第五十九話 セイナは口座残高を見て驚く
エルミナは城から帰ると、セイナの部屋に前に訪れて、扉をノックしてから、部屋に入ると、ジャージ姿で、コハクとじゃれ合っているセイナを見て、溜息を吐いて、要件を伝えた。
「セイナ、ハアー、何をしているのですか、全く、人の気も知らないで、呑気にもう、お金は冒険者ギルドの口座に振り込んで貰ったから、明日にでも確認をしておいてねぇ」
エルミナは、呑気なセイナを見て呆れつつも、それから要件を伝えた。
「あっ、エルミナさん、お帰りなさい、はい、分かりました。明日にでも確認します。ありがとう御座います」
セイナは、起き上がって、姿勢を正して、エルミナに答えた。
「それじゃ、これで失礼するわよ」
エルミナはセイナに一言いってから、セイナの部屋から出て行った。
「ねぇ、コハク、今のエルミナさん、疲れた感じだったねぇ。何だか悪い事しちゃったかしら」
セイナはコハク相手に、エルミナの表情を見た感じを聞かせていた。
「クン、クウーン」【セイナのせいじゃないの、丸投げしたから】
「エへへ、やっぱりそうかなぁ、ごめんなさい、エルミナさん」
セイナは苦笑いをしながら、エルミナの居る部屋の方へ向かって、手を合わせて謝っていた。
それから、暫くしてセイナは夕食の時間になったので、部屋を出ると、隣の聖女アイラナを見かけて、一緒にコハクとクインを連れて共に食堂に行き、明日の予定を聖女アイラナに尋ねた。
「聖女アイラナ様、明日は何か予定でもありますか、もし良ければ、また散歩でも行きませんか」
セイナは微笑みながら、聖女アイラナに一緒に散歩でもと誘った。
「セイナさん、誘って貰い恐縮ですが、明日は王城へ行き、国王エリナス様と会う事になっていますので、ごめんなさいねぇ」
聖女アイラナはセイナに、申し訳なさそうに謝っていった。
「いいえ、予定があるのでしたらいいのですよ、また機会があれば、ご一緒しましょうねぇ」
セイナは笑顔で聖女アイラナにまたの機会にへと伝えた。
それから、セイナは聖女アイラナと共に夕食を食べていると、サディオスがハクと共に食堂に来て、ハクはクイン達が食べている処へ行き、出されていたお肉を食べ始めた。
サディオスは少し疲労気味であったが、夕食が乗ったトレーを持って、開いた席に座り黙々と食べ始めた。
「ねぇ、ハク、今日もだいぶ扱いた様だけど、どの位レベルを上げて来たの」
セイナはサディオスを見て、少し気になったので、ハクに聞いた。
「うん、大した事はない、レベル的には、50から55へ上げた程度だぞ」
ハクは大した事の無い様にセイナに伝えた。
「聖女アイラナ様、レベルを5も上げるのって、普通は大変じゃないのかしら」
セイナは、自分のレベルが既にカンストしている為に、その辺の感覚が判らなかった。
「そうですねぇ、普通は大変だと思いますよ、ですが神獣様ですから、大した事が無いのでしょう」
聖女アイラナは人と神獣の感覚が違うのでは無いかと思って、セイナに伝えた。
セイナはそんな会話を聖女アイラナとしていると、遅れて、エルミナがシルフィとエルフィと共に食堂のに来ると、エルミナがサディオスをチラと見てから、そのまま夕食の乗ったトレーを取りに行った。
それに続いて、シルフィとエルフィも食事が乗ったトレーを取り、そしてシルフィとエルフィはサディオスの前の席に座り、エルフィがサディオスに話しかけた。
「サディオス君、明日から、私が貴方の早朝の稽古をつけますから、寝坊をしない様にして下さいねぇ、これは国王エリナス殿からの依頼でもありますから」
エルフィは真面目な表情でサディオスに告げた。
サディオスはエルフィから、稽古の相手をすると聞き、一瞬顔表情が引き攣り、そして、これが王命と聞き、サディオスは逃げられないと思い、覚悟を決めて答えた。
「はい、分かりました。エルフィ様、明日からお願いします」
サディオスは真剣な表情をして答えた。
「それとハクとの特訓は継続じゃぞ、これからミッチリと鍛えるからの、心しておく様に」
シルフィは、当然の様な表情をして、サディオスに告げた。
それを聞いたセイナは、ワアー、きつそう、しかし、何で其処まで、サディオスを鍛える意味があるのか、セイナには理解出来なかったけど、それはセイナの夫に成る為の試練である事を、当事者であるセイナとサディオスは知る由も無かった。
その翌日の早朝にセイナはいつもの様にシルフィと早朝稽古を行い、そしてサディオスはエルフィの影の剣士と早朝稽古を行い、サディオスは影の剣士との打合いでは、可成り苦戦をしていた。
サディオスは一本も相手から取る事が出来ずに、相手から可成り手加減をされている事が判る程の実力差があった。
セイナは、そんなサディオスを見て、一様、頑張れと、心の中で声援を送り、一足早く稽古を終えて、自室に戻り、着替えてから一息入れてから、食堂に朝食を食べる為に行く事にした。
そして朝食を摂った後は、セイナはいつもの様に、コハクとクインとで、東の森へ散歩へ行き、お昼前に街に戻り、冒険者ギルドへ行き、自分の口座の残高の確認をすると、桁が一桁多くなっている事に驚き、大きな声を出しそうになるけど、何とか抑えて、ギルドを出る事にした。
「ア~、驚いた。桁が一桁多かったから、大声出しそうになったわよ、ねぇ、クイン、シルフィの鱗って凄い価値があるのねぇ、私ビックリしちゃったわよ」
セイナは、思わずクインに話しかけていた。
クインはセイナに、【セイナ、当然ですよ、シルフィ様の鱗は加工が難しくて、普通の人間では加工が出来ないのよ、それだけ固くて丈夫なの、高価な物に間違いないのよ】と念話でセイナに伝えていた。