第六十一話 セイナは聖女の二人と王都の街を散策する
セイナはミスリルの槍を、エルミナに見せた後に、気分よく自室に戻ろうとした処に、聖女アイラナに偶然部屋の前で会い、聖女アイラナは微笑みながら、セイナに話しかけた。
「セイナさん、丁度よかったは、貴方にお願いがあるのですが、宜しいですか」
「はい、なんでしょうか、聖女アイラナ様」
セイナは笑顔で、聖女アイラナに答えた。
「あの、明日なんですが、聖女ミレーナ様に王都の街を色々と案内して頂く事になったのですが、それに是非セイナさんも同行して頂きたいのです。聖女ミレーナ様のご希望でもあるのですけど」
聖女アイラナは、明日の王都の街の散策にセイナを誘った
「はい、分りました。明日ですねぇ、クイン達も連れて行っても大丈夫でしょうか」
セイナはクインとコハクを連れても大丈夫か確認をした。
「はい、勿論ですわ、クイン様達が居れば、安心して街の中を散策出来ますから」
聖女アイラナはクインとコハクを見て、笑顔で答えた。
それから、セイナは聖女アイラナに丁寧にお辞儀をすると、聖女アイラナも丁寧にお辞儀をして、互いに、自室に入って行った。
セイナは自室に入ると部屋着のジャージに着替えて、夕食の時まで、コハクを抱いて、ベッドの上で、モフモフタイムに入り、寛いで休む事にした。
日が暮れてきて、教会の鐘が、カーン、カーン、カーンと三回鳴り、セイナは直ぐにコハクを抱き、クインを連れて、食堂に向かった。
セイナは、食堂にに行くと、聖女アイラナはエルミナの隣に座り、談笑をしていて、セイナを見ると笑顔で迎えて、エルミナもセイナを手招きをして、セイナを呼んだ。
「セイナ、聖女アイラナ様の隣に座りなさいなぁ」
エルミナは笑顔で、セイナに声かけた。
「はい、分かりました。聖女アイラナ様、隣に失礼しますねぇ」
セイナは笑顔で、聖女アイラナに声を掛けてから、隣に座った。
「処で、明日はセイナも王都の街の散策に行くのよねぇ、今回は仕事として行って貰うから、護衛任務よ、装備を着けて行ってねぇ、依頼料はギルドに口座に振り込まれるから」
エルミナはセイナに仕事として、同行する事を説明した。
「えっ、だって、私は今は休暇中ですよ、仕事なんですか」
セイナは仕事と聞いて、休暇中に仕事?と思い、エルミナにもう一度確認をした。
「えぇ、そうよ、だから、其の分はちゃんと延長するわよ」
エルミナは、セイナに其の分の延長をする事を伝えた。
「別に仕事として行く必要があるのですか、私は仕事で無くても、お二人をちゃんと守りますよ、クインも一緒ですし」
セイナは仕事として行く事に抵抗感を感じた。
「セイナ、聖女ミレーナ様からのお願いなのよ、セイナが護衛として付けば、護衛騎士を付けずに三人で街の中を散策できるそうよ」
エルミナはセイナに仕事として護衛に付けば、護衛騎士を付けずに済む事を説明をした。
「あっ、そう云う事ですか、確かに聖女ミレーナ様は王太子妃ですものねぇ、護衛無しで街を歩く事は出来ませんでした」
セイナはエルミナの説明を聞いて納得をした。
「まぁ、そう云う事よ、本来なら、複数の護衛を付けるのだけどねぇ、クインも一緒に行くのでしょう、神獣フェンリル様も同行するなら、大丈夫だろうと云う事よ」
エルミナは護衛の件について、セイナに更に説明をした。
「確かに、クインなら騎士よりも強いですし、役に立ちます」
セイナは、後方に座って待機しているクインを見てから、エルミナに話した。
「エルミナ殿、それに我も同行させて貰えんかの」
シルフィがセイナの後方から、突然エルミナに頼んできた。
「シルフィ様、それは別に構わないですよ、聖女ミレーナ様も、シルフィ様ならダメとは言わないでしょうから、私としては、その方がより安心出来ます」
エルミナはシルフィの同行を歓迎した。
明日の聖女ミレーナ様と聖女アイラナ様の護衛に、セイナとシルフィにクインが就く事になり、勿論コハクも同行する事になった。
その翌日、セイナは、聖女アイラナと共にシルフィとクインとその背に乗せたコハクとで、王城へ行き、聖女ミレーナと合流して、馬車に乗って王城から街へと出掛けて行った。
「うふふ、久しぶりに、セイナさんに会えて嬉しいわよ、それとコハクちゃんも」
聖女ミレーナは腿の上にコハクを乗せて、頭を撫でながら、ご満悦でセイナに伝えた。
「シルフィ様も、御同行して頂き感謝します」
聖女ミレーナはシルフィに丁寧に挨拶をした。
「うむ、我は序でじゃ、なんせ問題児を長く放置すると、何をやらかすか心配での」
シルフィはセイナをチラと見てから、聖女ミレーナに心境を伝えた
「うふふ、それは云えてますねぇ」
聖女ミレーナもセイナをチラと見てから、笑いながら、シルフィに同意をしていた。
「なななんですか、二人して、私はそんなに問題児じゃ、ありませんよ」
セイナは自分の事を言われていると気づき、抗議をした。
「セイナよ、だから言っておるではないか、先日国王エリナス殿が嘆いていたぞ、またとんでも無い防具を造ってくれたと」
シルフィはセイナに先日の例を挙げて、問題を起こした事を知らせた。
「えっ、そんなにとんでもない事だったの? 普通に造ったたげですよ」
セイナは特に何かした覚えがなかった。
セイナはその後、シルフィに何がとんでもない事かを切々と講義を受けて、自分がとんでもない魔力を注ぎ込んで、造った防具がどれだけ飛んでもない物であったかを聞かされた。