第七十四話 セイナは絹の生地の製作に励む
セイナは糸巻機三台を使い、順調に絹糸を巻き取り、次に機織り機に巻いた絹糸をセットして、生地の製作を始める為に、機織り機を始動させると思った通りに生地が織られていき、セイナは先ずは一安心した。
「シルフィ、上手くいったみたい、これで生地の製作は出来そうよ、後は染色とか色々他にやる事は有るけど、目途はたったわよ」
セイナは嬉しそうにシルフィに言った。
「そうか、そうか、それは良かったのじゃ、まぁ、これからが大変なんじゃろうがの」
シルフィは優しい笑顔で、セイナに告げた。
セイナはお昼になるまで、絹地の製作に集中をして、完成した絹地のチェックを行い、その出来栄えを確認をして、柔らかさ、触り心地、伸縮性などの出来栄えに満面の笑みをこぼした。
セイナはシルフィと共に二階に上がり、食堂で昼食を摂り、これから如何するか考え込んでいると、シルフィが隣でセイナに茶化す様に話した。
「セイナや、そんなに悩んでも仕方あるまい、セイナらしく思った事を妄想すれば良いのじゃ」
「シルフィ、それは如何云う意味ですか、妄想って、私が何時もしているみたいじゃないですか」
セイナはシルフィの言った妄想という言葉に反論をした。
「おや。違うというのかの、この屋敷も畑も妄想でつくった様なものではないかの」
シルフィはニヤニヤしながら、セイナを茶化す様に言った。
「ウム、それは、そうだけど、でも、でもねぇ、その時だけじゃない。何時もはしてないわよ」
セイナはシルフィの言う事をあくまでも否定をした。
二人のそんな如何でもいい会話をしているうちに昼食を食べ終えて、セイナは染料を如何作るか、ステイタス画面で検索をすると、花の花びらから、色を抽出する方法が書いてあったので、それを参考にする事にした。
「うふふ、流石は異世界だわねぇ、こんな簡単な方法があるのねぇ」
セイナは案外簡単な方法で染料が出来る事を知り、ほくそ笑んだ。
セイナは直ぐに世界樹のある池の畔に行き、同じ色の花を何色か摘んで、それから直ぐに工房に行き、同じ色のピンクの花びらを集めて、布袋に入れて、大鍋に聖水を入れて火にかけて、それにピンクの花びらの入った布袋を投入して、弱火で煮だした。
セイナは他に赤い花びらを布袋に入れて、もう一つの大鍋に聖水を入れて火にかけ、そして赤の花びらが入った布袋を投入して煮だした。
セイナは大鍋の中を見て、色が出て来たところを確認して、もう少し色が出たら、入れられように絹生地を鍋に入る大きさに切り、そして色が出たところで、布袋を取り除き、そして切った絹生地を二つの鍋に投入した。
「さてと、あとは色が染まるまで、浸けておけば良いわねえ」
セイナは鍋を弱火にして煮立たないように注意をしながら、傍で座って、次に何をしようか考え始めた。
セイナは、先ずは下着の試作品を作るために何が必要か、考えて、ゴムの木が樹液を採取しないといけない事を忘れていたので、生地に色が付いてから、採取することにした。
それから一時程経って、ようやく生地に色が染まり、鍋から取り出して、軽く水洗いをしてから、風魔法で、水気を飛ばしてから、しばらく生地を伸ばして干した。
採取する容器は手持ちにあった小さい鍋を複製魔法で幾つか複製をして、それから前の世界で使っていたドライバーセットも複製魔法で複製をして、それから、針金も複製をした。
セイナは、ゴムの木に小さい鍋を針金で巻き付けて、縁の上にドライバセットを使い木肌に穴を開けて樹液を出して、小さい鍋に入るようにした。
セイナは其れから、ステイタス画面の検索画面をフル活用して紐状のゴムを作り、それをメイドのルミナとエティに教えながら、覚えて貰い、ここで人を雇い作る事を決めて、執事のエリックに採用を指示して、近くの村人を雇用するようにした。
生地についても、もう少し研究をして、誰にでも出来る様にして、地元の民を雇用して、産業にする事を目標に事業を拡大をする方向へと考えていた。
雑用係のエデンは、近くの村に行き、セイナの計画を説明をして協力を求めて、5人程の若い女性が名乗りを上げて、協力をする事を承諾して、通うためにエデンが馬車で送迎することになった。
セイナは生地の生産に、5人の協力者のうちサーシャ、エンリ、ミリナの3人を担当に決めて、カンナとケイナにゴム作りの担当になってもらった。
サーシャ達5人は仕事覚えが早くほぼ1週間で、其々の担当が役割分担を熟す様になり、自分たちで工夫をして、それをセイナに提案したりと、自分達の経験から、得た知識なども取り入れて、翌週から下着の試作品を作る処まで出来る様に成った。
セイナは試作品が出来上がると、自分たちが作った試作品を身に着ける様に何着が渡して、サーシャ達は興味津々で持ち帰り、翌日から、自分達で作った試作品の下着を身に着けて、工房に来ていた。
「セイナさん、試作品の下着を身に着けてきたけど、肌触りが全然今までとは違い、着け心地が最高です」
「私も、サーシャと同じです。これを私たちが作ったのですよねぇ、なんか凄く感動です。これなら知合い達に勧められますよ」
エンリも嬉しそうにセイナに話した。
ミリナ、カンナ、ケイナの3人も二人の感想と同じで、こんなに良い物を自分たちで作った事に感慨深い思いだと、其々が感想を述べていた。
シルフィは、セイナとサーシャ達の様子を傍で見ていて、中々順調に下着の製作が進んでいることを喜び、微笑みながら、セイナ達を見守っていた。
セイナは協力してくれたサシャ達を従業員として採用して、これから、工房の拡張と従業員の補充を進め、村の近くに新たに工房を建てる事も検討することにした。
セイナは、下着の製作がある程度、目途がついたところで、一旦王都に戻り、エルミナと王妃と会い、今後の事も含めて報告と打合せををする事を決めた。
セイナは公爵家の義父に一度会いに行き、これから公爵家の領土で事業を展開するために、色々と今後の事を含めて、相談する必要があると考えていた。