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密命完遂

19 sideフラナガン・シダー 密命完遂


私はローレンツ家の家庭教師をしているフラナガン・シダーだ。

貴族ではないので家名はない。

シダーは私の一族が住んでいた森の名前だ。

なので「シダー森のフラナガン」だ。

名前からもわかる通り私はエルフだ。耳は半分以上切除している。

ラーン王国に潜入するために切って人間になりすました。


私が受けた密命は、奴隷狩りに連れ去られた同胞の確保とラーン王国の動向を祖国に報告することだ。

同胞を確保するための資金は王都内の家屋を借りるだけで使い切ってしまった。なので魔法教室の私塾を開いた。


資金集めに奔走する私。

私の塾に通い始めたローレンツ兄妹(当時16歳と8歳)が王都中の奴隷館のエルフを次々に購入し全員を確保していた。

私が同胞の確保を目的にしているなんて一言も話していないのに。

他家に購入されてしまっているエルフも手を回して確保していた。


その後、全員を引き渡された私は嬉しい助かったという気持ちよりも

「何故?」という気持ちが勝った。

ストレートに「何故?」と聞いたら

フロランシアお嬢様は疑問に思う方がおかしいという顔で

「そんなの定番ですことよ。耳を切ったエルフが単独で王都を徘徊してるなんて訳有り過ぎですわ。同胞を奪還してるに決まってますわ。考えなくてもわかることよ」

私は自分の迂闊さを悔いた。

暗い顔した私を見てお嬢様は手をひらひらと振り

「フラナガン先生がエルフだと知ってるのは私が鑑定持ちだからで王国人にはバレてないと思うよ」

とはいえ、エルフは高額だ。それにこの人数。

とうてい払える金額ではない。

「とうてい払える金額ではない」と伝えたところ、

「ローレンツ家の家庭教師になってほしい」と言われ私は了承した。

ローレンツ家が確保した57人のエルフは国に帰らせた。

彼らが帰る時に使った帰還の巻物を見たお嬢様は私に白金貨を握らせ

帰還の巻物を大量注文してきた。


4年前から、ローレンツ家は謀反を企てていたのだろうか?

私は信じらんない枚数の帰還の巻物を書いた。

お嬢様は鑑定を使った検品で動作不良を弾いてきた。

使用しないと動作不良かどうかわからない物を検品できる鑑定凄い(しゅごい)…………。


先日、謀反の疑いで拘束されたローレンツ家当主様と長男様が無事王城から帰還された。

それを見届けた私は国に戻ることにした。

手みやげにサイロいっぱいの麦と数匹の歩く麦を持たされた。

ちょっとこれは貰いすぎというか借りが重い。


私が貰いすぎと訴えると御当主様が

「借りが多すぎると思うならあなたたちエルフも他種族を助ければいいと思うよ」

などと、想像もつかない言葉を貰った。

「何故ローレンツ家は他人種を助けるのですか?」と質問すると

御当主様が頭を掻きながら

「娘が言うんだよ。他人種を助けるのは物語のデフォだからだと。意味がサッパリわからないんだが娘はエルフや獣人が好きなんじゃないかなぁと思う。妻も賛同していてね。助ける理由なんてそんなもんでいいんじゃないかなと思うんだ私は」

「子供の趣味につきあうにしても莫大な金額が…………」

「君たちを助けた資金は全て娘の個人資産だよ。娘は妻の研究を手伝っていて給金を貰っている。その【給金を増やす手段】があるんだそうだ」

私は二の句が継げなかった。



祖国の森に戻った私は勲章授与式の壇上に立たされた。

王や重鎮、長老に大量のお褒めの言葉を貰い重く大きい勲章を貰った。

連れ去られた者たちの家族から次々に感謝の言葉を貰い私はようやく事の重大さに気づいた。

私が成したことではない。全てローレンツ家にしてもらった事だと王に申し出た。御当主様の「借りが多すぎると思うなら他種族を助ければいいと思うよ」という言葉も添えた。


数日後私の元に新たな密命が下された。

次はピクシーを奪還せよとの事だった。

私はラーン王国の王都に戻った。


ピクシー奪還は簡単だった。

「虫型の使い魔」で帰還の巻物を運び、貴族家の鳥籠に忍び込みピクシーに帰還の巻物を使わせるだけだ。

要は盗みなのだが、他国民を拉致して監禁しているんだからその方が重罪だろと自分に言い訳した。

ピクシーは体の大きさに見合わず魔力量が多い。

王都全体に魔力感知を使うと、取りこぼしがない。

気づくと、王都の隠れ家はピクシーの羽音がミツバチの巣みたいになった。ピクシーたちを彼らの祖国に送ろうとすると

「エレメントを救出するから待って」と言われた。

エレメントは王都のインフラ装置に捕らわれているらしい。


数日もすると、隠れ家の室内はピクシー、エレメント、フェアリー、精霊、ブラウニー、シルキーなどなど小さくて羽が生えてたり実体があやふやな存在で埋め尽くされていた。

ピクシーが張り切りすぎた為らしい。

それぞれを故郷に帰すのは大変だった。

意志の疎通が出来ない種族から聞き取りを行うのが大変だったのだ。

通訳に数種の種族を挟むのはあたりまえ。


帰還作業を終え、後任に引継を終わらせ私は故郷に帰った。

後任は私の従兄弟。マッスル・シダー

筋肉もりもりの戦士だ。

魔法教室は止めて、剣技教室になった。

魔法付与物の商店も閉鎖した。

ただローレンツ家からの注文は受け付けている。



故郷で私は母の作ったトレントの実のクッキーや果実酒を飲んでだらだらと暮らした。



巻物作成以外の仕事もしている。

歩く麦を放牧し繁殖させてる。

だが収入の大部分はローレンツ家からの帰還の巻物の注文だ。

巻物の帰還ポイント座標が多岐に渡る。

数字書き換えるだけだから手間ではないけど。


最近ローレンツ家からの発注が激増した。

10倍くらいかな?

発注も支払いもローレンツ家だけどお届けの宛先が「解放軍ピクシー大隊特務隊」になってるんだけど

何それ?

関わってはいけない気がする。

先日宛先が増えた。

「シルキー別動隊」って何?

帰還の巻物以外に解呪の巻物が追加された。


ピクシーたちはエルフの森に仮住まいしている。

毎日忙しそうだ。

羽の生えた小さい生物が軍事訓練してるさまは微笑ましい。


私事だが先月幼なじみと結婚した。

妻は私の仕事を手伝ってくれる。

妻は妻の兄、妻の弟を手伝いに巻き込んだ。

妻の弟の友人やら妻の弟の友人の兄弟やらを巻き込み

巻物作成は里の一大産業に発達した。


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