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故郷ルーラング

翌日、王都を離れルーラングに向かった

ルーラングは、王都の近くなので、それほど時間はかからない


ルークにはそこで会えるのだろうか

ルークに会ったら、まずどう声をかけるのが良いのだろうか

追放した俺たちを見たら、嫌悪感を露わにするのだろうか


そんな事を考えていると、すぐにルーラングの入口が見えてきた

懐かしい我が故郷


ダッドは、ルーラングから来た子かもしれない

と前日の夜にイライザと話していたが、

ダッドの様子を見ても、あまり反応がない

自分の住んでいる街なら、もっと反応があっても良いものだが、ここではないのか?


「ダッドの住む街は、ここではないのか?」

尋ねてみたが、不思議そうな顔をし、首をかしげるだけだった

ここではないのか


入口を入って少しした所に教会がある

その教会の裏が、キースとルークがいた施設だ


教会の前では、女性と子供たちが楽しそうに遊んでいた


「あ!勇者様だ!」 

子供の1人が声を上げると、一斉にこちらに振り向いた

駆け寄る子どもたち

その奥で、手を口にあて、涙ぐむ女性がいた


「おかえりなさい。キース」

涙声の女性は、俺が小さな頃によくお世話になった人だ


「ただいま。マザー」

マザーは涙を軽く拭い、鼻をすすった後

「まあ、随分と立派になったのね。元気そうで良かったわ。

キース、お腹は空いていないの?」

とハグをし、嬉しそうに話しかける

「ああ、大丈夫だよ」


「あら!あなたはイライザね!素敵なお嬢さんに育って」

マザーはイライザの肩を抱き寄せる

「お久しぶりです。お元気にされていましたか?」

イライザもマザーの前では大人しいものだ


「誰かと思えば!あなたカイトね!!大きくなっちゃって!お母様はお元気?」

マザーがカイトを見上げている

「お久しぶりです。マザー。はい、すっかり元気になりました。」

カイトも嬉しそうに話しかける


「マザー。あと、シンシアとこの大男がアンダーソン」

「シンシアにアンダーソンね。こんにちは。キースを守ってくれて、ありがとう」

にこやかにマザーが挨拶する

いつもうるさいアンダーソンも、マザーの前では大人しく照れ笑いをしている


「あら。この子は…?」

ひょこっと現れたダッドに目をやる

「この子は、ダッド。マザー、この子を見かけた事は?」

マザーに尋ねたが、首を横に振り

「申し訳無いんだけど、見かけた事ないお顔ね。こんな可愛い子なら忘れるはずないもの」

やはり、ダッドはこの街の子ではないのか…


マザーが手をパンと叩き

「あ、そうそう!この間、ルークも帰ってきたのよ!」


やはり、ルークはここにいるのか!


「ルークは今どこに!?」

「昨日まではここに居たんだけどね、なんでも約束がある?とかで、北の地に向かうと言って、また旅に出たのよ」


一足遅かったか…

しかし、約束とは?誰かと約束しているのか?

すでに他のメンバーが集まっているのか?

「ルークは1人でここへ?」

「いいえ。ここには2人で来て、旅立つ時には1人で出たのよ」

仲間を置いて?そもそも仲間ではないのか?

「その一緒に来た人はどこに?」

「そろそろ帰ってくるわよ。あ!ほら、丁度帰ってきたわ」


マザーが指差す方向を見ると、子どもたちと共に、ポニーテールの女性がこちらに歩いてくる


「お姉ちゃん!!!」

ダッドが駆け出す

お姉ちゃん!ダッドの姉か!!


ポニーテールの女性も、駆け寄るダッドに気付き走り始めた


坂道を駆け下りた辺りで2人は出会い、抱きしめあっていた


「ダッド!なんで!なんで、ここにいるのよ!!」

「お姉ちゃん!いないから!会いたかったから!」

ダッドは顔をクシャクシャにして泣いている


「ダッドのお姉さんですか?」

問いかけるとこちらを見た

「あ…あなたは……キースさん?」


ダッドの姉の話では、

ダッドの住む村は、ここからかなり先の村で、やはり子供の足では到底着く事のない場所

しかも、ダッドが現れた方角とは逆の場所にある


ダッドの姉は自分たちの村に、子供たちの教育の場を設けるため

その勉強に、ここまで訪ねてきたとの事


ルークと出会ったのは、ダンジョンの近くの街から、ここまで来る時に魔物に襲われそうになり、ルークが助けたそうだ

さすが、真の勇者ルーク


ちなみに、ダッドの父親とキースは確かによく似ているそうだが、父親をもっと若返らせたら、キースそっくりだそうな

これて、俺の隠し子疑惑は晴れた。良かった


「それにしても、私はラッキーです。

ルークさん、とても自慢していたんですよ。

今は別々だけど、素敵な仲間がいるんだ!って。皆さんのお話をよく聞いていたんです」

「ルークが?俺たちの事を?」

「はい。お話に聞いていた通りです」


ルークがまだ俺たちを仲間と言っている?どうして?追放をするような者たちを仲間と?


不思議に思っていたが、その横でシンシアが泣き始めた

「ルークさん…まだ仲間だと言ってくれてるなんて…」

大粒の涙を流している


ルークに謝罪は出来なかったが、これで少しはシンシアの気持ちも晴れただろうか?


「シンシア。そのお守りは大事に持っていてくれ。俺たちも北の地に向おう」

ルークに聞きたい事も言いたい事もある


俺たちも北へ向おう

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