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覚醒【カモンオーバードライブ】

しかし、号令が掛かったヴァルツ氏は動かない


ワナワナと体を震わせ、俯いている


「一体、どうしたんですか!?」


ヴァルツ氏が顔を上げコチラを見ながら口を開ける


「む、無理だ、だって見たろ、あれ。あんなに強い、女がペシャンコに…お、俺だってああなるかも知れない。やっぱり辞めよう!な、その方が良いだろう‼︎金は払うかーーー」


言いかける前に殴り付ける、その勢いでヴァルツ氏が倒れ込む。


「金なんか要らない、エスメラルダも私も今、ギルド長の願いを叶えるためにここにいる」


「その願いは、あなたを一人前の領主にすること。つまり依頼の完遂」


ヴァルツ氏はまた俯く


「このまま帰ったら継承権も無く、生き恥を晒して晩年を過ごす事は分かってる」


「だから、動きたいんだがどうやっても足が動かないんだ」


殴り付けられたまま倒れ込みそこから微動だにする気配が無いところを見ると嘘はついていないようだ。


「俺だって、先代達のように…父上のように…領民を幸せにしたいんだ‼︎だからこの戦いに挑んだッ‼︎だから、だから動いてくれよ、俺の身体‼︎」


ヴァルツ氏がそういうと紋が光始めるーーーー


       【カモンオーバードライブ】


脳裏によぎる不思議な名前


「なんだ、これ‼︎」


ヴァルツ氏も驚く、この声が聞こえるのはどうやら私だけでは無いようだ


今だに防具に刻印した家紋は光続け、ついには天に向かい光が伸びる


そしてその光の中を通るように丸い球体のようなものが高速で、移動しヴァルツ氏にぶつかるーーー事なく一体化する


        【宿将 ヴァルツ・レオン】


「なんだ…何が起きた…」


刻印はその光を失い、鎧から消えた


「力が、みなぎる…恐怖心がなくなっていく…コレなら‼︎」


そういうとサイクロプスに向かって一直線に飛びかかる


「ダメだ、チェーン切れます‼︎」


今の今まで、全ての力を振り絞り耐えていたガインが崩れる


ヴァルツ氏が辿り着く一歩手前でチェーンインビジブルの効果が切れる…がっ


「大丈夫、この力なら‼︎」


        【バスタード レオ】


       ザ           ザ

        シ         シ

         ュ       ュ


あまりに速い剣戟が可能にした同時攻撃


肩から腹にかけて袈裟に斬り込まれた斬撃は


ゆっくりとその牙を現す


斬られた箇所から肉片がズルリと滑り落ちていく


あれほどの強敵をたった一撃で屠る力


カモンオーバードライブ…まだまだ私の知らない家紋の…力が…ある…よう…だ。

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