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九十二話 コハクとルビー

 セイナ達はダンジョンの出口から出て見ると、何組か冒険者が、ダンジョンの入口から出て来て、見てみると、何人かは少し怪我をしていた。


「うーん、あの人達、入口から出て来たと云う事は、10階層をクリア出来なかったのですね、残念ですねぇ」

セイナはコハクを抱きながら、コハクの耳元で呟いていた。


「ねぇ、シルフィ、まだ、日が落ちていないから、冒険者ギルドで、ルビーを従魔の登録をしたいので、付き合ってください。サディオス達は先に帰って良いですよ」


「セイナ、私も付きあいますよ、一緒に行きましょう」

クインはセイナに付き合う事を望んだ。


「そうか、うん、クインも一緒に行きましょうか」

セイナはクインの同伴を歓迎した。


「あっ、お疲れ様です。本日は40階層までクリアしました。やはり31階層は森のステージになってまして、30階層までに出た魔物が多数いました。ですが、森なので隠れる事が出来た分、戦闘を回避する事も出来ましたよ」

セイナは何時もの様にダンジョンの入口で、警備に在たっているギルド職員に報告をした。


「そうですか、31階層は森ステージでしたか、分かりました。本日はご苦労様です。明日が最後になりそうですねぇ、流石は希望の盾の方達です。明日も宜しくお願い致します」

ギルド職員の男性は、セイナから報告を受けて、笑顔で応対をして、セイナ達を労った。


 セイナは入り口に居たギルド職員に報告をした後に、すぐ傍の冒険者ギルドに寄り、ルビーと序にスライムのカーラ、サーリ、スカイも従魔登録をする事にした。


 セイナはシルフィとクインを連れて、頭の上に三体の縮小したスライムのカーラ、サーリ、スカイを乗せて、コハクを抱いて、冒険者ギルドの中に入り、クインの頭の上にルビーがしがみ付いた状態で後に続き、最後にシルフィが続いて入って行った。


 セイナが冒険者ギルドの中に入ると、ギルド内に冒険者が多数は居たが、そんなに混んでは居らず、ダンジョンの情報を知る為に来ている冒険者が殆どであった。


 ギルドの中に入って来たセイナ達を見た、冒険者達はセイナの出で立ちとクインを見て、唖然として眺めていて、最後を歩いていたシルフィが、周りにいる冒険者達に睨みを利かせていた。


 セイナ達は一番空いている受付窓口に並び、順番が来るまで、セイナはコハクにジャレついたりして待っていた。


「セイナよ、序にボス部屋の魔物の素材をギルドに出せば良いのでないかの、持っていてもしょうがないのじゃ」

シルフィは折角きたので、序に素材の売却もする様に提案をした。


「あっ、そうねぇ、うん、言ってくれて、ありがとう、シルフィ、私、忘れていたわ」

セイナは魔物の素材の事をスッカリ忘れていた。


 セイナ達は、そんな会話をして、暫くして順番が回って来たので、受付担当者に用件を言って、従魔登録書を貰い、ルビーとカーラ、サーリ、スカイの従魔登録を済ませて、ルビーには従魔登録証として、首輪を貰った。


 因みにスライムの様な軟体に魔物の場合は、紋様が直ぐ見て分かる場合には、冒険証の付帯事項に記載するか、従魔登録証を新たに発行して貰うか、いずれかを選択するが事ができ、セイナは冒険者証の付帯事項に記載する方へ選択した。


 セイナ達は従魔登録が済んだ後に、素材引渡所に行き、10階層から40階層までの各ボス部屋の魔物の素材を引渡して、代金の精算が終わるまでギルド内の酒場で待つ事にした。


 セイナは455,250リラから、従魔登録費を差し引いた代金を、冒険者証に記載されている二つの口座、個人口座と希望の盾の口座のうち、希望の盾の口座に入金をした。


 セイナ達は冒険者ギルドでの用事を済ませて、直ぐに王家の別館に戻り、セイナは自室で、軽くシャワーを浴びてから、ジャージに着替えて、コハク達を連れて食堂に行き、シルフィとハクと共に夕食を頂いた。


 セイナは夕食を済ませると、直ぐに部屋に戻り、ベッドの上でコハクとルビーを両脇に抱えて、モフモフタイムに入り、ルビーの毛並みはコハクと同じ位、最高のもふもふで、セイナにとって至福の時を何時もの倍、味わう感覚になって、とても幸せな気分になっていた。


 コハクはルビーの事を、最初こそ警戒をしていたが、ルビー事態が、シルフィの命によりダンジョンのコアが、セイナの魔力をフルに使って、創り上げた生き物で、セイナの分身の様なもので、コハクにとっても心地よい感覚になっていた。


 セイナは至高のモフモフタイムを一時ほど味わってから、入浴タイムに入り、コハクとルビーとクインと共に身体を洗い、其々専用の風呂桶に入って寛いでいた。


 セイナは入浴タイムが終わると、クイン達の身体を拭いて乾かしてから、装備の点検をして、それからコハクとルビーを両脇に寝かせて、眠りに就いた。


 ルビーはセイナに抱き付いて眠り、その間にセイナの記憶と知識を自分の脳内にインストールして、知識を身に着けながら、セイナの魔力を吸収して、自身の身体がまだ不完成であった部分を、シルバーウルフの雌として完成させていた。


 朝になり、セイナは何時になくスッキリした気持ちで起きて、ルビーとコハクの頬にキスをして起こすと、直ぐに着替えて、クインに声を掛けて、一緒に食堂へ行った。


 セイナ達が食堂へ入ると、シルフィとハクしサディオスが既に朝食を食べていて、セイナは三人に挨拶をして、自分の分とクイン達の分を用意して食べ始めた。


 コハクはすっかりルビーと仲が良くなり、じゃれ合う様になり、仲良く朝食のお肉を一緒に食べている様子を見て、セイナはまた、癒されていた。


「うふふ、二人共、仲良くなったのねぇ、良い事だわ」

セイナはコハクとルビーの様子を見て、ご満悦になっていた。


 セイナは朝食を食べ終わると、気合を入れ直して、今日で50階層までの調査を終わらせると意気込み、自室に戻り装備を身に着けて、集合場所へ向かった。

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