第五十六話 聖女アイラナ様への贈り物
セイナは部屋でコハクとのモフモフタイムで癒されていると、シルフィとエルフィが部屋にやって来て、セイナの顔を見て微笑みながら、シルフィが話始めた。
「セイナ、我らは先程、エルミナ殿とダイナス殿に連れて行って貰っての、冒険者登録をしてきたのじゃ、それでじゃ、ダンジョン都市のダンジョンの入口が開いたら、ギルドの依頼で調査をする事になったのじゃ」
シルフィがセイナに調査依頼が有った事を伝えた。
「セイナ、それで、調査のメンバーは、セイナとサディオスと私とシルフィの四人とハク達で、行く事になったから知らせておこうと思って来たのよ、それと私達の部屋はセイナの正面の二部屋ねぇ」
エルフィは、セイナに調査依頼のメンバーの説明をした。
「えっ、サディオスと一緒なの、なんで、シルフィとエルフィが居るのに必要なの」
セイナは不満そうに二人に言った。
「何を言っておる。セイナとサディオスはペアを組んでおるのじゃろ、当然じゃ」
シルフィは当り前だとセイナに告げた。
「うっ、確かに、そんな事を以前エルミナさんに言われていたけど、二人は其れで良いの」
セイナは納得ができずに二人に確認をした。
「良いも、悪いも無いのじゃ、エルミナ殿の指示だからの、我らもクラウンの一員じゃ、従うのが当り前であろう」
シルフィは筋論でセイナを説得をした。
「そうですよ、私達はクラウンの一員になったのです。お世話になる以上は指示に従うのは、当然でしょう」
エルフィもセイナに筋を通す様に説得をした。
「そうだけど、分かりました。もう決定事項なのよねぇ、従います。嫌だけど」
セイナは嫌々、了承をした。
「まぁ、なる様にしかならんからの、諦めるのじゃ、我らは当分、ここにお世話になるからの」
シルフィは自分達が仕組んだ事を悟られない様にセイナに伝えた。
「セイナ、私達は自分の部屋に戻るけど、用があったら呼んで貰っても良いからねぇ、これで失礼しますよ、コハク君との憩いの時間を邪魔して悪かったわねぇ」
エルフィがセイナに言うと、二人は自分の部屋に戻って行った。
セイナは、憂鬱な気分になり、コハクの可愛い顔に頬擦りをして、もう一度気分を入れ替えて、コハク成分を補充して、暫くしてから、聖女アイラナの贈り物を作る事にした。
セイナは以前に作った魔晶石が、アイテムボック幾つか残っていたので、その中の一番大きい魔晶石を選び、その魔晶石に自分の魔力を籠められるだけ籠めて、更にその魔晶石を錬成して、小さく凝縮した。
セイナは、更に魔力を籠めて、更に凝縮して、それを二回程繰り返すと、半透明で中に白い光がキラキラと渦巻き状に輝く綺麗な宝石の様な魔晶石になり、ペンダントの石に丁度良い大きさになった。
「ウフフ、我ながら、上手く行ったかも、さてとこれを如何やってペンダントにしようかなぁ」
セイナはアイテムボックスの中を確認した。
セイナは確か、自分の持ち物にペンダントが有ったのを思い出して、アイテムボックスの中を確認すると、昔、誕生日に亡くなった母から贈られた形見のペンダントが有ったので、それを複製魔法を複製をして、それをベースにして、錬金術を使い、先程の石を複製したペンダントに融合して完成をさせた。
セイナはそれから、各種野菜の種を一袋200個入り10袋、ミカンの木に梨の木の種を100個ずつを袋詰めにして用意をした。
「ねぇ、クイン、神獣と契約する時って、大体どのくらいの魔力量がいるのかしら」
セイナは、自分の魔力量がほぼ無限になっているので、どのくらい消費するか分らないので、クインに聞いた。
「唐突ですねぇ、うーん、正直分かりません、相手によって変わるので、一概にこれと云うのは無いと思いますが」
クインは唐突に聞かれて、驚いたけど、正直に分からないと答えた。
「うーん、そうか、聖女アイラナ様も神獣と契約出来たら、良いかなと思ってねぇ」
セイナはふと思い、クインに尋ねて見た事を話した。
「神獣との契約は、誰でも出来ると云う物ではありませんよ、其の人の性質と魔力との相性もありますから、ですが、聖女でしたら、可能性はありますよ」
クインは聖女の持つ聖属性の魔力と、神獣は比較的に相性が良いので、セイナに話した。
「可能性はあるのねぇ、ところでこの世界には、聖獣と云うのは存在して無いの」
セイナは、異世界物の小説やアニメにたまに出る聖獣の存在を訪ねた。
「聖獣ですか、昔は居たと思いますが、絶滅したと思います」
クインは一度だけ、見た事が在ったけど、それ以降は無かった。
「それって、やっぱり聖霊樹の絶滅に起因しているのかなぁ」
セイナは聖霊や妖精が絶滅したのと同じかなぁと思い、クインに確認をした。
「そうだと思います。聖獣は聖霊の進化した過程で、派生したものと思われますから」
クインは、聖獣の誕生の過程をセイナに話した。
「うーん、そうか、なら生み出す事は、今なら出来る可能性もあるのよねぇ」
セイナは、森で守護聖霊を生み出した事を思い出して、クインに尋ねた。
「それは、余り感心はしませんけどねぇ、聖獣といっても、全てが良い物とは限らないので、余りお勧めしません、聖獣は基本的に人間を嫌いますので、害を与える可能性が有ります」
クインはセイナに聖獣を生み出す事に否定的にであった。
「セイナ、神獣は堕落した人々に対して罰を与える存在ですが、聖獣は意味もなく人間を襲う存在です。決して生み出すなどと考えない方が良いです。シルフィ様が聞いたら激怒しますよ」
クインはセイナに聖獣の存在が、決して良いものでは無い事を念押しした。
セイナは聖獣の存在が、この世界では余り良いものでは無い事を、クインから教えられて、ショックを受けて、聖女アイラナ様の契約聖獣を生み出そうとしたけど、逆に危険な目に合わせる事になりそうなので諦めた。