第六十五話 セイナは公爵家別邸へ向かう
セイナは、シルフィと部屋の前で分けれて、自室に入ると、取敢えずシルフィから貰った公爵家の別邸の権利書をアイテムボックスに仕舞い、コハクを抱いてベッドの上に寝転び、溜息を吐いた。
「ハアー、私の将来はどうなるのかしら、まさか此のままサディオスと、婚姻なんてならないわよねぇ、不安だよ、ねぇコハク如何したら良いの」
「クウーン、クゥン」【なる様にしかならないじゃないの】
「コハクが冷たい」
「クゥン、クウーン」【何が嫌なのセイナは】
「何がって、何となく嫌なのよ」
「クウーン、クン」【それじゃ、分らないじゃん】
「セイナ、そんなにサディオスの事を嫌う事も無いでしょう、まだ、彼の事を良く知らないのでしょう、相手の事を良く見極める必要が有ると思いますよ」
クインはセイナを諫めるように進言をした。
そして夕食の時間になり、食堂に行くと、エルミナからセイナに、クラウンからの辞令が手渡せられて、セイナはその辞令を読んで驚いた。
「えっ、私が第三班のリーダーですか、エルミナさん、しかもサディオスとシルフィにエルフィのメンバーですか」
セイナは声が自然と大きく成り、エルミナに確認をした。
「えぇ、そうよ、何か問題でもあるかしら、シルフィ様とエルフィ様は、貴方と一応従魔契約しているのでしょう、サディオスは貴方のパートナーと前から決まっていたのだから、当然でしょう」
エルミナは何も問題無いとセイナに告げた。
「それは、そうですけど、私で無くて、シルフィでも良くありませんか」
セイナは、最後の抵抗をエルミナに対して試みた。
「駄目よ、シルフィ様からもセイナをリーダーにする様に、言われているから、余り私を困らせないでくれるかしら」
エルミナは少し可愛っ子振りっ子の振りをして、シルフィを見てから、セイナに言った。
「そうじゃぞ、セイナ。 セイナは我らの主じゃ、もっとシャッキのしてくれんと困るのじゃ」
シルフィがセイナに止めの一言を告げた。
そこへ、特訓から帰って来たサディオスとハク、そしてエルフィがクラウンの屋敷へ戻って来て、そのまま食堂に入って来て、シルフィが、エルフィ達にセイナの辞令の件を伝えた。
「オウー、エルフィ、丁度良い時に帰って来たのじゃ、今な、セイナに辞令が出て、我とお主らとで第三班になっての、そのリーダーがセイナになったのじゃ、問題ないであろう」
シルフィは、戻って来たエルフィ達に伝えた。
「あら、良いじゃない、サディオスも異論はないわよねぇ」
エルフィはサディオスにも確認をした。
「あぁ、其れで良いじゃないですか、適任だと思います」
サディオスは、あっさりとセイナのリーダーを認めた。
「あら、私がリーダーで不服じゃないの、サディオス君は、如何してかしら」
セイナはあっさり認めたサディオスに、少し不満げに尋ねた。
「だって、俺には、シルフィ様とエルフィ様に指示どころか、何かものを言える立場じゃないから、出来る訳無いだろう」
サディオスは、自分の立場を良く理解をしていて、二人を扱えるセイナが適任だと認めた。
「セイナ、サディオスもそう言っているのです。無駄な抵抗は止めて、リーダーになりなさい。私達は貴方を守護する立場なのですから」
エルフィはセイナに止めの一言を言い渡した。
「はーい、分りました。頑張ります。だけどちゃんと私の事を支えて下さいよ、シルフィ、エルフィ、お願いよ」
セイナは浮かない返事をしてから、シルフィとエルフィに縋る様に、支えて欲しいとお願いをしていた。
「処で、セイナ、畑の用意も出来た事ですし、以前やりたいと言っていた事をやって欲しいのです」
エルミナはセイナに例の件の準備をして欲しいと頼んでいた。
「あっ、はい、そうですねぇ、もう既に動きだしているのですねぇ」
セイナは今回の街の散策で、商会の建物が建設されている現場を見たので、自分も始めなければと思い立った。
「まぁ、そう云う事です。休暇中ではあるけども、明日から暫く、第三班は、そちらの仕事を優先して欲しいのです、一段落するまでねぇ、クラウンの命運が掛かってますからねぇ」
エルミナは、既に動き出した商会の準備をセイナに頼んだ。
「はい、分りました。明日から、頂いた別邸に向かいます」
セイナは、自分がやりたかった事が出来るので、喜んで返事をした。
セイナは、これで生地の生産に必要な素材が作れるのと、色々と試したい事もできるので、早く別邸に行きたいと思い立った。
セイナ達は、それから食事を取にキッチンに行き、食事をトレーに載せて席に戻り、食事を始めて、暫くしてから、シルフィとエルフィに話しかけた。
「シルフィ、エルフィ、明日なんだけど、朝一で向かいたいだけど、良いかなぁ」
セイナは二人に早く行きたいので、確認をした。
「セイナが、したい様にすれば良い、我らはそれに従うだけじゃ」
「シルフィの言う通りです。私も貴方に従いますよ」
二人が、笑顔で、セイナに従うと返事をした。
「あのサデイォス君も良いかなぁ」
セイナは、念の為に確認をした。
「俺も班員だ、当然従います。出来れば、声を掛けてくれると助かります。シルフィ様御願いできますか」
サディオスは朝が苦手なので、エルフィに頼んだ。
「しょうがないですねぇ、サディオスはもう少し、早起き出来る様に成らないと駄目ですよ」
エルフィは何時もの事なので、起こす事を引受けていた。
そして、セイナ達第三班は、翌朝の早朝に、クラウンの所有する幌馬車で、公爵家別邸に向かい、御者席にはセイナとエルフィが座り、エルフィがセイナに馬の操り方を教えていた。