世界の終わりの始まり
この章では、主人公が見た悪夢について描かれている
「——さん」
息も絶え絶えに、俺は彼女の名前を呼んだ。
「——さん、頼む、やめてくれ!」
どれだけ叫んでも、彼女は振り向かない。
彼女はこちらを向き、微笑んだ。
「ごめんね、ミカ。でも、これが一番いい方法なんだ。」
その笑顔が——逆に俺を怒らせた。
「この野郎、全員ぶっ殺してやる!絶対に忘れないからな。彼女を離せ——さもなければ、お前たち全員を殺す!」
俺は抵抗した。俺を押さえつける奴らに。もう死にかけのこの体に。でも……何も変わらなかった。
すると、奴らの一人が笑った。
「この虫けらが。好き放題できると思っているのか、あ?」
剣が俺の心臓を貫いた。
冷たい。すごく冷たい。
でも、その痛みなんて、彼女が去っていくことに比べたら何でもなかった。
俺はまだ手を伸ばそうとした。持てる力のすべてを、可能性のすべてを振り絞って。彼女まであと数歩。
でも、その数歩が——あまりにも遠かった。
最期の瞬間、彼女がささやいた。
「ごめんね、ミカ。さようなら」
「——さん、頼む、行くな……!」
そして、あの出来事全部が——本当にあったことなのか、俺にはわからない。ハッキリと思い出せない。
でも、確信している。
これはきっと——ただの悪夢だ。
目が覚めた。
窓の外では、星昇ったばかりだった。村は静かだ。
ただの夢。
でも……
なのに、どうしてまだ胸が痛むんだ?
最後まで読んでくれてありがとう。これからも頑張ります。




