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第六十話 セイナは業物の槍を探す

 セイナは冒険者ギルドを出た後に、ふと思い出して、【そうだ、折角大金が入ったから、業物の槍でも見てみよう】と考えて、装備屋に行く事にした。


 セイナはもう一度、冒険者ギルドに戻り、以前に依頼を受けた時に、感じの良かった担当者に尋ねる為にその列に、コハクを抱きながら、並んで待つ事にした。


 セイナは順番を待つ間に、暇つぶしにギルドの中をジックリと観察して見ると、意外と王都のギルドは広く、地方の冒険者ギルドと違い、殺伐とした風意気は無く、ゆったりとしているなと、改めて見て、セイナは感じていた。


「はい、次の方、どうぞ」

受付担当者が、セイナに呼び掛けた。


「あっ、はい、あのすいません、聞きたい事がありまして、教えて頂きたいのですが、宜しいですか」

セイナは、自分の番になり、慌てて返事をしてから、その担当者に尋ねた。


「はい、何でしょうか」

受付担当者は笑顔で、セイナに尋ねた。


「此の近くに、良い装備屋さんがあれば、教えて欲しいのですが」

セイナは受付担当者に装備屋の場所を尋ねた。


「あっ、はい、そうですねぇ、此方に地図がありますから、この地図に書いてある装備屋さんが、割合王都では、有名な装備屋さんに成りますので、いかがでしょうか」

受付担当者は地図をセイナを見せて、説明をして、印をしてから、その地図をセイナに手渡してくれた。


「はい、分りました。丁寧に教えて頂き、ありがとう御座います。それでは、これから、その装備屋さんに行って参ります」

セイナはその受付担当者に丁寧に礼を述べて、そして、教えて貰った装備さんに向かう事にした。


 冒険者ギルドを出たセイナは、コハクを抱きながら、地図を見て、クインはその隣を歩き、そして街中をゆっくりと歩いていると、【セイナ、あそこに見えるのが装備屋では無いですか】とクインからの念話で、セイナはクインの言われた方を見ると、確かに装備屋の看板があった。


 セイナは、クインにウインクをして、少し歩くスピードを上げて、その店を目指して、早歩きで向かい、装備屋の前に着くと、一回だけ深呼吸をしてから、その装備屋の中に入って行った。


 装備屋の店内に入ったセイナは、店内を見回して、槍の置いて在るコーナーを見つけて、其処へ向かって歩き、そして槍のコーナーへ着くと、早速並べて置いて在る槍を見て周り、そして鑑定眼で槍の性能などを見ていると、どれも然程変わり映えが無く、セイナは少し残念な気持ちになっていた。


 セイナは残念な気持ちで、槍のコーナーで立ち尽していると、クインは中古の装備コーナーで、一本の槍を見詰めていたので、セイナはクインの見詰めている槍を鑑定眼で見ると、業物と表示が出ていた。


 セイナは直ぐに、その槍の値段を見ると、金貨5枚と値札に書いてあったので、直ぐに手に取り、会計する所へ行き、冒険者登録証カードを見せて、店員に渡して、そこから支払いを済ませた。


 会計を済ませたセイナは、直ぐに其の装備屋から出ると、コハクをクインの背の乗せて、買った槍を両手で掴み、感触を確認すると柄の方が大分傷んでいた。


「なる程、柄が傷んでいたから、この値段なのかしら、でも柄の方は何とかなるわよねぇ」

セイナは柄の痛みが、この値段だと思い込んでいた。


 するとクインは念話で【セイナ、それは古びて、業物とは思われていないだけだと、思いますよ、可成り古いですから、セイナなら、再生出来ると思いますよ】とセイナに教えていた。


 セイナはクインからの念話で、可成り古いと聞いて、年代物は日本でも名刀は呼ばれる刀など、良く聞く事があったので、早くクラウンの屋敷に戻り、修復したくて、ウズウズして来たので、急いで帰る事にした。


 急いで帰ったセイナは、クラウンの屋敷に戻ると、直ぐに自室に戻り、机の上に買ってきた槍を置き、どの様に修復するか考え込み、妄想を始めた。


「セイナ、その槍の柄は修復してもそう長く持ちませんから、シルフィ様の鱗を加工して、柄にすれば良いと思いますよ、穂先はミスリルですから、セイナの魔力で研磨すれば良いと思います」

クインが、セイナにアドバイスをした。


「えっ、これって、ミスリルなの、この世界にも在ったのねぇ、ヤッター、夢のミスリルだー」

セイナは思わず喜んで、叫んでいた。


 セイナはクインのアドバイスを受けて、シルフィの鱗を二枚出して、魔力を注ぎ、二枚の鱗を合成して、一枚の板上にしてから、更に魔力を籠めて、柄の形に変えて、柄の先にも攻撃出来る様に尖った形にして、それから槍の穂先と融合して槍を完成させた。


 そしてセイナは、槍の穂先に魔力を籠めて、錆びついていた様に見えたミスリルの汚れを綺麗に落として、更に研磨をしてから、自動修復のエンチャントも施した。


「うふふ、夢のミスリルの槍を手に入れたわよ、うふふ、後で、エルミナさんに見せに行こうかなぁ」

セイナは嬉しくて、直ぐにその槍を持って、外の庭に向かった。


 庭に出た、セイナは早速、ミスリルの槍を持って、素振りをして感触を確かめて、微調整を行いながら、素振りをしたり、型の練習をしていた。


 そしてセイナは納得のいく出来になったので、一旦アイテムボックスに収納をしてから、エルミナの部屋へ伺う事にした。


 エルミナの部屋の前に着いたセイナは、部屋の扉をノックして、エルミナの返事を確認してから、部屋の中に入り、エルミナに槍の事を話した。


「うふふ、エルミナさん、今日ですねぇ、ミスリルの槍を手に入れる事が出来ました」

セイナは嬉しそうに、エルミナに伝えて、アイテムボックスから、槍を出して、エルミナに見せた。


 エルミナはセイナが出したミスリルの槍を見て、此れは本物のミスリルと自分の鑑定魔法で確認が出来て、セイナに入手方法を尋ねた。


「セイナ、此れは何処で入手したの」

エルミナは一瞬驚き、セイナに聞いた。


「王都の装備屋さんです。中古の装備のコーナーに在ったのを見つけて、金貨5枚で購入しました」

セイナは微笑みながら、エルミナに答えた。


「ハッー、中古、金貨5枚、そんな物で買えたの、セイナ、流石に強運過ぎない、普通なら、金貨100枚はするわよ」

エルミナは驚き、セイナを呆れた眼差しで見ていた。


 それから、セイナは事の経緯をエルミナに詳しく話し、エルミナは、此れは確かに掘出し物だわねぇと納得をして、セイナにミスリルの槍を良く見せて貰える様に頼み、手に持って感触を確認していた。

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