

 僕も魂を底まで見れるわけじゃないから分からないけどね。その人の本質ってところは、結局他人の誰にも分からない。


《またイジめられたら教えろ。出てボコボコにしてやる》

(でも前任者? 君剣がないとなんじゃないっけ)

《あぁ……今度から帯刀しとけ》

(僕使えないものを持っとかないといけないんですか)


 なんて自分勝手なんだ。わかってたことだけど。そこからまたフッと反応が消えた。全くわがままだなぁほんと。今度剣を買っておいてあげよう。


 僕が心の中で前任者とコントしている間に、授業が始まっていた。ダリ先生との魔法家庭教師の時は、魔術の座学のようなものは一切せずひたすらに魔法の特訓ばかりだった。

 まぁ初っ端からいきなし魔法を放てたのだから、座学なんて二の次ってなる気持ちはわかる。ダリ先生は僕……レオンハルトに期待していたらしいし。

 だから僕が知ってるのは魔法はイメージと魔力次第で、威力や規模が大きく変わるってことくらいなものだ。


「皆さん。魔術には個々に適性というものがございます。例えば三人の人がいれば、一人は炎に適性があり、一人は水に適性があり、一人は雷に適性があり。適正の魔法は、通常よりも威力が上昇します」


 え。じゃあ僕がひたすらやってきたあの魔法使う日々はなんだったんだ。僕って炎も水も雷も、なんなら全部の属性の魔法の威力が均一。上振れも下振れもない。

 つまり全部に適性が無い……? でもザオ先生がそんな重要なこと知らないわけないし……違和感を覚えたなら即指摘してるはず。


「適性魔法に関しましては、皆様個人個人で適性検査水晶というもので確認してください。教室の隅に置いておきます」


 そんなフランクな感じなのか。と思ったけど、ここにいるのは貴族の皆様が大半。大体各ご家庭で確認してるのか。

 リネはなんの適性なのだろう。斜め後ろにいるリネに視線をやって、アイコンタクトで確認する。リネはボンッと口パクして、手でグッパッとジェスチャーした。おそらく爆破だろうけど、凄く分かりやすいよリネ。そしてめちゃくちゃ可愛い。


(爆発系メイド。いいねぇ属性が盛られている)


 そんな事を考えつつ、僕も自分自身の適性について少し考えてみる。大体の魔法は初級魔法まで放てるようにはなったけど、その全てで威力の上下は無かった。

 確かにイメージの問題で多少変化することはあったけれど、適性でのズレとは思えないくらい細微なものだった。僕の場合イメージしやすいかしやすく無いかで結構変わるから、やはり適性は関係なさそう。


(うーん……水晶を使うのもなんかなぁ……)


 僕としては色んな魔法を据え置きの威力とはいえ、変動無しで使えるのは普通にいいことだと思うから別に確認しなくてもいいとは思っている。

 それどころか、確認したらなんかそれを極めなきゃと思っちゃうかもしれないから気が進まない。僕、割と尖った性能好きだったりするし。

 そんなことを考えつつ、僕は最初の魔術座学の時間を有意義に過ごしたのだった。

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