第五十五話 聖女アイラナ様との一時を過ごす
セイナは聖女アイラナと聖霊樹のある湖の畔でのひと時を過ごして、聖女アイラナの国に対する想いを聞いていた。
「聖女アイラナ様は、国王に酷い仕打ちを受けていたと、お聞きししておりましたが、それでも国の事が大切なのですねぇ」
セイナは聖女アイラナの国に対する想いを、聞いて感動をしていた。
「そうですか、確かに国王には色々と酷い事をさせられて、心を病んでいましたが、それでも私を支援して下さる方もおりましたから、何とかやって来れました」
聖女アイラナは支援してくれた方達に感謝をしていた。
「私は、そんな聖女アイラナ様に何か役に立つ物を贈りたいと思っているのですが、何が良いのか思いつかなくて、何か希望がありますか、参考にさせて欲しいのですが」
セイナは聖女アイラナに何か希望の物があれば、出来る物であれば贈りたいと考えていた。
「それは嬉しいのですが、このマジックバックも頂いておりますし、そんなにして頂いても、私には返す物が御座いませんわ、ですから気持ちだけで良いですよ」
聖女アイラナは肩に下げているマジックバックを手に持って、これで充分とセイナに言った。
「うーん、それはそれです。聖女アイラナ様には幸せになって欲しいのです。帰国の際は私も同行させて貰う事になってますが、聖霊樹を植えるだけなんですよ、何か物足りない気がして、勿論野菜の種とかも用意しますけどねぇ」
セイナは聖霊樹を見ながら、聖女アイラナに自分の思いを伝えていた。
「セイナ、この聖霊が、聖女アイラナを護るから、セイナの魔力を分けて欲しと言ってますよ、聖女アイラナ様と相性がいいそうです」
クインが、自分の鼻先に白く光る玉が話しかけている事を伝えた。
「えっ、クインは聖霊と会話ができるの、凄い流石は神獣です。でも本当に出来るのかなぁ」
セイナは驚いて、クインを褒めた。
それからセイナはクインに言われた通りに、手の平に聖霊を乗せて、魔力を聖霊におくると、聖霊の玉が少しづつ大きく成り、人型に変化してきて、なんとセイナと同じ位の背丈にまで成長して、綺麗な半透明の羽根を背につけた聖霊の女性の姿になった。
「ありがとうセイナ、これで聖女アイラナの守護聖霊になれます。アイラナ様が危機に陥る時は救いますので、宜しくねぇ、アイラナ様」
その聖霊はまた元の玉の大きさになり、聖女アイラナの心臓の在る処に溶け込むに消えて行った。
「あっ、消えた、大丈夫ですか、聖女アイラナ様、何か心臓が有りそうな処に消えたけど」
セイナは突然の事で驚き、聖女アイラナに確認をした。
「えっ、はい、大丈夫です。私もビックリして、何が何だか解らない内に私の中に消えましたが、何とも無いみたいです」
聖女アイラナも突然のことで、驚いている内に事が終わっていたけど、身体には何の影響も無かった。
聖女アイラナは念為に自分のステイタスを確認すると、確かに聖霊の加護が追加されて表示されている事を確認をした。
「セイナさん、確かに聖霊の加護が私に付与されてます。先程の事は本当のようです」
聖女アイラナは、信じられないという表情しながら、セイナに伝えた。
「でも、守護聖霊が身に宿ると云う事は、きっと良い事だと思うので良かったですねぇ」
セイナはきっと良い事だと信じて、聖女アイラナを祝福をした。
「うふふ、しかし、セイナさんといると、普段では体験できない事を経験できますから、刺激があって良いですねぇ」
聖女アイラナは笑ってセイナに伝えた。
「アハハ、そんな事は無くはないか、アハハ、そうだ聖女アイラナ様に、私の魔力を籠めた魔晶石のペンダントでも作ろうかしら、お守りとして、身に着けて貰えば、何かの役に立つかも」
セイナは最初は苦笑いをしていたが、良い事を思いついたと笑顔になって、聖女アイラナに伝えた。
「まぁ、ペンダントですか、素敵ですわ、セイナさんの魔力を籠めた物なら、何か凄いものに成りそうですねぇ」
聖女アイラナはセイナの話を聞いて、喜びながら伝えた。
「聖女アイラナ様、もう、そろそろ帰りましょうか」
セイナは、もうお昼になる頃だと思い、聖女アイラナに伺った。
「はい、そうですねぇ、良い気分転換にもなりましたから」
聖女アイラナはセイナに笑顔で答えた。
セイナ達は、来る時と同じで、クインの背に乗って、森の出口の近くまで行き、そこからは歩いて王都の東門まで行き、街中を散策して、お昼ご飯を食べてから、クラウンの屋敷まで戻っていた。
「セイナさん、ありがとう、また良い経験をさせて貰って感謝します。セイナさんといると本当に楽しいですねぇ、また誘ってくださいねぇ」
聖女アイラナはセイナに感謝の礼を述べてから、部屋に戻って行った。
セイナは聖女アイラナが自分の部屋に入るのを見送ってから、自分の部屋に入り、コハクを抱きしめて、ベッドに座り、モフモフタイムに入り、癒されていた。
聖女アイラナは部屋に入ると、聖霊樹のある湖での事をふと思い出して、聖霊の加護を得た事を思い出して、ベッドに座り、聖霊の加護を得て、どうなるのかと考えていると、胸元から白い光の玉が飛び足して、小さい女性の聖霊が顕現した。
「やっと一人になりましたねぇ、聖女アイラナ様、私と正式な契約をして頂きたいのです。私に名を付けて頂きたいのです」
小さい女性の聖霊は聖女アイラナに名を付ける様に告げた。
「名をですか、うーん、そうですねぇ、それではセリエさんでどうですか、いけませんか」
聖女アイラナはセイナに因んで、似たような響きの名を付けた。
「セリエですか、セリエ、と今後私を呼んでください。私は聖属性と風属性を司る聖霊です。私の力が必要な時は呼んでくださいねぇ、そうすれば貴方の守護聖霊として働かせて頂きます」
守護聖霊セリエは簡単に自己紹介を聖女アイラナにした。
そして、守護聖霊セリエは自己紹介を終えてから、お辞儀を聖女アイラナにしてから、また白い玉になり、聖女アイラナの胸元へ消えて行った。
聖女アイラナは、その後、もう一度ステイタスを確認すると、聖霊の加護から聖属性と風属性を司る守護聖霊セリエの加護へと変わって行った。