シンシアの意思
「ねえ、キース。ちょっと良い?」
部屋に戻ろうとしたところ、イライザから声をかけられた
「ああ、大丈夫だが、どうかしたか?」
「最近のキース、なんだか少し変よ?何かあったの?」
心配そうに顔を覗き込む
「いや、何かあった訳ではないのだが…
イライザ、シンシアから何か聞いたりしていないか?」
「シンシアから?特に何も聞いてないけど?」
「例えば…パーティーを抜ける相談とか…」
「パーティーを抜ける?シンシアが?
そんなわけないじゃない」
イライザは笑いながら言った
「それで、このところシンシアの事ばかり見ていたのね。
バカね。それなら直接シンシアに聞けば良いじゃない」
「直接俺が聞いて、答えてくれるだろうか…」
「わからないわよ!でも、このままモヤモヤしてるよりは、ずーっとマシなんじゃないの?」
確かにイライザの言う通りだ!
正直に答えてもらえないかもしれないが、何かきっかけにはなるかもしれない
そう思い、シンシアのもとへ向かった
シンシアの部屋を訪れたところ、丁度部屋に入ろうとしているシンシアと出会った
「シンシア、今、少し時間いいだろうか?」
「え…?あ、はい。大丈夫ですよ」
シンシアが動揺しているように見えたが、気のせいだろうか
シンシアの部屋に招き入れられ、椅子に座った
小さなテーブルの上には、紅茶とお菓子が出された
「単刀直入に聞く。シンシアは、このパーティーを抜けるつもりでいるのか?」
シンシアの目をじっと見つめて問いかけた
シンシアは、ぽかんと口を開けた状態だったが、すぐに
「このパーティーを抜けるなんて、考えた事もないですよ」
と答えた
「本当か?俺にだから、隠そうとしたりはしてないか?」
と問いかけると、シンシアは笑い出した
「そんな事ないですよ。何故、私がパーティーを抜けると思ったんです?」
少し間を開け俺は答えた
「いや…先日、カイトにルークの居場所を尋ねたと聞いてね。
その…このパーティーに嫌気がさして、ルークのもとへと行くのかと…」
と下を向いた状態で伝えたところ、
シンシアは少し考えた後に、こちらを見て
「ちょっと待ってくださいね」
そう言いながら、立ち上がり、棚の上部にある小さな引き出しを開け、何かを持ってきた
「これをルークさんに返したかったんです」
「…これは?」
小さな白い袋の中に何か入っている
袋を開けると、中からペンダントが出てきた
このペンダント…どこかで見た事がある気が………
「ルークのペンダント。確か母君の残した物と聞いていたが」
「そうです。ルークさんがお守りとして持っていたのですが、ある日、私に『預かっていて欲しい』と渡されたんです」
とても大事にしていたのに、何故シンシアに預けたのだろうか?
「ダンジョンの討伐に行く際にお守りとして、私の身を案じて貸してくれたようです。
先日、カイトさん家族を見て、これを返さないとと思いまして」
それでルークに会おうとしていたのか
「あとは、ルークさんに一言謝りたかったのもあるんですけどね。追放の話が出た時に何も言えずにごめんなさいと」
少し悲しげな笑顔を浮かべた
「そうか。了解した。ルークに会いに行こう」
「良いんですか?キースさん」
少し驚いた顔をしている
「ああ、俺もルークと話がしたかったんだ」
ルークに森に俺たちが居たことを何故知っていたのか、
そして、今までの事を色々と聞きたいと思う
とりあえず、シンシアがパーティーを抜ける気がない事を知り、安堵した




