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ダイヤモンド・ダスト
ある日世界の裂け目が顕現してしまい、大勢の魔族が人間界に雪崩混んで来た。
走り出し声を上げて逃げ惑う人間達と同様に魔族も走り出す。
しかし、その魔族の声は怯えや恐れを引き起こす気で駆け出したわけではなかった。
スッと息も絶え絶えに先頭に出てきた年配の魔族のクルルド人がこう宣言した
「我々も魔族も同じだ!人間のように生活を脅かされてこの地に迷い込んでしまったのだ」
つまり故郷を追われて此処に辿り着いたというわけらしい…真偽の程は定かではないのだが到底嘘を吐いているとは思えない迫力があったのだ。
空も空けて日の差し始めた頃においても、クッキリと鈍く光る青眼が曇りなき眼であることを声高に主張していた。
かくして、人間と魔族の共生圏の始まりである。
人間族側の代表の村娘の銀色の長い髪を束ねた少女。彼女の名はリルテット...戦場を慈しむように見渡してこう言ってのけた。
「そんなこと間に受けてたら、戦争なんて起こらないでしょ!」
リルテットが村の中心部に来て呪文を唱える...
大地に微かな脈動が生まれる。一筋の暖かな光が草木に灯っていく。