流行病
食事を済ませたあと、俺は1人街の中を散策した
今回、王都を訪れたのは、1つ気にかかる事があるからだ
物語の中では、ルーク達がダンジョン攻略後、王都で謎の病が流行り始める
そう、カイトの母親もかかっていた病気だ
その病が異様な早さで広まり、死者も多数出る事となる
そのような事態が起きていないか、気になっていたが、王との謁見の際には、そのような話は特になかった
街中を歩けば、何か病に大しての情報があるかとも思ったが、特にない
ルーク達一行がダンジョン攻略をするのは、本来なら数ヶ月後だからなのだろうか
そう思いながら歩いていると、途中の花屋に目が止まった
荷降ろしに来ていた馬車に目をやると、見覚えのある花が…
あれ、シャンティ草ではないか!
王都では見た目が華やかな花が入荷される事はあるが、シャンティ草は華やかな花ではない
何故王都の花屋にシャンティ草が?
元々、王都近くにはシャンティ草はなく、その為、流行病の薬の材料となるシャンティ草をルーク達が探しに行くはずだ
なのに、何故ここにある?
そう思いながら見ていたところ、花屋の店主と目があった
「勇者様!!いらしていたんですね!この度は、ありがとうございます!」
「え?いや……、なんの事だか…」
「シャンティ草ですよ!この花に病を治す力があるなど、誰も知らず。
勇者様のおかげで、うちの母も助かりました。本当に、本当に、ありがとうございます!」
そう言いながら、店主は俺の両手を握りしめた
「いや…その………その話は一体誰から?」
少し焦りながら聞くと、店主はにこやかに答えた
「ルーク様ですよ。先に到着したルーク様が、勇者様が見つけた治療法を伝えに来て下さったんです」
またルークが?
ルークは一体何を考えているのだろうか
何故俺の功績にしようとしているのだろうか
自分の名前では、信用を得るのに時間がかかるから、とかなのか
「今は王都でシャンティ草のお茶や、部屋に飾る事が増えまして、こうして仕入れているんですよ」
なるほど。それでどこからも流行病の話題が出てこないのか
しかし、シャンティ草の知識は、俺ではなく、物語の中のルークの成し得た事を行なっているだけなので、俺の功績となっているのは、どうも落ち着かない
まあ、とりあえずは病が流行る事が阻止されているようで良かった
物語はある程度、筋書き通りに進んでいるが、何かしらの変化が起きているようだ
気になるのは、
ルークは何故、こちらの動きを把握しているのだろうか
そして、その功績を何故、勇者のおかげ。として伝えているのか
追放されたパーティーの勇者に、恨みはあれど、感謝はないだろう
それなのに、勇者の栄誉を称えるような事をするのは、どういう理由なのだろうか
やはり一度ルークと話をしてみよう
こちらでアレコレ考えていても始まらない




