表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/17

妥協ではありません、一目惚れです。


 推定乙女ゲームの世界で一番恐ろしいのは「スキル魅了」だ。

 魔防を上げれば魅了に掛からないというのもどこかで読んだことがある。

 何より一番恐ろしいのが家族が魅了に掛かる事だ。

 家族が魅了に掛かると家を乗っ取られるのがデフォ。

 衣食住を失い、命に関わる。


 アラン様が去ったあと、四阿のテーブルの無人だった席から人の姿が現れた。

 お話してみたいと思っていたモーブリィ様だ。略してモブ君。

 モブ君は私の顔をじっと見て

「君、大丈夫なの?辺境伯家の強化キャンプにいくんだよね」

「強化?キャンプ?」

「え、知らないで返事しちゃったの?」

「うん」

「辺境伯閣下は、国を憂いておられる方で、魔物が襲って来たときに

 国民がある程度自衛できる能力があるべきだと常々訴えておられて・・・

 強化キャンプを企画したのに数組の私兵団が強化キャンプに参加したあと

 誰も参加しなくなった。

 もちろん個人の参加は最初からゼロだ。

 閣下はそれはそれは気落ちしてらして、見ていて可哀想だった」

「あ、あらまぁ。オホホホ」

「キャンセルなんて出来ないと覚悟した方がいい」

「勿論わかりましてよ」

「絶対だから。キャンセルしたらローレンツ家は派閥内で立場を失うよ」

「私、そんなに不誠実な人間ではありませんのよ」

「なら何故、僕の手に触れてるのですか?」


ああ、うっかりモブ君の手を両手でホールドしてしまっていたわ。

子供だからこのくらい大丈夫かと思ってしまった。

私ったらはしたない。


「貴方に一目惚れしましたの」

「僕のどこに興味を持ったのか知りたいですね」

「最初はそのナチュラルグリーンの服いいなぁと思いまして。

 私もその色のドレスを作りたいなと考えまして、

 仕立屋を紹介して頂きたく思いましたのよ。オホホホホホ」

モブ君は糸目をちょっと見開きニッコリした。

「この色の染料は、我が一族の秘伝でして、

 一族の者でないと着る事は叶わないのです。

 それでも着たいですか?」

「とても着たいわ」

モブ君はますます目を見開いた。

「僕と結婚して下さるという事でいいのですね」

「お父様お母様にお許しをいただいたら是非お願いします」

モブ君は、糸目を限界まで見開いた。

 瞳は焦茶色なんだ。

珍しいな。

 こういう地味な色は珍しい。

私がモブ君の目をマジマジと見ているとモブ君が

「やっぱ止めたとかになったら、大変な事になっちゃうから考え直すなら今のうちだよ」

「わかりました。精一杯両親を説得します」

「僕がこの場に招待されているのは、既に政略的に問題ないと判断されたからだと思うから考え直すなら、僕がこのお茶を飲みきるまでだよ」

「わかりましたわ」


私は目を閉じ熟考する。

今日来た中で

ボルケーノ君は論外。

性格が合わなさそうなのは確定。

それにあの赤髪。仮定乙女ゲーの攻略対象とかいうモノだろう。

騎士目指し系の少年達は、私の精神年齢に合わない。

それに価値観の不一致は大きい。

アラン様は押しが強いけどあれは強化キャンプの勧誘だ。決して恋愛感情ではない。

紺色の髪という時点でアウトだ。


という事はモブ君一択だ。

12歳にしちゃ落ち着いてるし。

顔はどうも印象に残らないけど。

 あ、そうだ!確認しなきゃいけない大事な事がある。

「ヴシュターク子爵ご子息様、確認しないといけないことがありましたわ」

「モブでいいです。長いでしょ」

「略しすぎですわモーブリィ様」

「僕も貴女をフロアと呼ばせて下さい」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ