第五十七話 セイナは長期休暇をとる中で何をするのか?
セイナはクインから聖獣の存在が、この世界では決して良い存在では無い事を知り、聖女アイラナに他に良い物が無いか思案していた。
「セイナ、聖女アイラナ様に、何かしてあげたい気持ちは分かりますが、余り与えすぎるのは、返って聖女アイラナ様に精神的な負担をかける事になりますよ」
クインはセイナを諫めるように話した。
「えっ、そうかなぁ、大した事して無いと思うけど」
セイナは全く自分の能力の凄さを、自覚していなかった。
「ハアー、セイナは自覚が足りませんねぇ、先程のペンダントなどは、無限の魔力を得る為の超宝具になってます。あれだけで、奪い合いの戦争が起きる程の物に成ってますからねぇ」
クインは溜息を吐き、セイナに自分の能力の凄さの自覚を持つ様に促した。
「えっ、ウッソー、そんな事になっているの、鑑定してみよう、どれどれ」
セイナはそんな凄い物になっている事に気付いてなかった。
セイナは一旦、仕舞ったペンダントを鑑定をして見ると(無限の魔力を引き出す魔具)と表示されて、自分でも、ビックリしていた。
「ワァー、本当だー、何でこうなるのよ、可笑しくない。こんなの贈ったら迷惑かな」
セイナはビックリして、どうしようと悩み始めた。
「うふふ、判ったでしょう、だから黙って、心を込めて作ったのと言って、渡せば良いじゃないですか、後は聖女アイラナ様が考えれば良い事ですよ」
クインは、無責任な事を言って、後は貰った側の問題とセイナに告げた。
「そんな、無責任な事言っていいの、神獣たるフェンリル様が」
セイナは頭を抱えながら、クインに抗議をした。
「だって、良い事に使えば問題ないでしょう、悪い事に使えば、罰を与えて処断すれば良い事です」
クインは後は使う側の問題で、使い方次第で判断すればよい事だと、セイナに考えを伝えた。
「まぁ、確かにそうなんだけど、私は聖女アイラナ様を信じてますから、そのままプレゼントします。聖女アイラナ様なら、きっと正しい使い方をしてくれるはずです」
セイナは自分に言い聞かせるように、クインに言った。
「うふふ、それで、良いじゃないですか、セイナは、聖女アイラナ様の助けになる様に、祈って造ったのでしょうから」
クインは笑顔を浮かべて、セイナに言った。
「うん、そうだけど、それじゃ、これ以上の物をあげると、逆に聖女アイラナ様に迷惑をかけそうだから、準備した物だけにしておくわねぇ」
セイナは、これ以上何か贈り物をすると、本当に迷惑をかけそうなので、自分で何か作って渡すのは辞めて、衣類関係を適当に追加して、それだけで止めておく事にした。
セイナはそれから、休暇をどう過ごすかを考えて、早朝稽古はシルフィに頼んで、その後はコハクとクインで東の森へ散歩でしょう、その後は何か作りたいけど、最近何かをつくると飛んでも無い物に成りそうよねぇ、どうしようかなぁと悩んでいた。
「セイナさん、ユリエラです。少しポーション作りを手伝って欲しいのですが、良いかしら」
ユリエラは、セイナにポーション作りの手伝いを頼んだ。
「はい、良いですよ、丁度何をしようか考えていたので」
セイナは渡りに船で、暇つぶしに良かったので、手伝う事にした。
セイナは、取敢えず、コハクを抱き、クインを連れて、工房へユリエラと共に行き、回復用の初級ポーション作りを手伝い、あっという間に100本を作り、ユリエラを呆れさせていた。
「相変わらず、セイナのポーションの作る量は凄いわねぇ、まだ行けそうねぇ、それじゃ、今度はマーナポーションの初級をお願いねぇ」
ユリエラはあっという間に造られたので、次を頼んだ。
「はい、でもこれって、騎士団に納める物ですよねぇ、今の騎士団ってポーションを使うような任務でもあるのですか」
セイナはふと疑問に思い尋ねた。
「そうねぇ、セイナは知らないでしょうけど、この国は五か国に囲まれた所にあるのよ、だからねぇ、頻繁に国境線で紛争が起こるのよ、それで王城から騎士が派遣される事があるのよねぇ」
ユリエラはこの国の状況をセイナに説明をした。
「えっ、そんな事が在るのですか、その割に緊張感を余り感じませんけど」
セイナはそんなに頻繁に、国境線で紛争が起きている事を、初めて知った。
「うーん、慣れちゃった感じかなぁ、この国は昔から良くあることだから、軍事については他国よりも手慣れいるのよねぇ」
ユリエラは昔から良くあることなので、みんな慣れているとセイナに教えた。
「そうなのですか、うふふ、良い事思いついちゃった。後でシルフィに相談してみようかなぁ」
セイナは騎士達に何か強力な防具を作ろうと閃いた。
それから、一時間程で。初級のマーナポーションを100本を作り、ユリエラからの手伝いを終わらせて、シルフィの部屋を訪ねた。
「シルフィ、チョットいいかな、お願いしたい事があるんだけど」
セイナはシルフィの部屋の前で、呼び掛けた。
「何じゃ、セイナか、何のお願いなのだ」
シルフィは部屋の扉を開けて、セイナを招き入れた。
「シルフィ、シルフィの鱗って、持ってるかなぁ、あったら譲って欲しいだけど」
セイナは、シルフィに鱗を譲って欲しいと、微笑みながら聞いた。
「あるのは有るが、何に使うのじゃ、我の鱗は可成りの高値で売れるからの」
シルフィは活動資金を稼ぐ為に、生え変わって剥がれた鱗を異空間収納の中に仕舞っていた。
「エへへ、この国の騎士に防具を作ろかなぁと思ってねぇ」
セイナは変な笑みを浮かべてシルフィに使う目的を教えた。
「何じゃ、防具なのか、武器じゃなくて」
シルフィは武器ではなく防具と聞いて、確認をした。
「うん、防具ねぇ、私が武器を作るとヤバい事になりそうだから、防具にしたの、騎士の命を守る為にねぇ」
セイナは、自分が異常に強い能力を、持っている事を自覚して防具にした。
「オォ、セイナが自分の強力な魔力を持っている事に、やっと自覚したのじゃなぁ」
シルフィはセイナが自覚をした事に喜んでいた。
シルフィは、やっと自分の能力の凄さを自覚したセイナに喜び、異空間収納から100枚もの鱗を出して、セイナに渡して、セイナは譲って貰った鱗をアイテムボックスに仕舞って、笑顔で礼を述べてから、自分の部屋に戻って行った。