表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/17

sideフロランシアの父(帰還)

宰相執務室でいつも通りに書類を片づけてたら

近衛が扉を蹴破り、突入してきた。

すぐさま状況を理解した私は、胸ポケットの紙切れに視線を向けないよう心の中だけで確認する。

私は後ろ手に縛られ連行される。

抵抗してるふうな演技をする。

怪我をしないための訓練も受けた。

宰相府第3分室の長男の所にも近衛が行っただろうけど全く心配はしていない。

王城内では落ち合えないと思う。

長男が連行され地下牢に入れられたというタイミングで帰還の巻物を使わなくてはならない。

長男が連行される前に私が消えてしまうと、帰還系の何かを悟られてしまう。

巻物を奪われたら失敗だ。だから私は慎重にタイミングを見計らう。


慎重に慎重を重ねて、念話の巻物も仕込んである。

念話の巻物が仕込んである右脇腹の内ポケットに魔力を流すと

「ポワポワポワポワポワ」と5度長男の魔力波が脇腹に当たる。

5度は「お先にどうぞ」だ。

私は帰還の巻物が入っている左胸ポケットに魔力を流す。

景色が変わって、ローレンツ領研究棟地下の転移指定ポイントだ。

まもなく淡い光と共に長男が転移してくる。



フロランシアが「個々で避難」と口を酸っぱくして言っていた。

フロランシアは「避難訓練」「抜き打ち避難訓練」を定期的に私と長男に仕掛ける。

その後厳しい採点をされる。



「個々で避難」あれは何だ!?

個々人で避難をするというだけの教えなのだが、頭が揺さぶられるような衝撃を受けた。

確かに、合流を目的とした時間は避難の為の果てしないロスだ。

ただ「個々で避難」には重篤な欠点があるらしい。

動けない、拘束されている、意識を失っているなどだと救助の機会を失ってしまう。

だが今回はそのための資材をふんだんに使い、訓練を何千回と重ねた。

ほとんど軍事訓練の域だ。


地上階に慎重に上がると

研究室の応接間に妻が木箱を抱えて、正体不明の泥汚れした生き物の頭を撫でていた。私と長男の顔を見ると念話の巻物を数枚取り出して誰かと連絡を始めた。

地下から次男、フラナガン先生、領軍長、ローレンツ領各村の村長が来た。


長男の嫁が嫁の両親と親族数十人を魔法で浮かせつつ、運んできた。

長男の嫁の家まで影響が出てしまった。

短い時間でずいぶんな人数の親族を確保している。思い切りがよく有能な嫁でよかった。


妻がそれぞれに指示を出すと、5分以内に全領民が地下空間に集結した。

魔法で浮かされている人が数人いる。

行くのをゴネたり、必要以上の家財に執着する場合問答無用で魔法で眠らせて運ぶ訓練をした。

犬とか猫とか混ざっていて微笑ましい。

みんなきちんと訓練の成果が出ている。


「これは訓練ではない。まもなく国軍に襲撃される。残った人間は人質にされる。人質は順番に生きたまま串刺しにされる」

と各村長に伝えてある。



今回はフロランシアの婚約、辺境伯長女フェリシア・フォードの婚約による見せしめだったため、タイミングや準備の時間が取れた。


優良貴族2家の姫を王家から遠ざけたという叛意は確実に伝わってしまっただろう。その謀の中心はローレンツ領だからフロランシアの父が捕らわれるのも秒読みだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ