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第八十八話 コハクの実力 其の1

 セイナ達はダンジョン初挑戦から、一夜を過ごして、早朝に国王エリナスと王妃エリザベスが王都に帰ると云う事で、見送りにシルフィ達と迎賓館へ護衛の兵士達と共に向かった。


 迎賓館の玄関前に、二台の馬車が止まっていて、玄関から、国王エリナスと隣国の国王アザシンが一緒に出て来て、その後方に王妃エリザベスと王妃となったアイラナが一緒に出て来た。


 国王アザシンはシルフィとセイナを見付けると、アイラナと共に近寄って来て、国王アザシンはシルフィに丁寧にお辞儀をしてから、話しかけてきた。


「シルフィ様、それにセイナ様、今日で国元へ帰国致しますが、お二人とエルフィ様は、我が国の建国と国の民達を飢えから、救ってくれた救国の英雄として、慈愛の女神メルリス様と共に永遠に祀り上げさせて頂きます。是非また、私どもの国に来て頂く事を願っております」

国王アザシンはさり気なく、セイナにとってはとんでもない事を言っていた。


「セイナ様、私からは、中々会いに行く事は出来ませんが、是非、私の処に遊びに来て頂きたいと願っていますわ、私はセイナ様に救われたと思っています。セイナ様との思い出を大切にして、此れからの公務に頑張りますわ」

王妃アイラナは、セイナに想いを語った後に抱き付いた。


「アイラナ様、私もアイラナ様の幸せに成る様に祈ってますよ、お子さんが産まれたら、是非、教えてくださいねぇ、会いに伺いますから」


「はい、勿論ですわ、その時の事を楽しみに頑張りますわ、セイナ様、此れで失礼いたします。また会える時を楽しみにしてますわ」

アイラナは笑顔で、言いたい事を言って、セイナから離れて、国王アザシンの元へと戻っていた。


「あっ、ア~、チョット、ねぇ、シルフィ、国王のアザシン様、何か変な事、言って無かった。永遠に祀り上げますとか、なんとか、如何云う意味なの」

セイナは何か嫌な予感がして、シルフィに確認をした。


「う~ん、ア~、なんじゃ、慈愛の女神メルリス様と共に、我々を教会に祀るという意味じゃな」

シルフィはセイナから視線を外して、少し惚けた口調でセイナに言った。


「それって、私は関係ないわよねぇ」


「う~ん、さぁ~な、如何だろうなぁ、我は知らんぞ」

シルフィは飽くまでも、白を切る積りで、セイナとは、視線を合わせずに惚けていた。


 セイナがシルフィと如何でも良い事で言い争っているうちに、国王達が乗る馬車は出発してしまい、セイナは慌てて、馬車に対して手を振りながら見送った。


 セイナはもう、行ってしまったので、如何にもならないと諦めて、今日のダンジョンの調査の続きに集中する事にした。


 セイナ達は野営が出来る様に準備を整えて、今回はクインとコハクも加えて、再びダンジョンへ向かい、ダンジョンの入口を警備しているギルド職員に説明して、もう一つの扉から行く事を許可して貰った。


 セイナはもう一つの扉の取っ手を握ると、何かスキャンされた時と同じ感覚を覚えたが、すんなりと開き中に入ると、やはり魔法陣が床に描かれていた。


 セイナはコハクを抱き、クインを自分の身体に寄せて触れて、他のメンバー達と共に魔法陣の中に入り、待機しているとやはり全員がスキャンされた後に、周りが光り一瞬で、10階層のホールへ移動する事が出来た。


「うんうん、クインもコハクも無事に転移出来たわねぇ、さぁ、行くわよ11階層へ」


「セイナ、チョット待って、コハク、貴方も戦闘モードになりなさい、其のままだと、セイナの足手まといになるわ」

クインは、セイナに抱かれているコハクに向けて言い放った。


「クウーン」

コハクは少し躊躇っていたが、母親のクインに強く言われて、渋々と云った感じて、セイナから飛び降りた。


 コハクは少し身体から魔力を放出する感じで、力むと体がクイン程の背丈まで大きくなって、セイナはそれを見て、コハクに抱き付いていた。


「コハク、もう、其処まで大きくなっていたのねぇ、だけど、探索が終わったら、元に戻ってくれる」

セイナはコハクに抱き付きながら、成長している事を素直に喜び、でも普段は今までの様にとリクエストしていた。


「クウーン」

コハクもセイナのリクエストに喜んで応じていた。


「「セイナ、コハクはもう、立派な大人ですよ、戦闘力は私より上で、可成り強く成ってますよ、セイナのお陰ですねぇ」

クインはセイナにコハクの真の実力を教えた。


「えっ、私のお陰げで? なんで、コハクは今でも私の可愛いコハクよ」


「セイナ、前に言ってただろうに、セイナの魔力は神獣にとって甘味に魔力と、コハクはその甘味な魔力を直に吸収しておるのじゃ、強く成って当然じゃ、セイナの護衛には持って来いじゃ」

シルフィはコハクの実力を把握していた。


「ただねぇ、コハクはセイナの事が大好きだから、体系を維持して甘えていたのよねぇ、困った子だわねぇ、何時まで経ってもセイナから卒業出来ないわ」

クインはコハクの事をボヤイテいた。


「コハク、貴方は永遠に私のコハクよ、卒業しないでねぇ」

セイナはコハクに抱き付き、何時まで私のコハクでいてねぇと頼んでいた。


 そんなやり取りが終わった後、セイナは気合を入れ直して、11階層へアッタクを始めて、出来るだけ戦闘は避けて、生態系を調べる事に重きを置いて調査をする方針に変更して、スピード重視した戦術に切り替えた。


 11階層からは如何やら人型の魔物がメインで、ゴブリン、コボルト、ゴブリンライダー、ボーガド、オークなどが一体から五体の集団と区々で出現をしていた。


 コハクがハク顔負けの強力に威圧を放つと、魔物達は恐縮して動けなくなったので、戦闘が回避出来て、あっという間に20階層のボス部屋に到着する事が出来た。


「コハク、偉いわよ、流石は私のコハクだわ、チュッ」

セイナはコハクの活躍を喜び、ご褒美に頬にキスをした。


 コハクはセイナに褒められて喜び、尻尾をグルングルンと勢いよく振り、セイナに甘えていて、セイナも其れを受け入れて、もふもふを味わっていた。


 それを見ていたクインとハクは大きく溜息を吐き、セイナとコハクの子離れ、親離れさせるのは難儀な事になると頭を痛めていた。

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