第六十九話 セイナはご先祖様の秘密を知る
セイナは、絹実の実が収穫できるまでに成長をしている事を確認して、笑顔になり抱いているコハクの頭を撫ぜながら、立ち上がった。
「うふふ、これなら明日から少し収穫して試してみようかなぁ、多分屋敷の中に器具類が出来ていると思うから、ハク、クイン、私達も屋敷に行きましょうか」
セイナはハクとクインを呼び、屋敷に行く事にした。
屋敷の中に先に行ったシルフィとエルフィは、二階の応接室で、セイナがまたやらかした事を察知して、苦笑いをしていた。
「うふふ、セイナは何だか、また飛んでもない者と契約したみたいねぇ」
エルフィは、苦笑いをしながらシルフィとサディオスに知らせた。
「アハハ、またっくじゃ、でも今回はこれで良かったかも知れんなぁ、自然崩壊には有効じゃ」
シルフィは笑いながら、エルフィに話した。
「あの、セイナが何をしたのですか、俺にも教えて下さい」
サディオスは何が何だか、解らずに二人に尋ねた。
「うーん、簡単に言うと二人の聖霊女王と契約したのじゃ」
シルフィがサディオスに簡単に教えた。
「二人の聖霊女王ですか」
「そうねぇ、一人は緑、うーん、自然を司る聖霊女王で、もう一人は水と氷を司る聖霊女王かしらねぇ」
エルフィが具体的に、サディオスに伝えた。
「聖霊女王とは、一体どう云う者なのですか? 昔は居たと伝説で聞いた事は有りますが」
サディオスは伝説で聞いた程度で具体的な事は何も知らなかった。
「うーん、そうねぇ、聖霊には、大きく分けて、緑、水、火、土、風、の四つの属性の聖霊が存在するけど、その頂点が聖霊女王ねぇ、聖霊自体の力は、さほど大きく無いけど、女王になると国一つを網羅できると云われているのよ」
エルフィが大まかに、サディオスに聖霊女王の事を説明をした。
「うん、そうじゃなぁ、聖霊にはの、地聖霊、守護聖霊、聖獣、聖霊女王となぁ、大体この四種類の進化の形態があるかの」
シルフィが、序でに聖霊の進化する種類をサディオスに教えた。
「まあ、聖獣は余り好ましくは無いけどねぇ、大体何かに恨みを持ったり、何かを護りたい時に力を必要以上に欲した場合に聖獣に顕現するようだから」
エルフィは聖獣については、余り好いものではない事をサディオスに教えた。
その頃、セイナは一階の左側の部屋に行き、機器の確認を行い、糸巻機、機織り機、ミシン、裁断機、作業台にマネキン人形、などがあった。
「うーん、此れだけあれば出来るかなぁ、やってみれば判るかなぁ、あぁ、少し勉強しておけば良かったかなぁ、興味はあったけど、突然だったからなぁ」
セイナは機器類を見て、多少の不安を抱えて、思わず独り言を言って、過去の自分に後悔をしていた。
セイナは機器類の確認を終えてから、二階に上がり、そしてシルフィ達が居る応接間に入り、サディオスの隣が空いていたので、そこのソファーに座った。
「あっ、そう言えば、ここの管理人を雇わないといけないわよねぇ、如何しようかしら、シルフィ、何か聞いてない」
セイナはふと思い出して、管理人を如何するか、今になって気付いた。
セイナは仕事の事で頭がいっぱいで、屋敷の管理まで、考えが及ばなかった事を少し反省をして、シルフィがこの物件を授かる時に、何か聞いてないか、淡い期待をしながら、確認をする事にした。
「うふふ、セイナや、安心せい、王妃様が公爵家の使用人から、何人か手配してくれるそうじゃ、そして今日の日暮れ前に到着する様にすると申しておったぞ」
シルフィはセイナとサディオスを見ながら、意味深な態度でセイナに知らせた。
「アハハ、何か、怖い気がするけど、流石に根回しが良いわねぇ、でも助かったわ」
セイナは引き攣りながら笑みを浮かべて、シルフィに一応、感謝しておいた。
セイナはサディオスと婚姻をさせるべく、周りからドンドンと外堀を埋められていく感じがして、段々と現実味が出てきて、少し不安になってきていた。
【セイナ様、神龍様と不死鳥様に挨拶させてください】
【セイナ様、私も挨拶させてください】
アースリンとアイリンは、セイナに念話で、お願いをした。
「えっ、アー、良いわよ、姿を見せてあげて」
セイナは二人の聖霊女王に許可を出した。
アースリンとアイリンは、セイナの許可を得た事で、直ぐにイヤリングから聖霊女王の姿になり、セイナの後方に立ち、シルフィとエルフィにお辞儀をして挨拶を行った。
「神龍様、不死鳥様、私はアースリンと申します。先代の大聖女様が異界に行く前に一度だけ、御拝見して以来ですが、今回は同じ大聖女様と契約と云う事で、互いに協力していくと云う事で、宜しくお願い致します」
アースリンが丁寧にシルフィとエルフィに挨拶をした。
「神龍様、不死鳥様、私はアイリンと申します。アースリン同様に私も宜しくお願い致します」
アイリンもシルフィとエルフィに挨拶を行った。
「うむ、こちらこそ、頼むのじゃ、さっき先代の大聖女様が異界にと言ったが、やはりセイナは、先代の大聖女様の子孫なのじゃなぁ」
シルフィは自分の持論が正しかった事を確認する為に、アースリンに尋ねた。
「はい、そうです。私達はセイナの名を継いだ者にずっと憑依する形で、今まで存続して参りました」
アースリンがシルフィに簡単な経緯を話した。
「そうか、そうか、やはりそうじゃったのか、これで納得がいったのじゃ」
シルフィは自分の持論が正しいかった事で感無量に成っていた。
「シルフィの思った通でしたか、それならセイナの能力の高さに、私も納得出来ます」
エルフィも、胸のつかえが取れた感じてあった。
「え~と、えー、私の御先祖様に異世界人が居たと云う事なの? それも大聖女様だったの? 本当なの?アースリン」
セイナはビックリして、アースリンに確認をした。
「はい、そうですよ、時代背景は分かりませんが、そう云う事になります。セイナ様は確か第12代目のセイナ様です」
アースリンはあっさりと肯定をして、セイナに伝えた。
「セイナ様は本当に大聖女様だったのですね、私はセイナ様に仕える事が出来て光栄であります」
サディオスがいきなり膝ま付き、礼を執った。
「やめて、サディオス、今まで通りでいいからねぇ、お願いだから、そんな事をしないでねぇ」
セイナは急に礼を執ったサディオスに、慌てて止めるように伝えた。
セイナは自分の秘密を知り、少し頭が混乱していたが、何故自分が大聖女として、この世界に来たのか、何となく理解が出来たように感じた。