第七十五話 セイナは公爵領から王都へ戻る
セイナは、今後の商会の仕事の展開を考えて、一旦王都に戻り、エルミナや王妃と話し合い、そうして病床の義父に面談して、挨拶をする必要があると思い、シルフィに相談をした。
「ねぇ、シルフィ、私ねぇ、一旦王都に戻って、今後の事をエルミナさん達と話し合いたいのよ、連れて行ってくれないかしら」
「なんじゃ、セイナがヤケに真面目になっていると思ったら、そんな事かの、まぁ、良いのじゃ、我も王都に用事があるのでの」
セイナは、シルフィに王都に連れて行って欲しいと頼み、シルフィは目を細めてニヤと笑い、引き受けた。
「セイナや、明日なんじゃがついでに聖女アイラナを隣国へ送りる事に成っての、セイナは当然付き合ってくれるのだろう」
シルフィはセイナに聖女アイラナの帰国について知らせた。
「えっ、まだ早くない、一月くらい滞在するんじゃなかったの」
セイナは聖女アイラナの帰国を知り驚いた。
「そうなのじゃ、ただの本人の希望もあっての、それにエルフィの話によると粛清もほぼ終わったようじゃ、それにの自然崩壊の兆しが思ったより早くての、それが一番大きな要因じゃな」
シルフィは聖女アイラナの帰国が早くなった理由をセイナに知らせた。
「後じゃ、聖女ミレーナが懐妊したようじゃ、それもあっての、聖女アイラナも早く恋人の男に会いたくなったのではないのかの」
シルフィは聖女アイラナの心の中にある恋人の存在もセイナに話した。
「そうなの、聖女アイラナの恋人って誰なの」
セイナは興味津々でシルフィに質問した。
「勿論、次期国王の男じゃ、その男は聖女アイラナの心の支えであったようじゃ、聖女アイラナは、私の事を前国王の悪事から、守ってくれたと言っておったのじゃ」
シルフィは聖女アイラナから聞いた話をセイナに教えた。
「まぁ、戻ったら直ぐに婚姻するのじゃ、我があ奴に申し送りしておるからの、その条件で、我とエルフィがあ奴の後ろ盾に成っておるからの」
シルフィはニヤニヤしながらセイナに話した。
「我とエルフィは、セイナもサディオスと婚姻して、子を産んでもらえれば、その子達をしっかりと子育てして、教育してやるのじゃがなぁ」
シルフィはセイナに対して、サディオスとの婚姻を希望した。
「シルフィ達は何か企んでいるの、それに子達と複数形になってるわよ、そんなに私とサディオスを婚姻させたいの」
セイナは不機嫌な表情をして、シルフィに聞いた。
「当り前じゃ、サディオスはあれでも我達の子孫じゃ。自分達の子孫とセイナが婚姻して、生まれた子は我達の子孫になるのじゃ。ましてや、セイナの子じゃ、孫みたいなものじゃ、可愛いに決まっておる」
シルフィはセイナの前で、力説をした。
「はい、はい、まぁ、サディオスも全く見込みが無い訳でもないけど、シルフィが其処まで言うなら、考えてあげても良いけどねぇ」
セイナは自分の前で、力説するシルフィを見て呆れながら、冗談半分で答えていた。
「うむ、考えて欲しいのじゃ、もしそうなれば、我達は大感激するのじゃ、そしてセイナを一生大切に面倒を見るぞ、勿論だが孫達もなぁ」
シルフィはセイナに自分の願望を更に力説した。
セイナとシルフィは、そんな話をしながら、世界樹がある方へ行き、そこから、シルフィは神龍に変身して、セイナを背に乗せて、王都に飛んで向かった。
シルフィはハクが住んでいた東の森に降り立ち、王都の東門の割と近い処に着地してから、セイナを降ろしてから、人の姿に戻り、そこから歩いて、王都の街へ行く事にした。
セイナとシルフィはクラウンの屋敷に着くと、セイナはエルミナと会い、シルフィは聖女アイラナに会いに、其々が用事がある人物の処に行った。
セイナはエルミナのいる執務室に行くと、夫のダイナスが事務処理をしていて、セイナはエルミナが王城に行っている事を察して、ダイナスに挨拶をして、直ぐに王城に行くことにした。
セイナはシルフィが行っているはずの聖女アイラナの部屋に行き、扉をノックしてシルフィが居るか確認をした。
「久しぶりです聖女アイラナ様。シルフィは伺っていませんか」
「なんじゃ、セイナか、如何したのじゃ、髄分と早いではないか、もう用事が済んだのかの」
シルフィは聖女アイラナの後方で、お茶を飲んで寛いでいた。
「セイナさん、お帰りなさい。如何なさったですか、エルミナ様はいらっしゃらなかったのですか」
聖女アイラナはセイナに挨拶をして、部屋の中に招き入れようとした。
「あっ、好いのよ、直ぐに王城に行こうと思ってねぇ、シルフィ、王城に行ってくるから」
セイナは聖女アイラナに断り、シルフィに要件を伝えた。
「そうか、我も後から行くのでの、王城で王妃の相手でもして、待っておればいいのじゃ」
シルフィはセイナに城で待つように伝えた。
「いやいや、王妃様を相手に待てって、何を言っているのですか、シルフィはそんな事できる訳無いでしょう」
「何を言っておるのじゃ、セイナは仮にも王妃の義妹なのじゃ、できん訳があるまい」
シルフィはニヤと笑ってセイナに告げた。
「おっ、そうじゃったの、聖女アイラナはセイナが公爵家の養女に成ったのを知らんかったの、セイナは今はの、公爵家の立派な当主に成ったのじゃ」
シルフィは自慢げに聖女アイラナに、セイナの身の上に起こった事を教えた。
「まぁ、それはおめでとうございます。セイナさん、公爵家の当主に成ったのねぇ、でもセイナさんなら、とても良い当主になるでしょうねぇ」
聖女アイラナはセイナの出世を心から喜んでいた。
それからセイナは少し聖女アイラナと世間話してから、王城に居るエルミナの処へ向かう為に、クラウンの屋敷を出てた。