黒い光を放つ魔石
勇者パーティーを含め、総勢16のパーティーで北の地に向かった
魔王城よりも手前の地、人族の地とされる場所で、魔物たちが暴れていると聞く
その地での討伐が、今回の任務だ
目的地近くになると、道は険しくなり、辺り一面暗く、寒さが一層と強まる
いつ魔物たちが現れるかわからぬ状況に、一気に緊張が高まる
そんな中、俺の手をイライザがギュッと握りしめてきた
「キース、死なないでよね」
イライザは真っ直ぐと前を見ながら言った
俺は何も言わず、イライザの手をギュッと握り返した
静寂の中、突如
「グオォォォーー!」
と、大気を震わせるような魔物の咆哮が響き渡り、耳をつんざく衝撃が周囲を包んだ
戦闘が始まった
多くの魔物たちが一斉に襲いかかる
だが、こちらも選りすぐりのパーティーが集まっている為、ほぼ互角かそれ以上だ
それでも減り始めたと思えば、また湧いて出たかのように魔物たちが集まる
何かトラップのような物があるのかもしれない
原因を探らねば
物語の記憶を辿っていく
この頃、物語の記憶が少しずつ薄れているように感じる
それは、物語の流れを変えた影響なのだろうか
確か…何か奥にあった気が…
物語の勇者・ルークが解決した時の…
なんだ、思い出せ!思い出せ!!
「……!魔石だ!!」
魔物たちがいる先に、広場のような場所があり、そこに黒い光を放つ巨大魔石がある
その魔石から、魔物たちが召喚され出てくる
それを壊さない限り、延々と戦い続けなければいけない
「この先に巨大な魔石がある可能性がある!数名は、俺と共に魔石を探しに。残りはここでの討伐を引き続き頼む!
カイト!カイトは、ここで皆の援護を頼む!」
「わかった!」
「シンシアは、他のパーティーの負傷者の手当てを!」
「了解しましたっ!!」
「アンダーソン!イライザ!どちらか1人残り討伐を頼む!」
「わかった!そしたら、私がキースと一緒に…」
イライザがそう言いながら、一歩踏み出そうとしたところ
「いや、俺が行く。ここはお前に任せる」
とアンダーソンが前に出た
「……わかった。お願いね!!」
俺は先に先にと進むが、魔石の場所へと辿り着けない
場所の記憶が曖昧過ぎる
この辺りだとは思うのだが、一体どこなんだ!?
「キース!おい!こっちだ!!」
ふと振り返ると、アンダーソンが洞窟の前で手を降っている
そうだ!
洞窟を降りた辺りに広場があり、そこに魔石があった!!
「今行く!!」
俺はアンダーソンが案内する、洞窟に駆け寄る
洞窟の中を進むと、少し明るくなり、広場が見えてきた
「あった!!」
魔石だ!やはり、ここから召喚されていたのか!
黒い結晶は地面に根を張るように突き刺さり、表面からは紫色の亀裂が走り、そこから瘴気が噴き出している
その瘴気が渦を巻き、次々と魔物の形を成していた
「魔石を壊さないとな。アンダーソン、手伝ってくれるか?」
「もちろんだとも!」
互いに頷き合い、魔石へと駆け寄ったその瞬間
ジャリッ、と石を踏む音が、俺たちの横合いから響いた。
耳障りな音が戦場の喧騒を切り裂き、嫌な予感が背筋を走る。
「遅かったではないか……アンダーソン」
低く響く声にハッとして振り向くと、岩の上に影が立っていた
禍々しい二本の角
そいつは、岩を踏みしめ、赤い瞳でニヤリと笑い、こちらを見ていた
コイツは……まさか……




