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第九十六話 形だけの夫婦?

 セイナは先にダンジョンの出口を出て、ダンジョンの入口で警備をしている冒険者ギルドの職員に50階層までの探査を終えた事を報告してから、冒険者ギルドの窓口カウンターへ行って報告する事を告げた。


 セイナは直ぐに冒険者ギルドの建物に向かい、中に入り空いているカウンターに並んだ処で、シルフィ達が後を追って、セイナの処に行った。


「セイナや、先に行くとは、ちとばかり大人気が無いぞ」

シルフィは不機嫌な表情をして、セイナに言った。


「だって、私が嫌がる事ばかり言うからよ、別に少しぐらい反抗しったて、良いでしょう、私だって、自分自身に振り回されて、此れでも結構、悩んでいるんだから」

セイナは真面目に本音をシルフィに言った。


「うん、そうか、それは悪かったの、我はセイナが可愛くて、しょうがなくての、つい、弄りたくなるのじゃ、許せ」

シルフィも本音を言って、素直に謝った。


「別に良いけど、私はシルフィもエルフィも、この世界での肉親の親だと思っているから、安心して甘えたり、拗ねたり出来るのよ」

セイナは少し拗ねた振りをして、言いながら、最後はウインクして、シルフィに心の内を伝えた。


 それから、セイナの番になり、受付担当者に50階層をクリアした事を報告して、ボス部屋の二体の魔物の死骸を素材受付の方に提出する為に、倉庫では狭いので、裏の資材運搬用の馬車が待機する予定の敷地に死骸を出して提出をした。


 ギルドの素材受付担当者と他に査定の職員が見に来て、ミノタウロスエンペラの巨大な死骸とミノタウロスの大きな死骸の二体を見て、驚愕して、暫くの間惚けて、眺めていた。


「此れが、50階層のボス部屋の魔物なのか、それにしても・・・・」


「なんだ、この大きさは、過去にこんな大きさのミノタウロスは記録に無いぞ」

職員の二人は思わず感想を呟いていた。


 二人の職員はミノタウロスの死骸も、ギルドの過去に討伐されたミノタウロスの記録に在るものよりも、更に大きいサイズであった事にも驚いていた。


「はっ、すいません、今回の査定には、可成り時間が掛かると予想されますので、明日のこの時間帯にまたお越しください、過去に例がないものなので、ギルドマスターなどの幹部達と相談する事になると思いますから」


「はい、あっ、魔石だけは売却しないので、取って置いてくださいねぇ、其れは希望の盾で使用します」

セイナは魔石を自分で魔道具を作るのに使いたかったので、売却しない事にした。


「はい、承知致しました。本日はご苦労様でした」


 セイナ達は、その後直ぐに別館に帰る為に、ギルドを出て、夜の灯りの付いた街中をゆっくりと歩きながら帰り、夜の街には冒険者のパーティーの仲間同士で、酒場のテラスで飲んでワイワイと騒いでいる声が響き、あるいはカップルで、街の中を静かに散策して居る人達を眺めていた。


「ウム、自分で創って置いてなんだけど、一般のカップルが多くない、此処は冒険者の街なのに」

セイナは一般のカップルが数多く、街中を仲良く散策している様子を見て、不愉快になった。


「セイナ殿、そんな事を言うなら、サディオスと腕を組んで、此れから、街中を散策すれば良いのでないか」

ハクは純粋にサディオスは見た目は良い男なので、連れて歩く分には絵になると思い助言をした。


「なな、何を言っているのハクは、そんな事する訳無いでしょう、サディオスだって嫌に決まってますよ、そうでしょう、サディオス」


「いや、そんな事は無い、寧ろ、光栄であります」

サディオスはセイナに尊敬の念を抱き、丁寧に答えた。


 サディオスの意識の中では、セイナに対しては、最早、一人の女性と云うよりも女神に近い存在との位置付けで、自分が守るべき対象で、敬い仕える存在になっていた。


「へぇ~、そうなの、如何したのサディオス君、何処か頭でも打ったの」

セイナは予想外の回答をしてきたサディオスの事が、逆に心配になっていた。


「そんな事は無い、セイナさんは俺にとっては守るべき対象で、一生仕える方だと思っている」

サディオスは尊敬の念を持って、セイナに誠実に答えた。


「うーん、仕えるって、ねぇ、サディオス君、君は私の下僕にでも成る気なの?」

セイナはサディオスの対応に戸惑って、サディオスに冗談半分で尋ねた。


「それでも良いと思っている。俺はセイナさんが下僕に成れと云うなら、喜んで成ります」


「ウム、セイナよ間違っても、サディオスを下僕などにするでは無いぞ、仮にも王族じゃ、世間の目が許さんぞ」

シルフィはサディオスの反応に焦り、セイナに苦言を呈していた。


「イヤイヤ、流石に其れはしないわよ、そんな事をしたら、エルミナさんに怒られるわよ、エルミナさんが可愛がっている弟君だもの」

セイナは、シルフィに即否定して答えた。


「まぁ、サディオスを下僕にしても、夫に据えれば歓迎されるだろうがの」


「成程、その手があったか、流石はシルフィ殿だ、妙案であるな」

ハクはサディオスに未だに不満が有るが、これなら自分も受け入れやすい案だと考えた。


「なな、何を言っているの、二人共、そんな冗談を言うのは辞めてくれる。下僕にして夫に据えるなんて、サディオスだって嫌よねぇ」

セイナはとんでもない事を言う、シルフィとハクに抗議をした。


「別に、俺は一生、セイナさんに仕える心算だから、形には拘らない」

サディオスはシルフィの案も受け入れる意思を示した。


「う~ん、サディオス君、其れ本気で言ってるの、私の下僕に成るのよ、良いの、それで」


「ああ、勿論だ、俺は一生、独身でいる心算だ、何の問題もない。一生仕える方が出来た事の方が、俺は嬉しい事だと思っている」

サディオスは真摯にセイナに答えた。


「本気なのねぇ、分かったわ、私も真剣に考えるわ、本当に私の下僕にして夫に据えて、形だけの夫婦になっても良いのよねぇ」

セイナにとっても、周りを納得させるには、妙案であったので、考える事にした。


 シルフィはその時、セイナとサディオスを形だけでも夫婦にしてしまえば、後は如何にでもなると考え、セイナを上手く誘導すれば、いずれはサディオスと子作りする様になると履んでいた。

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