第九十五話 セイナ達は50階層を踏破する。そしてセイナ御所とは?
セイナ達は休憩を終えて、セイナは軽く身体を動かし準備運動をしてから、気合を入れる為に、両頬を軽く叩いた。
「さぁ、行くわよ、皆、此れで本日の最後よ、相手は可成り手強いと思うけど、全員無事で乗り切るわよ」
セイナはメンバー全員に気合いを入れる様に言って、ボス部屋の扉に手をあてた。
セイナは勢いよく扉を押し開けて、中に入り、全員がボス部屋に入ると入口の扉が閉まり、目の前に現れたのは、ミノタウロスエンペラとミノタウロスの二体が姿を見せた。
ミノタウロスエンペラは長剣を手にして、セイナ達に襲い掛かって来て、セイナ達は何とか全員が回避をして、攻撃を交わしたが、次にミノタウロスが棍棒で、サディオスに襲い掛かり、それをハクが構い、カウンタを仕掛けて、棍棒を持つ腕に嚙みつき、棍棒を落とさせていた。
サディオスはその隙に右腿を切りつけて、コハクがファイアランスを顔面に攻撃をして、ミノタウロスは苦しみながら、膝を付いた時にサディオスが止めに首を切りつけて倒した。
セイナはミノタウロスエンペラの鋭い攻撃を何とか回避して、アイリンがアイスランスを顔面に向けて放ち命中して、左目を負傷させた。
ミノタウロスエンペラは左目を右手で押さえながら、左手一本で振り回しながら、セイナに攻撃を仕掛けていた。
ミノタウロスエンペラは、やたらとセイナに攻撃を仕掛けてくるので、シルフィがノーマークになり、シルフィは背後に廻りミノタウロスエンペラの首を斬って切り落として絶命させた。
「なんじゃ、こ奴はセイナの魔力に惹かれて、セイナしか見て居らんかったの、盛りついておったのかの、モテモテじゃなぁ、セイナよ」
シルフィはニヤニヤしながら、セイナに言った。
「いや~、こんな奴にモテても嬉しくない、人でモットいい男の方が良いに決まってます。フッンー」
セイナは膨れて、シルフィに抗議をした。
ミロタウスとミロタウスエンペラの死骸は、スカイによって収納されて、それからボス部屋の奥の扉が開き、セイナ達は全員が無事で、ボス部屋から出る事が出来た。
「皆、お疲れ様、何とか無事に50階層のまでの調査を終える事が出来ました。明日は一日休んで、明後日には王都に帰還しますので、その心算でいてねぇ」
セイナは満面の笑みで、サディオス達に労いの言葉を掛けた。
「セイナ様、50階層踏破、おめでとうございます。セイナ様に、ご報告がとお願いがあります」
突然、入口から入るはずの魔法陣から、四人の女性が現れ、そのうちの一人が祝いの言葉を掛けてきた。
「うーん、貴方達は何方なの、私に貴方達の様な知り合いは居ないわよ」
セイナは突然、見知らぬ人達に声を掛けられて、何か嫌な予感がした。
「私達は此処の深層にある。セイナ様の御所をお守りする四天王の四名です。是非明日にでも、魔法陣を使って来て下さい。その際にはシルフィ様と従魔の方達もご招待いたします」
四天王の一人がセイナ達をセイナ御所に招待をした。
「うーん、サディオスも良いのかしら」
セイナは念の為に確認をした。
「セイナ様が良ければどうぞ、セイナ様が御連れした方なら、歓迎いたします」
「魔法陣に只、乗れば良いのかしら」
「はい、只、セイナ御所とセイナ様自身が念じて貰えば、深層に着きます」
「もしかして、ダンジョンに私がいる間、私の魔力を吸収続けていたのは、セイナ御所を創るためかしら」
「はい、私達もその時に創られました。セイナ様の分身の様な物です。ルビーと同じです」
「それじゃ、詳しい事は明日、そのセイナ御所で、説明をしてくれるのねぇ」
「はい、その様にしたいと思っております。セイナ様には、その時に私達に名を付けて頂きたいので、お願いできますか、それから・・・・・」
四天王の一人が、自分達がなんであるか説明をした。
「えっ、皆、美人なのに、シルフィと同じ龍なの、そんな風には見えないわ」
「いいえ、シルフィ様は、私達にとって、雲の上の存在ですので、決して同じ龍とは違いますよ、セイナ様」
「まぁ、そうねぇ、シルフィは神龍ですもんねぇ、私の保護者だけど」
セイナは嬉しそうに、シルフィの腕を組んだ。
「まぁ、そうじゃなぁ、セイナは我の娘みたいなもんじゃ、だから、早う、孫を見せんか」
シルフィはセイナの頭を撫ぜながら、サディオスをチラ見してセイナに言った。
「それでは、セイナ様、シルフィ様、明日お待ちしておりますので、宜しく御願い致します」
四天王の一人が言うと、魔法陣から姿を消した。
「うーん、セイナ御所って、何なのかしら、シルフィは分かるかしら」
「簡単じゃ、魔王城の事じゃ、セイナは此のダンジョンを統べる特別な魔王なのじゃ、本来なら、此のダンジョンから出れんはずの存在なのじゃ」
シルフィは真顔になって、セイナに説明をした。
「えっ、何それ、私が魔王なの、そんなの嫌よ、如何見ても、魔王って雰囲気じゃ無いでしょう、私は、そうでしょう、サディオス、私、魔王に見える」
セイナは自分を魔王とは認めたくは無かった。
「いや、セイナは魔王には、流石に見えないけど、能力的には魔王を凌ぐ存在じゃないかなぁ」
サディオスは見た目は否定したが、能力的に肯定をした。
「アハハ! サディオスの云う通りなのじゃ、」
シルフィは笑って、サディオスの云った事を肯定した。
「まさに、その通りだぞ、セイナ殿」
ハクもサディオスの云った事を肯定をした。
クインとコハクとルビーは無言を貫き、肯定も否定もせず、中立の立場を堅持して、この状況を見守り、セイナが機嫌を損なわない事を祈っていた。
セイナはサディオスの云った事にショックを受けて、膝まつき、そして、立ち上がり、ルビーを抱いて、一人出口に出る魔法陣の上に立ち、赤んぺーをして先に行ってしまった。
「あらら、セイナがグレテ、一人で行ってし申たわ、我らも行くとしようか」
シルフィは苦笑いをして、残った皆に帰る事を告げた。