第八十六話 ボス部屋への挑戦
セイナ達がダンジョンに挑んでいる頃に、国王エリナス夫婦と隣国の国王アザシン夫婦は共に親睦を図る為に昼の会食を行ない、国王同士では、国同士の今後の付き合い方や、軍事の共同訓練の件についてなどの話をして、将来において、語り合っていた。
王妃の二人はもっぱらセイナの話で盛り上がり、王妃エリザベスは、セイナの事が可愛いくてしょうがないと云わんばかりに一方的に話して、アイラナはその話を聞いて、笑顔で頷いていた。
アイラナは聖女として、今まで生きていて、セイナと共に過ごした時間は常に驚きの連続で、凄い力を持って事で、その力に翻弄されてもめげずに、明るく振舞い、自分の接して、私の為に色んな事をしてくれたそんなセイナが、私は好きなり、引き合わせてくれたシルフィ様にも感謝をしている。
アイラナはセイナと過ごして、聖女としての能力も底上げされて、瘴気の浄化も以前に比べて、広範囲に行う事に成ったので、身体の負担も減り、更に聖霊樹のお陰で、瘴気も減った事で平穏な日々を過ごせる様に成っていた。
そのお陰でアイラナのお腹には、国王アザシンの子が宿っているので、その事でも幸せを感じる事が出来ていて、セイナと出会う前までは、とても考えられない辛い日々であったが、今は現実として、子宝に恵まれて幸せに成っている事に、セイナに感謝をしている。
アイラナはそんなセイナが。何時までも幸せに暮らせていけます様にと、何時も神様にお祈りをしている。
目の前で、セイナの事を楽しそうに話しているエリザベス様も、セイナの幸せを願っている内の一人だと思い、何だが嬉しくなるのであった。
「アイラナ様、私にはサディオスと云う息子が居りますが、私としてはセイナちゃんと婚姻して貰って、幸せな家庭を築いて欲しいと思うのよ、只ねぇ。サディオスが何とも頼りなくてねぇ、アイラナ様はサディオスの事を如何思います」
エリザベスは自分の息子の事でアイラナに尋ねた。
「私は、秘かにお似合いだと思ってますわ、只、その事をセイナ様に言うと嫌われそうで言えませんでした」
アイラナはいずれは二人は婚姻すると思っている。
「まぁ、アイラナ様も私と同じ思いをして頂けているのですねぇ、嬉しいわ、そうよねぇ、セイナちゃんには嫌われたくないわ」
王妃エリザベスは、複雑な表情をしながらアイラナに言った。
セイナ達はその頃、ダンジョンの第五層をクリアして、昼休憩を取る事にして、六階層の入口で昼食を摂っていた。
「サディオス、さっきはありがとう、私の背中を守って貰って」
セイナは五階層の途中で調子に乗って、前に出過ぎて背中を襲われそうになっていた。
「いや、当然の事をしたまでだ。セイナに何かあったら、俺はこの国で生きていけなくなるからな」
サディオスは母の王妃エリザベスに絶対セイナちゃんを無傷で守り抜くの様に言われていた。
「でも、カーラ、サーリ、スカイは凄いわ、でもサーリの異次元空間は素晴らしいは、シームと魔牛と番をそのまま収納して、魔物から動物に変換できるなんて素敵だわ」
「セイナや、それらを如何するのじゃ」
「えっ、家畜にして増やして、羊毛は毛糸にしてセーターなどの衣服を作るの、牛の乳は飲むのも良し、加工してチーズを作って食べるも良しよ」
セイナはシームや魔牛を増殖させて、牧場を作る構想を描いていた。
「成程の、商品化出来ると云う事じゃな」
シルフィは目を細めながら、セイナを見詰めて確認をした。
「うん、そう云う事ねぇ、いずれは出来たらいいなぁと思っていたの」
セイナは嬉しそうに話した。
セイナ達は昼休憩を済ませると、六階層に挑みシーム系の番と魔牛の番を見付けると、次々っと生きたまま、サーリに収納をさせて、他の魔物はどんどんと討伐していき、死体をスカイに収納させていった。
五階層まではボア系、シーム系、魔牛系、ウルフ系などが主流であったが、六階層から一角ホースが現れて、セイナは悩んだ馬車様に使えるか如何かを考えて、番を一組だけ確保する事に決めた。
それから、一角モンキーも出てきたり、ブルドックボア、ブレットベアと出る魔物の種類が増えて来て、体格も少し大きい魔物が現れる様になった。
「うーん、段々と手応えのある魔物が現れてきたわねぇ、血が滾って来たわ」
セイナは手強くなっている魔物を嬉しそうに討伐をしていき、燃えて来ていた。
「おーい、セイナ、余り前に出るなぁ、危ないぞ」
サディオスはセイナを守る為に、必死にセイナの背を追って、セイナの安全を確保していた。
そんな二人をニンマリと笑みを浮かべて、後方から眺めていたシルフィは、此のまま二人かの縁が深く成る事を願いつつ見守っていた。
セイナ達は多少の危機は合ったものの、スライムのカーラなどの援護もあり、順調に魔物を討伐していき、何とか目標の10階層のボス部屋に到着して、此処で少し休憩する事にした。
「フウー、何とか目標のボス部屋に辿り着いたわ」
セイナは大きく息をはいて、ボス部屋に着いた事に安堵していた。
「シルフィ様、ボス部屋の魔物は何だと思いますか」
サディオスはシルフィに何の魔物がなんであるか予測してもう為に尋ねた。
「うーん、そうじゃなぁ、獣系のキングタイプかの」
シルフィは獣系の王のサイズと予測をした。
「そうであろなぁ、サディオス、私との訓練で、其のサイズは何度も討伐している。心配するなぁ」
ハクはサディオスを激励をした。
「まぁ、危なく成ったら、我も出るのじゃ、心配せんで良いであろう」
シルフィは今回は手助けする事をサディオスと約束をした。
セイナは休憩中は槍の手入れをしながらスライム達と戯れて、全く緊張している気配が無く、平然としていた。
「さて、休憩はもう良いわねぇ、サディオス、行くわよ」
セイナはボス部屋のボスを倒す事に執念を燃やした。
「あぁ、分かったよ、良いぞセイナ」
サディオスはセイナに返事をかえした。
そしてセイナはボス部屋の扉を開けて、全員で中に入り、そして扉は勢いよく締まり、そして、二体の魔物が姿を現した。
「へぇ、二体か、あれはブラットキングボアにエルムキングシームかしら、中々いい毛並みねぇ、私はこちらをやるわ、サディオスはボアの親玉を任せるわ」
この二体は初級クラスの親玉なので、強くはあるがオークキングと比べると可成り弱い魔物出あるため、セイナ達はそれほど怖くはなかった。
セイナは突進してくるエルムキングシームに対して、ほぼ正面から少し交わして、槍に氷魔法を付与して、目を一突きをして、頭の中を凍らせてあっさりと討伐して、スカイに収容して貰った。
サディオスはブラッドキングボアの突進をギリギリのところで交わして、首筋を切りつけて、怯んだところをもう一度首を切りつけて止めを刺した。