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田舎令嬢、自然豊かな我が領地が好き

私は公爵家の長女

フロランシア・ローレンツ

12歳。

日課は特にない。

お母様は、身分が高い女性なのにも関わらず、毎日ガーデニングである。

日焼けやらしみやらそばかすやらおかまいなしだ。

私も母親と共に土いじりだ。

楽しい。

レモンに付いた青虫を部屋に持ち帰り、育てている。

青虫は外に出しっぱなしだと、蜂に刺されて肉団子にされてしまうのだ。


 私付きのメイドは高齢のレイラさんと若手のリンさん

2人とも、青虫の飼育に割と協力的だ。

レイラさんもリンさんも農家の出だからかな。


 我が公爵家の領地はとても緑豊かな大地だ。

森はどこまでも青く、山の頂は万年雪が積もり

流れる川は冷たく澄んでいる。


 なにより美しいのは麦畑。

小麦は冷害知らずの強健種。

母が麦を品種改良した。


食味は5段階の2

耐寒性は5

耐病性は5

耐乾性は4

耐倒伏性は5


味以外は最強である。

という訳で我が領の税金は物納だ。

領から国に納める時も物納だ。

この世界は、味にうるさい人はほぼいない。

世界中、食糧が足りている訳ではないのだ。


 実は我が領には【雑草】という名の魔物がいる。

そりゃもーうじゃうじゃ生息している。

 母はもしかしたら、雑草と麦を掛け合わせたのではないだろうか。

母作成の麦「ローレンツ1号」の耐倒伏性の高さが異常なのだ。

 嵐が来ても吹雪が吹いても、あの麦達はスンッとしてるのだ。

 夜中、いのししが畑を荒らしている現場を目撃したのだが、

麦たちは、手のように動かせる葉っぱで穂を抱え

いのししから逃げまどっていた。

 それを見た私は全てを悟って、麦について考えるのをやめた。


 という感じで

結論から言うと

「毎日が楽しい」


 領民達は皆、表情が明るい。

 兄上の婚約者は優秀な薬師で、領民は病気に怯える事がない。

飢えも病もない領。

簡単に言うと「地上の楽園」でしょ。

 私は領を離れたくない。

母上の研究を引継ぎ、領の発展に寄与したい。


 そこで問題になるのが、この国の王子殿下が2人もいることだ。

2人ともまだ婚約者が決まっていない。

第一王子殿下は15歳。第二王子殿下は12歳。

イヤだわー。学年が一緒。

我が家は爵位が高い。

その上、豊かだ。


 急いで婚約者を決めて

王家から打診があった際は手足をじたばたして

山猿のように喚き散らして拒否しよう。そうしよう。

前世の記憶があり中身が大人の私なら、山猿の演技くらい簡単でしょ。


美しい野山で暮らした私が、王城などという魔窟で過ごせるわけがないのだ。


母上にお願いして、急ぎ婚約者をみつけてもらおう。

大丈夫。私は美しい。

この美しさならすぐに婚約者決まるでしょ。

陽光のような輝きのプラチナブロンドがクルクルしてる。

天然パーマかしら。

ちょっと釣り目気味だけど美しい葡萄色の瞳。

すらっとした手足。


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