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第八十五話 セイナは初めてダンジョンに挑む

 翌朝、セイナは初のダンジョン挑戦に向けて、朝一でシルフィ相手に稽古に励み、稽古を終えた後は食堂へ行くと、サディオスと合流して朝食を取ってから、ダンジョンへ行く為の身支度を整えに部屋に戻った。


 クインとコハクは身支度を整えているセイナを見詰めて、コハクはセイナの足元へすり寄り、心配そうな表情でセイナの顔を見詰めていた。


 セイナはそんなコハクを抱きあげて、腰くの顔に頬擦りをしてから、コハクの顔を正面にしてから、話しかけた。


「コハク、私の事を心配してくれて、ありがとう、でも大丈夫よ、ハクも居るし、シルフィも居るわ、ちゃんと今晩には帰って来るから、クインと待っててねェ」


「クーン」


「コハクはいい子ねぇ」

セイナはそ~と優しくコハクを床に降ろした。


「クイン、コハク、それじゃ、行ってくるねェ」

セイナはクインとコハクに手を振って、部屋から出て行った。


 セイナは王家の別館の玄関で、サディオスとシルフィ、そしてハクと合流して、ダンジョンへと向かう為に歩いて出発をした。


 街並みを歩きながら、セイナはだいぶ住人が増えて来て、活気が出てきた事を先日王妃達と視察して、嬉しい様な恥ずかしい様な複雑な気持ちになったけど、朝一で人気が少ない処を見ると少し寂しい気分にもなっていた。


 そして、ダンジョン入口へ到着すると、セイナは両頬を軽く両手で軽く叩いて、気合を入れてから、皆に声を掛けた。


「サディオス、シルフィ、ハク、行くわよ」


「ああ、行くぞ」


「セイナ、罠には気を付けるのじゃ」


「我が罠を探知するから、我の言う通りに動くのだぞ」


「分かったわ、ハク頼んだわよ」

セイナはハクに頼み、ダンジョンの中に入って行った。


 セイナがダンジョンの中に入ると、その後をハクが入り、そしてサディオスが入り、最後にシルフィが入って行った。


 セイナがダンジョンの中の暗闇をゆっくりと歩き始めると、通路の灯が一斉に灯り、まるでセイナ達を歓迎する様に通路の中が明るくなった。


 セイナは通路の灯りが灯った時に一瞬魔力を吸い取られた感覚を覚えて、何か不思議な気持ちになり、シルフィに思わず尋ねた。


「ねぇ、シルフィ、今一瞬私の魔力を吸い取られた感じがしたけど、何かあるのかしら」


「あぁ、多分の、セイナの魔力をコアが感知して、思わず反応したのであろう、可成り吸い取られて負ったわ、普通なら魔力切れで倒れておっても可笑しくはないじゃが、流石はセイナじゃ」

シルフィはセイナを見て、苦笑いをしていた。


 そんな事も有ったが先ずは奥に進む事にしたセイナは先頭を行くハクの後を付いて行くと、暫く歩いていると、ダンジョンで初めて遭遇をしたのが白、赤、青の色の三体の栗の様な形のスライムであった。


 三体のスライムはハクの前まで近づいて、自分達の意思を伝えているかの様に、ハクの目の前でピョンピョンと跳ねていた。


「セイナ殿、如何やら、ダンジョンコアからの贈り物のようだぞ、ティムしてあげてくれるか」

ハクは三体のスライムの意思を理解して、セイナに伝えた。


「えっ、そうなの、うーん、それじゃ、赤いのは、カーラ、白いのは、サーリ、青いのは、スカイで如何かなぁ」

セイナは三体のスライムに近づいてしゃがみ、赤いスライムから順番に頭を触りながら名付けをした。


 三体のスライムは名を付けて貰った瞬間に光り、其々の頭の処に不思議な紋様が浮かび上がり、それからピョンピョンと飛び跳ねて、セイナの両肩と頭の上に小さくなって飛び乗った。


「あら、私の処に飛び乗って来たわねぇ、うーん、まぁ、いいか、案外可愛いかも知れないわ」

セイナは一瞬驚いたが、不快にならなかったので、気にしない事にした。


 それから、セイナ達は先に進むと、ラビットウサギが三体が突然走って来て、ハク目掛けて飛び掛かってきたのをハクは前足で払いのけて、通路の壁に激突させて簡単に討伐をした。


「あのラビットウサギ、ハクに襲い掛かるとは無謀ねぇ、取敢えず収納しておくわ」

セイナは激突して死んだラビットウサギをアイテムボックスに収納をした。


 その後、先に進むと今度は一角ウサギが二体が処処にある柱の陰から襲い掛かって来て、セイナとサディオスに攻撃をしてきたが、其々簡単に切りつけて一太刀で討伐をして、セイナが収納をした。


 それから暫くすると、グレイウルフ三頭が姿を見せて、ハクとセイナ、そしてサディオスに襲い掛かり、ハクは前足の爪で切りつけて討伐して、セイナとサディオスは一太刀入れて討伐をした。


 その後は低ランクの獣系の魔物が三体から五体で次々と等間隔で襲いに来たが、難なく討伐して、一階層はクリアをしてらしく、下の階に降りる階段を見付けた。


「あれ、此れで一階層は終わりなのかしら」


「その様じゃなぁ、此処までは危なげ処は無かったの、此処で一服でもするかの、セイナ、如何するのじゃ」

シルフィはセイナに尋ねた。


「うーん、そんなに疲れてないから、私は良いけど、サディオスは如何するの」

セイナはまだ余力があるので、サディオスに確認をした。


「俺も、まだ、余裕があるから、別に良いよ」

サディオスは此のくらいなら、まだ平気だと思い、先に行く事にした。


「それじゃ、其のまま次の階層に行きましょうか」

セイナは先に進む事を選択した。


 セイナ達は二階層に向けて階段を下りていくと一階層と同じで通路をまた進み、今度はボアが一体突進してきてセイナ目掛けてきたが、スカイがセイナの前に下りて、突然大きくなって突進してきたボアを体内に吞み込み、体内で溺れさせて溺死させて体外に放り出した。


「あら、スカイ、ありがとう、スカイはそう云う事が出来るのねぇ、凄いわ」

セイナき笑顔でスカイの頭を撫ぜて、溺死したボアを収納した。


「ところで、セイナ、今日はどの辺まで、行くのじゃ」

シルフィはセイナに質問をした。


「どの辺って、まぁ、出来ればボスが居る処までは行きたいかなぁ、10階層に成るのかしら」

セイナはボス部屋がある処まではクリアしたいと考えていた。


「そうじゃなぁ、それじゃ、ペースを上げんと今日は辿り着かんのじゃ、歩いて追っては時間が足りんぞ」

シルフィは今のペースでは無理とセイナに忠告をした。


「えっ、そうなの、それじゃ、少し走った方がいいのかしら」

セイナはダンジョンの広さが解らなかったので、時間の方まで気にしていなかった。


「セイナさん、走るのは危険回避が出来なくなるので、少し早く歩く程度にした方がいいと思いますよ」

サディオスはセイナにアドバイスをした。


 セイナはサディオスのアドバイスを聞き入れて、早く歩く程度でペースを上げる事にして、前方を注意深く慎重に歩くペースを上げて進んで行った。

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