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第六十四話 セイナの秘め事と土地の所有権を得る

 エルミナは、この国の成立ちにシルフィ様とエルフィ様が関わっていた事を知り、益々この国が好きになり、そして誇りに思えて嬉しく成り、そしてシルフィとエルフィが斯うして、今は自分達の傍に居てくれる事をとても心強く思っていた。


「シルフィ様は、セイナの存在を如何思っているのですか、慈愛の女神メルリス様の加護を持つ彼女の事を」

エルミナは、セイナが何故この世界に、聖女召喚に巻き込まれて来たのかを、今も何か意味があるのでは無いかと、時々考える事があった。


「うーん、それに関しては、あくまでも、我の推測じゃ、セイナは以前存在した大聖女の子孫では無いかと思っておる」

シルフィは、この国が成り立った後に、姿を一旦消して、暫くして、この世界に大聖女が現れた事を思い返していた。


「大聖女は、この世界に様々な奇蹟を起こし、人々に様々な恩恵を与えていたのじゃ、例えば新しい食糧の生産に貢献したり、様々な魔道具の開発したりとな、如何じゃ、セイナに似ておるだろう」

シルフィは以前いた大聖女の話をエルミナに聞かせていた。


「はい、そうですねぇ、全く同じ様に思えます」

エルミナは、聖女ミレーナの護衛任務の際に、セイナのした事を国王から聞かされていた。


「しかしじゃ、それが原因で、大聖女の争奪戦が国同士で始まったのじゃ、それを憂いた大聖女は、この世界から忽然と姿を消してしまったのじゃ」

シルフィは昔を思い出すかのように、エルミナに語った。


「まさか、消えた先が、セイナの居た世界と言う事ですか」

エルミナは、シルフィの話を聞いて、何となく思った事をシルフィに話した。


「まぁ、そう云う事じゃなぁ、此れは、あくまでも推測の話じゃぞ」

シルフィはエルミナの言った事を肯定はしたが、あくまでも推測と念を押していた。


「そう考える方が辻褄が合うのじゃ、そうで無ければ、セイナに女神が加護を与える理由は、無いはずなのじゃ」

シルフィは、何も関係もない筈の異世界人に、女神が加護を与える事は無いと考えていた。


「そうですよねぇ、私も何故セイナに女神様が加護を与えたのか不思議なのです。そうじゃ無ければ、セイナと同時に召喚された聖女も加護が付いていても、おかしくは無いはずですから、だけど今の処、そんな情報は入っておりません」

エルミナは、王家の情報部からの報告も聞いているけど、そんな話は未だに聞いていなかった。


「そして、何故セイナが聖女ではなく、大聖女に成っているのかじゃ、素質があると云っても、魔法の無い世界の異世界人じゃぞ、だから、我は大聖女の子孫では無いかと思った訳じゃ」

シルフィはセイナの事を、そう思わなければ、セイナの能力に納得が出来なかった。


「それにじゃ、何故かセイナは自分の娘の様に可愛くてしょうがないのじゃ、この感情は何なのか、自分でもわからんのじゃ、それはエルフィも同じなのじゃ」

シルフィはその感情が何なのか、全く理解できていなかった。


「それは理解出来ます。私もセイナを妹の様に思えて、可愛いと云うか、守ってあげたくなるのですよ」

エルミナはセイナを妹の様に可愛いくて、守ってあげたくなる感情を不思議に思っていた。


 しかし、シルフィとエルミナは、大聖女であるセイナに関する事は、全て憶測の域を出ず、これ以上、議論しても結論が出ない事から、これまでにして、公爵家の別邸の権利書の話に話題を変えて話し合った。


 そして、シルフィとエルミナは、セイナとサディオスとの関係を深める為の切り札として、この別邸でのひと時を利用する事にした。


 そしてエルミナは、希望の盾の一つのチームとして、セイナをリーダーとして、サディオスにシルフィとエルフィの四人とハク達従魔を加えて、新たなチームとする事が正式に決まった。


 シルフィはエルミナとの話し合いが済んだ後にセイナの部屋を訪れて、公爵家の別邸の権利書を渡してから、セイナに説明をした。


「セイナや、以前話していた農地の件じゃ、公爵家の別邸に広い畑が在るそうじゃ、そこを好きに使って良い事になったからの、それが権利書じゃ、明日から其処に向かうのじゃ、解ったかの」

シルフィは国王から預かった権利書をセイナに渡した。


「えっ、権利書って、これを私が持ってて良いの、それじゃ、まるでその土地を私が貰ったみたいじゃない、借りるだけでしょう」

セイナはまさか、自分が土地の所有者に成る事なんて、考えていなかった。


「いいや、国王はセイナに授けると言っておったのじゃ、だから好きに使って良いと申していたぞ」

シルフィはありのままをセイナに伝えた。


「えっ、でも公爵家の持ち物なのよねぇ、幾ら国王でも他人様の物を勝手に授けて良い訳無いじゃない」

セイナは流石に他人様の物を貰う訳にはいかないと、シルフィに伝えた。


「だから、実際の所有者である王妃様が、セイナに授けると国王に提案して言ったのじゃ、だから、問題ないのじゃ」

シルフィはニヤと笑ってセイナに問題無いと伝えた。


「何か、受け取ったら、取り返しのつかない事態にならない? 例えばサディオスとの婚姻とか、それに対して拒否権が無くなるとか」

セイナは、公爵家の物件の権利書を持って、手が震えていた。


「そこまでは、我には分らん事じゃ、そん時はそん時じゃ、なる様にしかならんのじゃ」

シルフィは其れに関しては、関与しない事を暗にセイナに伝えた。


「ま、まさか、シルフィはそうなった時に、私を助けてくれないの」

セイナはシルフィの腕を掴んで、確認をした。


「助けるも何もないじゃろう、良い縁談じゃないかの、我らが口を挟む話では無いのじゃ」

シルフィは良い縁談と云い、あくまでも静観する心算であるとセイナに伝えた。


 その時、セイナは権利書をジッと見詰めて、如何しようと悩んでいたが、シルフィがセイナに言ったひと言で諦める事になる。


「言っておくが、もう既に決定された事じゃ、セイナには拒否権はないのじゃ、もう、その別邸はセイナの物に成っておる。それに関しては、我も承諾しておるしの」

シルフィは微笑みながら、セイナに伝えた。


 セイナは止めのシルフィのそ一言で、自分の将来に暗雲が立ち込める様な想いに駆られて、床に膝ま付き、ショックを受けていた。

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