矛盾する歴史
ーーーあれから数日後
帰路の途中、ギルド長の話で盛り上がってしまい
うやむやになっていたが
急に家紋が光り始めて、消失。そしてヴァルツ氏が極端に強化された件についてギルド長から呼び出された
コンコンッーーー
「空いている」
ガチャ
「失礼します」
バサリと広げていた新聞の端から上目遣いで来訪者を確認する。
「座りたまえ」
そう言って着席を促される
今し方まで、嗜んでいた酒をグイっと飲み干して新聞をたたみコチラにキチンと相対する
(25〜6才位?のお姉さんとは言え、朝っぱら呑むなんて本当に好きなんだな)
とかぼんやり思ってると
おもむろにギルド長が口を開く
「で、あの能力の件についてなのだがあれは意図して隠していたものか?」
そう言って少し俯き、机の真ん中辺りを見ながら口をキュッ結びながら口角をピクピクと動かす
「いえ、私自身も知らない能力です」
そう答えると、安堵したようなため息をつき
「良かった」
「返答次第では処罰の対象になり得た…君も、私も」
そう言って、ゆっくりと立ち上がる
「で、能力について何か心当たりはあるか?」
私は少し考えを巡らせ
昔、叔父が言っていた事を思い出す
「そういえば一人前になった時に教えるべき技があると言っていました。残念ながら、教わらずに前世は命を絶ってしまいましたが。」
それを聞いてふーむと唸るギルド長
「関連はありそうだな」
机の上にあった資料を取りコツコツと私に歩み寄る
「とりあえず読んでくれ」
パサっと資料を渡され
ザッと目を通す、タイトルは
《ダンジョン内における覚醒の件について》
続いて内容を読んでいくと
[王国暦233年5月16日頃ダンジョン内で冒険者が急に覚醒するという報告が上がった、原因は現在も調査中だがハッキリとした事は未だ分かっていない。覚醒の瞬間を見ていたパーティメンバーからは「急に彼の装備が光り始めたと思ったら、口調が代わり凄まじい勢いで敵を薙ぎ倒していきました」という証言が上がっている。その後、覚醒した冒険者にも取材を申し込み何があったのか尋ねると「ただ、頭の中で【カモンオーバードライブ】というのが流れてきてそれを唱えた、すると【宿将 鬼十河】というのが頭の中で浮かんで、もう一つの人格のような物が芽生え、そちらに肉体の主導権を渡したら…後はご存知の通りだ」と証言している。因みにその際に装備していた防具には特殊な紋様が彫られていたのだがその事件以降は消えてしまったようだ。その件について再度当人に聞くと先祖代々受け継いできた鎧がきっと私を助けてくれたのだ、と彼は満面の笑みを浮かべるばかりだった。終]
読み終わると、私は酷く混乱した。
鬼十河とは三好家の四男であり、私の前世でほぼ同時期に生きていた武将である。
それが、この記事を読み解くに私達が生きている今より
王国暦872年よりも前の600年以上前に名前が出ているのだからーーー。




