その男が出来るというから証明してもらおう
ダンジョン攻略途中で、仲間のイライザが無残な死を迎える
それを阻止する為には、このパーティーを追放されたルークの凄さを知れば、
ダンジョンに向かう事を諦めるはず
ルークの代わりとなる候補者を集め、その場で無理難題を伝え、出来る者がいないとわかり愕然とする他のパーティーメンバー達
よし!決まった!!
これで、ダンジョン攻略は諦めるは…
「それ、俺なら出来るけどな」
……は?
候補者5人に目をやるが、そこで手を挙げている者はいない
は?えっ?
そうだよな、この中にあれほどの事が出来る者はいなかったはず
声の先は、その候補者たちの後ろの扉あたりから聞こえてきた
「今、なんて言った?」
驚く表情の俺を見ながら、そいつは言った
「いや、だから、今言ってたそれ、俺なら出来るけど?」
スラリとした細見で長身の黒髪の男は言った
誰だ?
どことなく、見覚えがある…気も…
………
……
…
「カイトじゃない!カイトよね!!」
イライザが無邪気な笑顔で声をかける
「イライザ、久しぶり!元気にしてたか?」
カイトと呼ばれた男は、イライザに向けて大きく手を降った
カイト?
ふと頭の中の記憶がよみがえる
この記憶は、キースの記憶だ
5歳頃の記憶
探検ごっこと称して遊ぶ仲間
俺、イライザ、ルーク…そして、カイト
「あ!カイトか!!」
思わず立ち上がる
「なんだよ、勇者さまは随分と物忘れが酷いと見受けられますな」
からかうような口調でカイトが言い放つ
「だって、お前あれから何年経ったと思ってるんだよ
久しぶりだな!」
カイトに近付き、お互い拳をぶつけ挨拶をする
「3人はお知り合いですの?」とシンシアが尋ねる
「そうよ。こーーーんな小さい頃のね」
「そこまでは小さくないがな」
おおげさなイライザにつっこむカイト
いかん、再会の驚きで忘れていた
「で、さっきの【俺なら出来る】って言うのは?」
そう尋ねると
「言葉そのままの意味だよ。俺なら出来る」
本当か…そうそう出来るものではないだろう
「そ、それじゃ、物は試しで俺達に力の補助魔法と加護魔法を同時に行なってくれ」
半信半疑で伝えてみた
「いいだろうよ、ほら」
カイトの腕から光が放たれる
その後に感じる身体の軽さ
身体の底からみなぎるような感覚
「おおー!これ、ルークの時と似てないか?いや、それ以上かもしれないぞ!」
アンダーソンが嬉しそうな声で言う
確かに底知れぬ力が身体の中から感じられる
でも何故?
こんな事が出来るのは、この世界でも数人いるか、いないか程度……
いや…いたな!1人!!
主人公ルーク達の前に現れた強敵の1人
【カールダイド】
自分の生まれ故郷の村を殲滅され、
誰も助けに来ない事への恨み
助けを求めた先で軽くあしらわれた事への恨み
全ての恨みから、人から悪魔へと変わり果てた男
カールダイドは、ルークと同様の魔力量や技術を持ち、かなり困難な闘いだった
あのカールダイドがカイトか!!
なるほど、それなら納得いく
「ねえ、これだけの力があるんだし、カイトに仲間に入ってもらいましょうよ」
嬉しそうな表情でカイトの腕にしがみつくイライザ
「そうだな!それがいいんじゃないか!なあ、キース」
「私も良いと思いますよ、キースさん」
嬉しそうな3人の表情からつい
「あ、ああ。そうだな」
と答えてしまった
あれ?これでは、ダンジョン攻略を阻止出来ていないのでは?




