失望と脱退
村を離れ、一旦街に戻る事とした
馬車に揺られながらの移動だ
勇者パーティーもカイトが加わり、ひとまず安心だ
この後に起こる事といえば、
物語の中では
『シンシアが勇者の態度に失望をし、勇者パーティーを抜ける
その後にパーティーを追放されたルークに会い、心からの謝罪をして、田舎に戻る』
という話だったな
やはり、シンシアは勇者に嫌気がさすのだろうか
シンシアの今の態度を見る限りでは、そのような感じはしないのだが…
「なんですか?キースさん!私の顔に何かついてます?」
シンシアが焦りながら口の周りを気にしている
「あ、いや。すまない」
「いやーねー、キースったら、シンシアの顔に見惚れてたの?」
イライザが少しむくれた顔をしている、何故だ?
「駄目だよ、キース。シンシアちゃんは俺のものだよ」
カイトがシンシアの肩を抱き寄せた
「えぇーーーっ!!」
シンシアが真っ赤な顔をして驚いている。可愛いな
「おいおいおい、なんだこのパーティーは。俺1人除け者じゃないかよ」
「そんな事とないさ、アンダーソン。君も僕のものだよ」
カイトがアンダーソンにウインクした
「やめろよー!うぅー、気持ち悪いわっ!!」
皆大笑いしている
このパーティーがこんな賑やかなのも、なんだか久しぶりな気がする
「とりあえず、街に着いて馬車を降りたら、食事にありつこう」
街に到着したのは、すっかり日も落ちた夜だった
食事と軽くお酒を嗜んだ後、宿に戻り各々部屋に戻る
ふと下を見ると、シンシアとカイトが何やら話をしている
「おーい。シンシアー!カイトー!」
手を振りながら、声をかけると、
カイトは、こちらに向かって手を降っているが、
シンシアは少し気まずそうに下を向いた
え?何故?
シンシアは、下の階の自分の部屋に戻っていった
階段を上がってきたカイトに声をかける
「なあ、カイト。シンシアと何を話していたんだ?」
「シンシアからルークの居場所を知らないかって聞かれていたんだよ」
ルークの居場所をカイトに?
やはり、シンシアはこのパーティーを抜けて、ルークに謝りに行こうとしているのか?
「ルークの居場所を?カイトはなんて答えたんだ」
「いや、俺もルークの居場所はわからないからな。そのまま伝えたまでだよ」
そうか、本来の物語の中では、
『ダンジョン攻略を失敗し逃げ帰ってきた勇者一行
仲間の一人を置き去りにして逃げ帰ってきた
そのイライザは死んだらしい
という噂は、あっという間に世間に知れ渡り
「勇者パーティーは、優秀なルークを追放してしまった無能集団だ」
と嘲笑われ、
その話の中で、どうもルークは優秀な仲間たちと旅に出ているらしい
という噂が流れてくる』
のだが、
今回は
仲間を失う事もなく、離れた森の魔物を退治した
という話が流れ始めているからなのか、
ルークの話がまだ聞こえてこない
それで、シンシアにもルークの居場所がどこかは伝わっていないのか
街の人達に聞けば、誰か知っているのだろうか?
彼は元気にしているのだろうか?




