お茶会でカラフルな髪色を見てビビる。
まさかこの世界が乙女ゲームとか言わないよね?
私は転生者だけど、ヒロイン要素はない。皆無である。
目は釣り目気味。
髪はピンクとはほど遠いプラチナブロンド。
公爵家だし。
え?悪役令嬢?
マ?
嫌だわ〜〜
団長の息子とか辺境伯の息子がこの場に既にいる。
あとは宰相の息子
宰相ってマイぱぱん。
兄上は既婚者・・・じゃない、まだ婚約状態だったわ。
薬師の義姉上と早く結婚して頂かないと危ない。
ん?まさか弟?
弟は紫髪だった。顔?顔は整っている。マジ?ヤヴァイ。
あとどういうメンバーがいるんだっけ。
学校の先生とか?
髪が緑色とかなんでしょ
あー!
我が家に居たわ。そんな人が。
家庭教師の先生で確か王国学園の教員試験を目指しているとか言ってた。
あとは黄色。
黄色は金髪で代用するとして。
金髪は王子殿下で確定。
紺、赤、紫、緑、金。
ここまでカラフルな頭揃うと、
乙女ゲーム確定でしょ。
無策と準備不足が一番危険なので、ここはもう乙女ゲームと断定して
それを前提として行動したほうがいい。
ここまで考えて約3秒。
まずは目の前の少年たちを片づけなきゃ。
「ブライト子爵ご子息様、ずばりお聞きしたいのですが宜しいですか?」
「あぁ?どうぞ」
「将来目指しているのは騎士様で宜しくて?」
「そうです!」」
「んまぁー!奇遇ですわ。私、魔法省付属大学校を目指してまして、
戦争で戦略級のデバフを撒き散らしたいと夢見ておりますの。
あなたも戦争で活躍したいのでしょう?私、あなたなんかには負けませんわ。
オホホホッホホホホホゥホホッホゥホホッホ」
しまった。ご令嬢として「ウホッホホ」はないわー
あ、額の血管が浮いてるw怒ってる怒ってるフフフフ
さてどうやって離脱しようかしら。
噴火されたら大変。
名前負けしてなさそうなヴォルケーノ君
このくらい怒らせても12歳だから、大丈夫でしょ?
だいじょぶだいじょぶ
私はメイドに視線を飛ばす。
レイラが瞬間移動みたいに真横に来た。
「お嬢様、御髪が乱れております」
「レイラありがとう。ではごめんあそばせ」
ヴォルケーノ君が頭から湯気を吹き上げながら去っていく。
固まりのB君、固まりのC君も去って行く。
固まりのD君は去らないんだ。
勇者だな。
固まりのD君は王国第8騎士団副団長さんの3男さんで
ユリアン・フェーラー(12)
フェーラー子爵は父と親しいらしい。
父と親しい為か、きちんとしたお茶の席が用意された。
四阿に4人掛けの席がある。
母と私とユリアン様と他に誰か座っている。
ユリアン様は目をギラギラさせて、私の顔を見ている。
なんか凄い前のめり。
「あ、あ、あの、さっきの話なのですが!!」
「はい」
「デバフとおっしゃってましたよね。どんな、どんな、魔法なのですかぁっ!」
ユリアン様は両拳を握ってて、目がマジだ。
「え、と、地面を泥にするとか?です」
「地面を泥っ!!」
「ええ。私、土魔法得意なのです。毎日毎日土魔法を使っていましたので、習熟度が上がって泥とか泥沼とか自由自在に作り出せますの」
「習熟度って何?」
「段々巧くなる感じ?土魔法Ⅰ→土魔法Ⅱ→土魔法Ⅲになる感じですかしらね?」
「それはおかしいよ?生まれつきのスキルや魔法は一生変わらないんだから」
「え?」
「本当です」
「では今のは私の妄言という事で」
会話が一段落したところで、ユリアン様が立ち上がる。
空いた席にすかさず座る人は
辺境伯のご子息アラン様13歳
黒に近い、紺色のサラサラの髪をかきあげ色っぽいため息を吐かれた。
私の方へ視線をやると、
・・・・止めてその流し目・・・自分の容姿を真に理解してますのね。
「君、軍に入るの?」
「ええ、軍というか魔法師団?を目指しています」
「ふ〜〜〜ん。いいねそれ。君しばらく我が領で修行しない?」
私は前のめりに返事する。
もしかしてレベル上げの事だろうか。
「行きます!!行きますです!!はい、あの〜修行ってMPRあげられますか?」
「MPR?魔法防御力のこと?かな?」
「だと思います」
「特定のステータスだけ選んで上げる方法はない、かな。でもレベルを上げると
ステータス全体が上がるから魔防も上がるんじゃないかなぁ」
「あのっ!お願いがあるのですが」
「何かな」
「弟も一緒に連れていってもいいですか?」
「ああ。全然大丈夫。家から正式に招待状送るよ」
「ありがとうございます」
その時私は浮かれていた。
アラン様がニヤッとしたのに気が付かなかった。