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閑話 召喚されたもう一人の聖女 パート2

もう一人の召喚された聖女サヤカのその後


 エルディラン王国で、セイナと一緒に召喚された聖女サヤカは、最初の一月間は、魔法の基礎練習を行い、二月目からは実践を含めた魔法の特訓を行い、三か月を過ぎた頃からは聖女としての役目を果たすようになっていた。


 聖女サヤカの相談役を勝手出たエリス・オディエス公爵令嬢は、エンリ・エルディラン王太子との婚約解消を目論んで、聖女サヤカに近づいたが、結局、聖女サヤカはエンリ王太子に対して、興味を示さず、婚姻が年明けに行われる事が決った。


 エリスは内心落ち込んでいたが、それでも聖女サヤカとは気が合い仲良くして過ごし、休みの日などは王都の街に買い物に行くなど、公私に亘り付合いを深めていた。


 エルディラン王国の王都周辺の森での瘴気の発生は、聖女サヤカの働きにより、だいぶ落ち着いてきて、危機的状況からは抜け出していた。


 そしてセイナがメルリラス王国に向かう途中で、植えた二本の聖霊樹は、セイナがメルリラス王国に次々と聖霊樹を植えていった影響を受けて、その効果範囲を広げて、エルディラン王国の北側は瘴気の発生が殆ど収まり、汚れた魔物の姿も見られなくなっていた。


 エンリ殿下は王都周辺と北側については、瘴気の発生が収まりつつあると判断をして、南側への聖女サヤカの派遣を決めて、南側を中心に活動する為に、聖女サヤカは南側の領地へと拠点を移す事になった。


「聖女サヤカ、五日後には、南側のディスエスタ伯爵様の領地に拠点を移すと聞きました。あちらに行くと中々、会えなくなるので、寂しくなりますねぇ」

エリスは聖女サヤカが出発する前に、暫く会えなくなるので、聖女サヤカの休日に挨拶に訪れていた。


「そうですねぇ、寂しくはなりますが、いずれは王都に戻る時が来ると思いますので、その時はまた会って頂きたいですねぇ、でもその頃には王太子妃に成っていると思うので、気軽に会えなくなるかもしれませんねぇ」

聖女サヤカは少し寂しそうに、エリスに話した。


「大丈夫ですよ、聖女の地位は王族と余り変わらないですので、何時でも会いに来てください」

エリスは聖女サヤカに何時でも会うと約束をした。


「私も、早く専属の騎士を決めたいと思うのですが、王太子様が推薦する方は皆さん貴族の方ばかりで、気が合わないのです。余りに出世する事ばかり口にするので、嫌になります」

聖女サヤカはエリスに愚痴を思わず言った。


「聖女サヤカ、貴方は平民の騎士が良いのですか、もし良ければ私の方で、エンリ王太子に伝えておきますよ」

エリスは、婚姻が決まり、最近は良く合うようになったので、助言するとサヤカに提案をした。


「はい、お願いします。専属騎士に選んだ男性とは、寝食を共にする事になるので、いずれは婚約して、婚姻する事になるだろうと聞いておりますから、できれば愛せる騎士の方を選びたいのです」

聖女サヤカは専属騎士を選ぶと云う事は婚姻相手を選ぶのと同じと考えていた。


 聖女サヤカはエリスと会った二日後、王都近郊の東の森に定期巡回に参加をすることになり、その日だけは何故か、何時も一緒に回る貴族の騎士は余りおらず、見慣れない騎士が半数を占めていたので、その日の騎士のリーダーに聖女サヤカは疑問に思い尋ねた。


「あの、今日は見慣れない騎士さんが多数おりますが、何か理由があるのですか」


「はい、今日は騎士の昇進試験がある為に、ほぼ半数がそちらの試験を受けておりますが、戦力的には問題ないので、聖女サヤカ様は安心して、何時もの様にしてくだされば良いのですよ」

騎士のリーダーは、聖女サヤカに余計な心配をさせないように答えた。


 聖女サヤカは暫く森を歩き、自分の斜め前を歩く騎士が何故か気になり、見詰めていると、突然脇の茂みから、聖女サヤカに目掛けて襲ってくるボアウルフが現れ、聖女サヤカは驚き、怖くて目を閉じた。


 すると、何か物音がすると男性のうめき声と同時に剣で刺すような音が聞こえて、聖女サヤカは目を開けて見ると、気になっていた騎士が腕を押えていて、足元には剣が刺さっているボアウルフが倒れていた。


 聖女サヤカはその騎士の腕に、直ぐに回復魔法をかけて傷を治し、その顔をまじかに見ると、見た目は好みタイプの男性で、直ぐに惚れてしまった。


「大丈夫ですか、騎士様」

聖女サヤカは、傷を治してから、確認の意味で尋ねた。


「はい、ありがとうございます。聖女様、何ともございません」

その騎士は爽やかに笑顔で答えてくれた。


「もし、良ければお名前を教えて頂きませんか」

聖女サヤカは好みのタイプだったので、思わず名前を聞いた。


「聖女様、私は平民出身の騎士なので、名乗る程の者ではないので、これで、失礼します」

その騎士はそう云うと元の位置に行こうとした。


「ダメです。ぜひ名前を教えてください、さもなければ貴方に抱き着きますよ」

聖女サヤカは、一目惚れした騎士を逃さない為に思わず脅してしまった。


「えっ、それだけは勘弁してください。騎士を首にされますので、エイタスと申します」

聖女サヤカに脅されて、エイタスは慌てて自分の名前を告げた。


「エイタスさんですねぇ、解りました。貴方を私の専属騎士にします。後ほど騎士のリーダーに報告いたしますから、今から、貴方は私の専属騎士になりなさい」

聖女サヤカはエイタスの腕を掴み、腕を組んで、逃がさない様にした。


 その様子を見ていた周りの騎士は騒めいて、その騒めきがリーダーの処まで聞こえて、何があったか、騎士のリーダーが確認の為に聖女サヤカの処に来た。


「聖女サヤカ様、何かあったのですか・・・・・」

騎士のリーダーは聖女サヤカが騎士と腕を組んでいる処を見て、言葉が途中で止まった。


「あら、丁度いい処に来てくださいました。私はこのエイタス様を専属騎士に決めましたので、後ほど王太子様にお伝えして頂きますか」

聖女サヤカは嬉しそうに騎士のリーダーに告げた。


「そうですか、兼ねてからの懸案だった専属騎士をお決めになったのですねぇ、それは良かった。エンリ王太子様も喜ぶと思いますよ、エイタス、聖女サヤカ様の事を頼んだぞ」

騎士のリーダーは自分の時に専属騎士が決まった事を喜んでいた。


 斯うして、聖女サヤカは未来の夫となる専属騎士を決めて、その日の勤めを無事にこなして、王都に戻ると、早速、エンリ王太子に報告がいき、その日のうちに聖女サヤカの前で専属騎士の任命式が行われた。


 エンリ王太子殿下は、何とか南側に拠点を移す前に、聖女サヤカが自分で専属騎士を選んでくれた事に安堵して、聖女サヤカの気が変わらないうちに一連の手続き済ませようと、其の日のうちに任命式を強行をした。

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