マンホール転生
私とモブ君は双方の両親に報告し
今日来てくれた方々に挨拶しお見送りした。
アラン様とアラン様のご両親が、私の両親に力強く握手をして挨拶をしていた。
モブ君のご両親とモブ君は我が家に泊まっていくようだ。
モブ君が言うには、多分婚約なんて曖昧なものじゃなく、結婚になると思う。
と言っていた。
ただ、この国の結婚可能年齢が15歳らしいのであと2年半は婚約らしい。
私はモブ君に連れられて、玄関ホールの階段を上がった所にある談話室(ソファが置いてあるだけ)にいた。
モブ君はローテーブルの上にキューブ状の魔道具を置いた。
上部をひねるとブンという音と共に魔力の波動を感じる。
「盗聴防止?」
「うん。君さっき認識阻害の件で、
夢とか言って誤魔化したでしょ?
僕と結婚するか死ぬかのどちらかしかないんだから、きちんと話して?」
私は素直に話す事にした。
前世の知識に関してはサックリと話した。
モブ君は、そんな知識を持っていた前世の私に興味を持った。
私は前世の記憶に偏りがある。
コンビニスィーツで好きなモノは覚えているけど、自分の事に関しては記憶が薄い。
多分33歳位で死んだんじゃないかな?
消えずに残っている最期の記憶。
その日、コンビニにチョコもなかアイスを買いに行った。
抗うつ剤を飲んでいた。
本当は抗うつ剤を飲んだら、出歩かないで寝た方がいいのだ。
あれを飲むと注意散漫になる。
それでマンホールに落ちたんだったっけ?
確かそう。
まさかのマンホール転生!!
モブ君に、この世界が前世の乙女ゲームというのに似ている気がするというのを
つらつらと、分かりやすい言葉に変換して伝えた。
モブ君は乙女ゲームの「運命の強制力」というものについて根掘り葉掘り聞いてきた。
私はそれについては詳しくない。
運命の強制力にあらがう件については、迅速に深く対策を立てなければいけないと
明日も朝から話し合いをする事になった。